この記事は2022年9月29日に「月刊暗号資産」で公開された「デジタル競争力で日本は過去最低の29位 複数の最下位項目も」を一部編集し、転載したものです。


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(画像=Who is Danny/stock.adobe.com)

スイスのビジネススクール・国際経営開発研究所(IMD)が28日、2022年の世界デジタル競争力ランキングを発表した。

日本は昨年から順位を落とし、63の国・地域の中で29位だった。昨年は28位であった。17年から始まった調査以来、過去最低を更新した格好だ。

人材不足やビジネスのスピード感の欠如など課題が多く、4位にランクインしたシンガポール、8位の韓国、11位の台湾、17位の中国に対し、大きく遅れを取っていることが鮮明となった。

IMDは世界でもトップクラスのビジネススクールだ。本拠をスイスに置き、教授陣とスタッフの国籍は34ヵ国以上におよぶ。日本の顧客としては、伊藤忠、コニカミノルタ、コマツ、電通、凸版、トヨタ、日産、博報堂、マネックス、三井物産、三菱地所、ヤフー、住友商事などが名を連ねる。

デジタル競争力ランキングは、「知識」「技術」「将来の準備」という3つの因子の順位を統合して格付けを行う。

今年の首位・デンマークは、市民が行政サービスにアクセスできるポータルサイト「borger.dk」など電子政府に強みを持つ。また、2位に米国、3位にはスウェーデンが続いている。

発表されたレポートによると、日本はデジタル教育では54位、デジタル技術は62位となっており、国際的経験値、ビッグデータの活用、企業の俊敏性、デジタル知識では63位と、最下位という結果になっている。それでも、ロボットの分布という項目では2位、生徒数・教員数比率では1位という結果であった。

日本経済新聞によると、IMDの日本代表は「ただただ低落しており変革が見られない」と厳しい意見を述べたようだ。

経済産業省によると、IT人材は30年に45万人不足すると試算されている。こうした危機感が募ってか、日本では近年、デジタル化に向けた動きが見られつつある。昨年9月にはデジタル庁も発足した。

それでも今回のIMDによる調査結果を踏まえれば、現状に大きな変化は見られず、厳しい状況であることがうかがえる。

岸田政権は「デジタル田園都市国家構想」を打ち出しており、これを念頭にデジタル関連の法整備を急務として進めている。

暗号資産(仮想通貨)に関してもマネーロンダリング対策に重きを置いた改正法案が来月3日の臨時国会に提出される見込みだ。(提供:月刊暗号資産