この記事は2022年9月16日に「月刊暗号資産」で公開された「米SECゲンスラー委員長、暗号資産の登録制度に「柔軟な対応」の方針」を一部編集し、転載したものです。
米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は15日、米上院の銀行・住宅・都市問題委員会で行う証言の原稿「Testimony of Gary Gensler Before the United States Senate Committee on Banking, Housing, and Urban Affairs」を提出した。
その中で、暗号資産(仮想通貨)の規制方針についても、ゲンスラー氏は私個人の見解として意見を述べた。同氏は暗号資産市場について、「証券法の中核的な原則で対応できる」と見解を示した。
また、「暗号資産市場に存在する約1万個のトークンのうち、大半は有価証券であると私は考えている」と述べ、これまで通りの姿勢を崩さなかった。その上で、「これら数千の暗号証券トークンと販売は証券法によりカバーされる。よって、取引所はSECに登録されるか、あるいは利用可能な免責事項に従って行われる必要がある」と語った。
ゲンスラー氏は「SECの職員に対し、起業家と直接協力し、該当するトークンを登録して、必要な場合には有価証券として規制するように要請をした」と述べ、暗号資産の規制準備に入っていることを強調した。同様の発言は8日に米法律教育組織PLI(Practicing Law Institute)が主催したカンファレンスでも述べている。また、「既存の開示要件を柔軟に適用することが適切である可能性があることを認識している」と柔軟に対応することを示唆した。
ステーブルコインについては「マネー・マーケット・ファンドと類似した特徴を持ち、競合の可能性がある」と考えを示した。さらに、暗号資産エコシステム内でのトークンの提供、販売、使用方法などの属性によっては、株式や他の種類の証券となる可能性があるという。
これについてゲンスラー氏は、「例えば、これらの金融商品は、直接的または間接的に、関連会社などを通じて利息を支払うかどうかなど、その属性によって異なる」と述べた。その場合、「登録を行い、投資家保護をする必要がある」と今までの主張を再度訴えている。
「ほとんどの暗号資産が証券であることから、多くの暗号資産仲介業者が証券取引を行っていることになる。暗号資産仲介業者は、取引所、ブローカー、ディーラー、カストディ事業者など、それぞれの役割を確実に登録しなければならない」と述べた。
一方で、限られた少数のトークンについては非証券化トークンである可能性が高いと述べている。これについても先日、ビットコインを始めとする少数の暗号資産についてはSEC管轄ではなく、米商品先物取引委員会(CFTC)がふさわしいとの見解を述べている。
しかし、現状ではまだ法規則がないため「暗号証券トークンの仲介業者がSECとCFTCの両方に登録することになるかもしれない」と述べ、暗号資産取引業者がしばらくの間2つの規制局に登録することになることを示唆した。(提供:月刊暗号資産)