この記事は2022年9月20日に「月刊暗号資産」で公開された「米SECとリップル、有価証券問題に関する裁判の略式判決を求める動議書提出 」を一部編集し、転載したものです。
米証券取引委員会(SEC)と米リップル社が、暗号資産(仮想通貨)XRPの有価証券問題における訴訟の結審を早めるため、ニューヨークにある米国地方裁判所南地区に略式判決を求めていることがわかった。18日、リップル社CEOのブラッド・ガーリングハウス(Brad Garlinghouse)氏が明らかにした。
SECとリップル社はそれぞれ、同裁判所のアナリサ・トーレス(Analisa Torres)裁判官に略式判決を求める動議書を提出したという。
2020年12月、SECはリップル社に対し、XRPの販売が無登録証券の募集に当たるとして訴訟を起こした。また、SECはリップル社のクリス・ラーセン(Chris Larsen)執行役会長とガーリンハウスCEOを、リップル社の販売行為を幇助した疑いで共同被告としている。
SECは提出した書類の中で、リップル社が「金銭」と引き換えにXRPを提供・販売したことに異論はなく、SECはある資産が証券と呼べるかどうかを判断するために米最高裁判所が行うHoweyテストにおいて、「金銭の投資」の要素を満たしていると主張している。
SECによれば、Howeyテストでは投資契約について、「他人の努力から得られる利益に対する合理的な期待を持って、共通の事業に金銭を投資する場合に存在する」とある。
しかし、リップル社は提出した書類の中で、「リップル社は多くのXRP受取人と契約しておらず、流通市場でのほとんどのXRP取引に関与していない」と主張。さらに、「一部の投資家が投機目的でXRPを購入したとしても、それは投資契約にはならない」と述べている。
ガーリンハウスCEOは18日、自身のTwitterを通じて、「本日の提出書類は、SECが法律の適用に関心がないことを明らかにしている。彼らは議会によって与えられている権限をはるかに超えた管轄権をさらに拡大するため、許されない行為で全てを作り直そうとしている」と怒りを露わにした。
今回のSECおよびリップル社による裁判所への働きかけにより、時間を要していた裁判が早期に決着する可能性が高まった。また、今回争点となっているXRPの有価証券問題に関連し、暗号資産が米国証券法上の証券として該当する基準も明らかになるため、今回下される判決は非常に重要なものとなる。(提供:月刊暗号資産)