次期日銀総裁は誰になる? 本命予想とその対策を紹介
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夏の参院選が与党の勝利で幕を閉じ、次の話題として2023年4月の日本銀行総裁(日銀総裁)人事に富裕層や投資家の注目が集まっている。日銀総裁は首相と並んで日本の経済、金融市場に与える影響がもっとも大きい人物の1人だ。

そこで今回は、富裕層向けに資産運用コンサルティングを行うIFA法人ウェルスパートナー代表の世古口氏に、次期日銀総裁を予想してもらった。

世古口俊介
世古口 俊介(せこぐち しゅんすけ)
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイス銀行(クレディ・スイス証券)のプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。2017年8月に内藤忍氏と共同で資産デザインソリューションズを設立し、代表に就任。

日本銀行の総裁とは

まず日本銀行の総裁というポジションを簡単に説明しよう。日銀総裁とは、日本銀行(日本の物価や金利を安定させることを目的とした機関)のトップ(総裁)のことである。

株式会社で言うと総裁が社長、副総裁が副社長、審議委員が取締役というイメージであろう。政策の意思決定は多数決だとしても、社長である日銀総裁の与える影響がもっとも大きいことは明らかだ。

日銀の重要な意思決定は総裁、副総裁2名、審議委員6名で構成される政策委員会と呼ばれる組織にて、多数決で決定される。同委員会で量的緩和を維持するか、金利を上げるかなどを議論し、年に8回開かれる日銀政策決定会合で制作方針を決定するのだ。

なお、日銀総裁は内閣が適切だと思われる人物を任命し、国会の承認を得たうえで選ばれる。つまり、時の政府が“お墨付き”を与えた人物でなければ日銀総裁にはなれないということだ。

3名の有力候補者

ブルームバーグが2022年4月14日から19日に実施したエコノミスト30名への調査(日銀総裁候補者3名を挙げてもらうもの)で現時点での有力候補者が明らかとなった。

最多数は現日銀副総裁の雨宮正佳氏で、エコノミスト30名中29名が次期日銀総裁だと予想した。次点は28名が予想する大和総研理事長 中曽宏氏。雨宮氏とほぼ拮抗する結果となった。3番目に予想が多かったのは、アジア開発銀行総裁の浅川雅嗣氏(9名)だった。

この結果を素直に受け取れば、現在点では雨宮氏、中曽氏、浅川氏の3名が次期日銀総裁の有力候補となるだろう。

有力候補者3名のプロフィールと予想政策

それでは今回、有力候補者として挙げられた3名はどういった人物なのだろうか。以下の表に、彼らが総裁になった場合に採用すると予想される政策をまとめた。世古口氏にそれぞれを解説してもらう。