サステナビリティと「CSR」「SDGs」との違い

サステナビリティと同じく、経営に関わるビジネス用語には「CSR」や「SDGs」がある。これらの言葉との違いは何なのだろうか。

CSRとの違い

「CSR(Corporate Social Responsibility)」は、企業の社会的責任という意味で知られている。企業に対して株主などのステークホルダーへの利益還元だけでなく、コンプライアンスの遵守や人権尊重、環境保護など、倫理的な観点での事業活動を求めることだ。

企業の行動目標としてはサステナビリティとCSRは似ているが、サステナビリティは企業活動に限定せず、国や個人までを含む世界規模の持続可能性を追求するという点でCSRと異なる。

SDGsとの違い

「SDGs(Sustainable Development Goals)」は持続可能な開発目標という意味で、国連サミットで2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットを定めたものである。SDGsで定めた目標の達成が結果的にサステナビリティにつながるため、企業が目指すべき具体的な方向性を示したものと捉えられるだろう。

例えば、「14海洋資源:海の豊かさを守ろう」を自社が取り組むべき課題と定めるならば、製造業ならマイクロプラスチックなどの汚染源となる原料使用を控える、飲食業ならば排水口に油を捨てない、小売業ならばリサイクルボックスでゴミを回収する、などに取り組むことで海洋汚染を防止できるだろう。

また、これらの取り組みが新しい事業につながる可能性もある。

サステナビリティはなぜ注目されているのか

サステナビリティはSDGsと補完しあう関係にあり、企業のSDGsへの取り組み拡大が、サステナビリティへの注目を高めることとなった。また、企業もCSRを意識した行動が求められるようになり、社会に果たすべき企業責任の一つとしてサステナビリティがある。

そのような中、企業の財務情報に加えて「Environment:環境」「Social:社会」「Governance:企業統治」の要素を投資の判断材料とする「ESG投資」が普及してきた。今や、企業が社会的に評価を受けて利益を上げるには、サステナビリティを意識した経営を行うのと同時に、その活動内容を示すことが求められている。

サステナビリティ経営に取り組むために必要なこと

サステナビリティ経営を行うためには、その具体的な行動目標の手がかりとなるSDGsの17の目標と自社の製品やサービスとの関連性を整理することが重要である。その上で、将来的な経営目標から逆算して行動計画を立てる「バックキャスティング」を行い、具体的な商品やサービスを設計し、制度整備の計画を立てるといいだろう。

日本では「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」が2016年に設置され、SDGsの達成に向けた施策の整備や中小企業支援が始まっている。サステナビリティ経営の追い風になる環境は整いつつあるので、その動きをチェックすることも大事だ。