この記事は2022年10月4日に「月刊暗号資産」で公開された「金融庁、デジタル資産に対して初の取引ルールを作成へ」を一部編集し、転載したものです。
金融庁が、Web3.0で利用されるデジタル資産に関して、初となる取引指針を作成することがわかった。4日、日本経済新聞などが報じた。
NFT(非代替性トークン)などブロックチェーンを活用することで生まれた新たな市場を整備することが目的だという。また、既存金融システムに影響を及ぼす可能性があるDeFi(分散型金融)についても監視を強化し、技術革新と規制のバランスを取りつつ、世界と足並みを揃える方針だ。
金融庁は今年8月末に発表した2022事務年度の金融行政方針において、暗号資産とその他デジタル資産の違いに関する解釈を明確化する方針を示していた。具体的には、ブロックチェーン上で発行されるデジタル資産について、暗号資産に該当するかどうかの判断基準を明確にするというものだ。
暗号資産やブロックチェーンの活用方法が多様化してきており、金融取引に該当する範囲を線引きする必要が出てきたことから、デジタル資産の取引ルール作成に着手する。
今回の取引ルール作成の背景には、政府・与党が本格的に動き出しているWeb3.0の存在が挙げられる。実際、岸田文雄首相は3日、同日招集された臨時国会における所信表明演説で、メタバースやNFTを活用した「Web3.0サービスの利用拡大に取り組む」と改めて宣言した。
政府は今年6月に閣議決定した経済財政運営の方針「骨太の方針」の中でも国としてWeb3.0領域の規制を含む環境整備を進める姿勢を打ち出している。
7月には、経済産業省において「Web3.0政策推進室」を設置。そして先月30日にはデジタル庁に「Web3研究会」が設置されると河野太郎デジタル大臣が明かすなど、国内のWeb3.0を取り巻く動きは加速度的に進んでいる。
Web3.0では、中央集権的であったこれまでのWeb2.0と違い、各々がデータを管理する分散型が最大の特徴となる。プラットフォームを横断したデータ管理やデジタル資産の移動が可能となり、個人間の活動にも広がりが生まれやすくなる。
一方で、利用者保護や環境整備については課題も多く、Web3.0を推進させていくには政府の動きが極めて重要になる。
その中には、長年の課題となっている暗号資産税制も含まれる。
今年4月、自民党のデジタル社会推進本部が発表した「デジタル・ニッポン2022」の提言でも暗号資産の税制改正が盛り込まれており、岸田首相も前向きな発言をするなど、これまで以上に動きは加速している。
今後、自民党のweb3プロジェクトチーム(発足時はNFT政策検討PT 座長:平将明衆院議員)が年内までに暗号資産の含み益に対する課税見直し等を明記した「NFTホワイトペーパー」の改訂を行う予定だ。(提供:月刊暗号資産)