この記事は2022年8月18日に「月刊暗号資産」で公開された「イーサリアム財団、「マージ」に関する8つの誤解に回答」を一部編集し、転載したものです。
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)を開発・運営するイーサリアム財団は17日、大型アップデート「マージ(The Merge)」後に誤解される可能性のある内容を8つ公開した。
マージは現時点で9月15日前後に実施される予定となっており、これに伴いイーサリアムはコンセンサスアルゴリズムをPoW(プルーフ・オブ・ワーク)からPoS(プルーフ・オブ・ステーク)へ変更する。それを踏まえて、誤解されている可能性のある項目として8つを公開した。
- ノードを立てるのに必ず32ETHが必要ということはない。
誰でもイーサリアムの自己検証済みコピーを同期させることができる。マージ前でもマージ後でもなく、これまでもなかった。 - マージでガス代(手数料)が安くなることは間違っている。
マージはコンセンサスアルゴリズムの変更であり、ネットワーク容量の拡大ではないので、ガス代の引き下げにはつながらない。 - トランザクションの処理速度が著しく速くなることはない。
若干の変更はあるものの、レイヤー1上での取引速度はほとんど変わらない。 - ステーキングしたイーサリアムを引き出すことはできない。
ステーキングの引き出しはまだ有効ではない。マージ後すぐに、ステーキングしているイーサリアムは引き出すことができない。次期アップグレード「Shanghai(シャンハイ)」で可能となる。 - バリデータは、次期アップグレード「Shanghai」までイーサリアムの報酬を受け取ることはできないという認識は間違い。
バリデータが管理するメインネットアカウントに入金され、すぐに利用できる。 - ステイカーが一斉排除されることはない。
バリデータの退出はセキュリティ上の理由から制限がかかっている。 - ステーキングのAPR(年換算利回り)が3倍になると予想されていることは間違い。
最新の予測では、APRは200%増ではなく、50%くらいになるだろう。 - マージ後、イーサリアムのブロックチェーンがダウンタイム(一時使用不可)に陥るということはない。
マージはダウンタイムなしで、PoSに移行されるよう設計されている。
マージが行われることで、イーサリアムの新規発行量は最大90%減少するとされている。新規発行量が大幅に減ることで供給バランスが変化し、投資家からはイーサリアムの価格がさらに上昇するとの期待も集まっている。
また、現在イーサリアムブロックチェーンのフォーク(分岐)の可能性も指摘されている。これにより、現行のイーサリアムをマイニングし続けることで、PoW版のイーサリアムが新たに誕生する可能性が浮上している。(提供:月刊暗号資産)