国内・海外のウェルビーイングの事例
ウェルビーイングにはさまざまな形があるため、事例から具体的なイメージをつかんでおきたい。ここからは国内・海外の事例をまとめたので、プラン策定の前にチェックしていこう。
【事例1】社員自身がプロジェクトを提案/丸井グループ
日本全国に商業施設を展開する丸井グループは、社員自身がプロジェクトを提案する形でウェルビーイング経営を行っている。上層部ではなく、現場のプロジェクトメンバーに活動方針を決めさせることで、従業員が主体的に動くような環境づくりに成功した。
また、社内に広く浸透させることを目的に、メンバーを定期的に入れ替えている点も参考になるポイントだ。全体がうまく機能する仕組みを作れれば、トップダウン式のウェルビーイングにこだわる必要はない。
【事例2】3つの部門に分けてチームを構成/楽天
ネット関連サービスを手がける楽天は、毎年のウェルネスサーベイ(健康状態の調査)を通してウェルビーイングを目指している。仮に心身面での問題が見つかった場合は、運動型のイベントや健康セミナー、ワークショップなどに参加できる仕組みがとられている。
また、「ウェルネス部」「フィットネス委員会」「カフェテリア委員会」に分けてチームが形成されている点も特徴的だ。それぞれの役割を明確にし、無理のない業務分担をすることで、チーム全体がスムーズに機能している。
【事例3】多角的な調査によって従業員を徹底分析/積水ハウス
大手住宅メーカーの積水ハウスは、独自の健康調査によってウェルビーイングを実現しようとしている。
例えば、慶應義塾大学と共同開発した「幸福度診断 Well-Being Circle」は、個人の幸せを多面的に計測できる仕組みになっている。また、「はたらく人の幸せ/不幸せの 14 因子」では、労働者の幸せを数値として分析することが可能とされている。
ウェルビーイングを成功させるには、従業員の心身状態を十分に把握する必要があるため、多角的な調査はぜひ検討したいところだ。
【事例4】チームを成功させる5つの鍵を提唱/Google
検索エンジンで有名なGoogleは、多くのコストと歳月をかけて生産性に関わる研究をした。その結果として、チームを成功させる5つの共通事項(鍵)をまとめている。
例えば"心理的安全性"では、チーム内でミスをしたときに「それを理由に避難されない」と思える環境の重要性を説いた。そのほか、メンバーに仕事を任せられる相互信頼性や、チームの意思決定プロセスも成功の鍵に含まれている。
このように、組織としての在り方を明確に示し、働きやすい環境を整えることもウェルビーイングにつながるだろう。
【事例5】アプリを利用した健康管理/Virgin Pulse
世界的なプロパイダーのVirgin Pulseは、テクノロジーを駆使したウェルビーイングの施策に取り組んでいる。
例えば、身体面では日々のカロリー消費量や歩数、運動時間の自動測定機能によって従業員をサポート。精神面についても、人間関係や睡眠時間を分析できるアプリを提供している。
日本国内でも、従業員のウェルビーイングを実現させるサービスはいくつか存在するため、方向性で悩んでいる経営者は利用を考えてみよう。