この記事は2022年8月24日に「CAR and DRIVER」で公開された「ポルシェ911(992)のハイパフォーマンスモデル「GT3 RS」が日本での予約受注を開始」を一部編集し、転載したものです。


最高出力525psを発生する4リットル自然吸気フラット6エンジンに、モータースポーツ譲りの冷却システムとエアロダイナミクスシステムを採用した新型ポルシェ911 GT3 RSが日本での受注をスタート。車両価格は3,134万円に設定

ポルシェ ジャパンは2022年8月18日、第8世代のポルシェ911(992)のハイパフォーマンスモデルに位置する新型911 GT3 RSの予約受注を開始した。車両価格は3,134万円に設定。ハンドル位置は右/左の選択が可能である。

ZUUonline 編集部 引用 CAR and DRIVER
▲ポルシェ911 GT3 RS 価格:7PDK3,134万円 既存のGT3をベースにエンジンの高出力化や足回りのセッティングの見直しのほか、モータースポーツ譲りの冷却システムとエアロダイナミクスシステムを採用する

新型GT3 RSは、既存のGT3をベースにエンジンの高出力化や足回りのセッティングの見直しのほか、モータースポーツ譲りの冷却システムとエアロダイナミクスシステムを鋭意採用したことが特徴で、純粋な競技専用車両である911 GT3 Rと直接的に結びついたキャラクターを有している。

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▲自然吸気の3,996cc水平対向6気筒DOHCエンジンは、カムプロファイルを変更した新設計のカムシャフトの採用や吸排気システムの見直しを実施。最高出力はGT3比で15psアップの525psを達成

まず冷却システムでは、ル・マン24時間レースにおいてクラス優勝を飾った911 RSRで初採用されたのち、911 GT3 Rにも組み込まれたセンターラジエーターコンセプトを導入したことがトピックだ。

既存の911に配する3つのラジエーターに代わり、通常はラゲッジコンパートメントとなるフロントノーズ内に傾斜した大型センターラジエーターを配置。フードにはラジエーターからの空気を放出するダクトを装備する。これにより冷却性能を高めるとともに、両サイドにできたスペースを活かして、アクティブエアロダイナミクスエレメントを統合することを可能とした。

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▲911 GT3 Rにも組み込まれたセンターラジエーターコンセプトを導入して、冷却性能をいっそう高める
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▲フロントフードにはラジエーターからの空気を放出するダクトを装備

エアロダイナミクスに関しては、フロントの無段階調節式ウイングと2分割タイプのリアウイング、前後のディフューザー、サイドのエアロブレードなど、多数の空力パーツとの組み合わせによって、200km/h走行時に合計409kgのダウンフォースを発生。この数値は、先代の991.2世代の2倍、現行の911 GT3の3倍に達し、しかも285km/h時のダウンフォースは計860kgを成し遂げている。

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▲フロントの無段階調節式ウイングと2分割タイプのリアウイング、前後のディフューザー、サイドのエアロブレードなど多数の空力パーツとの組み合わせによってエアロダイナミクスを向上させる

各パーツの形状の工夫も見逃せない。リアウイングは固定式メインウイングと油圧調節式アッパーウイングエレメントで構成し、ウイング上端はルーフよりも高く設定。一方、フロントエンドには空気の流れを上下に分割する専用デザインのスプリッターを配する。

また、サイドブレードは空気を正確に外側に向ける形状に設定。さらに、フロントホイールアーチ上部にはエアアウトレットを、フロントホイール後方にはホイールアーチの動圧を低減するインレットを、リアホイールアーチにはエアフローを最適化するインテークとサイドブレードを組み込む。

ほかにも、空気を外側に向けてリアの吸気温度を下げるルーフフィンや、整流効果を高めるリアサイドパネルダクト、GT3用から形状を一部変更したリアディフューザーなどを装備した。

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▲スワンネック支持のリアウイングの上端はルーフよりも高く設定する
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▲リアウイング自体は固定式メインウイングと油圧調節式アッパーウイングエレメントで構成
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▲フロントホイールアーチ上部にはエアアウトレットを組み込む

