この記事は2022年7月7日に「月刊暗号資産」で公開された「暗号資産ブローカー・Voyager Digitalが破産申請 Three Arrows Capitalに続く形」を一部編集し、転載したものです。
暗号資産(仮想通貨)ブローカー・ボイジャーデジタル(Voyager Digital)が6日、米連邦破産法11条(Chapter11)に基づく破産申請を行ったと発表した。米連邦破産法11条は日本の民事更生手続きに相当する。
ボイジャーデジタルは約13億ドル(約1,767億円)相当の暗号資産をプラットフォーム上で保有しており、さらにはメトロポリタン商業銀行の顧客向けFBO口座に3億5,000万ドル(約478億円)以上の現金、そしてスリーアローズキャピタル(Three Arrows Capital:3AC)に対する債権は6億5,000万ドル(約883億円)以上を保有しているという。
スリーアローズキャピタルは先日、米連邦破産法第15条を申請している。ボイジャーデジタルはスリーアローズキャピタルに対して債務不履行通知を出し、債権回収を試みる形となるが、債権回収は困難となる見通しだ。
ボイジャーデジタルは財務面の悪化から、先月18日にヘッジファンド大手Alameda Researchからクレジット枠を確保して資本面の調達を行っていたものの、大きな流れに逆らえない結果となった。今月1日には、顧客資産の入出金および取引、リワード付与やデビットカードの利用を一時的に停止すると発表している。
ボイジャーデジタルのCEOであるStephen Ehrlich氏は、「今回の米連邦破産法11条の申請を通じて組織再編を行い、プラットフォーム上の資産を保護し、顧客も含め全てのステークホルダーの価値を最大化するためのプロセスである」とコメントした。
再建計画として、現在ボイジャーデジタルの口座を保有している顧客は、アカウント内の暗号資産、スリーアローズキャピタルの債権回収による収益、新たに再建される会社の普通株式、ボイジャートークンを組み合わせて今後得ることが可能になるという。
また、米連邦破産法11条のプロセスを進めていくため、財務アドバイザーとして Moelis & Company および The Consello Group、法務アドバイザーとして Kirkland & Ellis LLP、再建アドバイザーとして Berkeley Research Group, LLC を起用したとのことだ。
今回の米連邦破産法11条の申請は、スリーアローズキャピタルに連鎖する形となった。現在、スリーアローズキャピタルによる影響が多方面に及びつつあるため、引き続き連鎖倒産のような動きがみられるか注目が集まる。(提供:月刊暗号資産)