ポルシェの市販モデルで初めてドラッグリダクションシステム(DRS)を採用したことも訴求点だ。DRSは、サーキットのストレートセクションで空気抵抗を抑えて高速を得るために、特定の作動範囲内においてスイッチを押すだけでウイングをフラットにすることが可能。また、高速走行中の緊急ブレーキ時に作動するエアブレーキ機能も備えている。

開発陣はエアロダイナミクスの向上とともに軽量化も重視する。ドアやフロントフェンダー、ルーフ、フロントリッドをはじめ、標準装備のフルバケットシートなどのインテリアに軽量なCFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)素材を採用。多数のエアロパーツを装着したにもかかわらず、車両重量はGT3比で15kg増の1,450kgに抑えた。

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▲ポルシェの市販モデルで初めてドラッグリダクションシステム(DRS)を採用する

前ダブルウィッシュボーン式/後マルチリンク式で構成するシャシーは、エアロダイナミクスの向上に合わせた専用セッティングを実施する。最高速度でのフロントアクスルのダウンフォースが約40kg増えたほか、高速走行でのブレーキング時でも前後のアクスル間のダウンフォースのバランスを維持するために、制動時のピッチを大幅に低減した。

機構面では、フロントロアアームのボールジョイントをフロントアクスルの低位置に設置し、一方でリアのマルチリンクサスペンションはスプリングレートを変更。ドライバーアシスタンスシステムとリアアクスルステアリングも、さらにダイナミックな設定とした。

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▲前ダブルウィッシュボーン式/後マルチリンク式で構成するシャシーはエアロダイナミクスの向上に合わせた専用セッティングを実施。最高速度でのフロントアクスルのダウンフォースを約40kg増やす

自然吸気の3,996cc水平対向6気筒DOHCエンジンのセッティングも見直す。具体的には、カムプロファイルを変更した新設計のカムシャフトの採用や、吸排気システムの見直しを実施。最高出力はGT3比で15psアップの525psを達成する。

また、トランスミッションにはクロスレシオ化した7速PDKを採用。性能面では、0→100km/h加速3.2秒、最高速度296km/hを実現した。一方、ドライブモードとしてはノーマル、スポーツ、トラックの3パターンを設定。トラックモードでは、基本設定を個別に調節することが可能だ。

制動機構の強化も図り、フロントに対向6ピストン式アルミ製モノブロック固定キャリパーとφ408mmブレーキディスクを、リアに対向4ピストン式キャリパーとφ380mmブレーキディスクを装備。オプションとして、ポルシェセラミックコンポジットブレーキ(PCCB)を用意している。

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▲ポルシェセラミックコンポジットブレーキ(PCCB)をオプションで用意

内包するインテリアは、ブラックレザーやRace-tex、カーボン織目仕上げなどによって、純粋でスポーティなコクピットを演出。ステアリングには、4つのロータリースイッチとドラッグリダクションシステム(DRS)のスイッチを備える。

また、スチール製ロールオーバーバーやドライバー用6点式シートベルトなどで構成する無償オプションのクラブスポーツパッケージを設定。さらに、有償オプションとして、カーボン織目仕上げのフロントリッド/ルーフ/リアウイングパーツ/エクステリアミラー、CFRP製の前後スタビライザー/リアカップリングロッド/リアアクスルシアーパネル/ロールオーバーバー、マグネシウム鍛造ホイール、モータースポーツから派生した磁気テクノロジーを採用するPDKパドルシフトなどを配するヴァイザッハパッケージを用意した。

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▲インテリアはブラックのレザーおよびRace-Tex素材やカーボン織目仕上げ(サテン)のインレイを備えた装飾トリムを採用。ハンドル位置は右と左の選択可
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▲4つのロータリースイッチとドラッグリダクションシステム(DRS)のスイッチを備えたモータースポーツ指向のステアリングホイールを装着
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▲カーボン織目仕上げのCFRP製のフルバケットシートを装備。ヘッドレストにはGT3 RSのレタリングを刺繍する
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▲スチール製ロールオーバーバーやドライバー用6点式シートベルトなどで構成する無償オプションのクラブスポーツパッケージを用意
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▲カーボン織目仕上げのフロントリッドやリアウイングパーツ、CFRP製の前後スタビライザーやリアカップリングロッド、マグネシウム鍛造ホイールなどを採用するヴァイザッハパッケージを有償オプションで設定
Writer:大貫直次郎

(提供:CAR and DRIVER