サステナビリティの事例

サステナビリティの事例については、金融庁の『記述情報の開示の好事例集』で紹介されている。2021年版の事例集からいくつか抜粋して紹介する。

株式会社リコー:気候変動への対応

脱炭素化による気候変動対応を目的として、2050年までの温室効果ガス(GHG)の排出ゼロ化や、事業用電力の100%再生可能エネルギー化などを大きな目標に掲げている。ESG委員会を設置して進捗管理や投資判断などを行い、サステナビリティ推進部門が実行に移す。自社にとってのリスクや財務効果、GHGの推移などをわかりやすく開示しているのが特徴だ。

オムロン株式会社:経営・人的資本・多様性等への対応

事業別にサステナビリティの重要課題を定めた上で、行動目標と実績を開示している。

制御機器事業:労働力不足解消のためのFA化の推進
ヘルスケア事業:世界規模での呼吸器疾患への対応など
社会システム事業:地球温暖化対策や再生可能エネルギーの拡大など

他にも、人材マネジメントやものづくり、環境などの項目でも目標を設定し、サステナビリティの取り組みに対するDJSIの評価状況も開示している。

明治ホールディングス株式会社:経営への対応

明治独自に、ROEとESG指標にサステナビリティ目標を加えた「明治ROESG」という独自指標を設定し、その目標値や実績を開示している。サステナビリティ戦略には、環境配慮を目的とした再生プラスチックや再生エネルギーの活用、新興・再興感染症への対応に向けたワクチン開発などが盛り込まれている。

サステナビリティと自社事業の関わりをまず見つめ直そう

サステナビリティは、SDGsが国連サミットで採択され、ESG投資のように企業の環境や社会への意識、ガバナンスへの評価が一般化している中では欠かせないものだ。

サステナビリティ経営を実現するためには、まず自社の事業がSDGsのどの目標分野との関わりが深いのかを見直した上で、将来的な目標から逆算して具体的な計画を立てよう。

サステナビリティへの中小企業の取り組み支援や環境整備も進んでいるので、支援機関も積極的に活用して欲しい。

サステナビリティでよくある質問

サステナビリティでは何をする?

サステナビリティでは、「経済」「環境」「社会」に配慮して持続可能な社会を実現するために自社の重点課題を設定し、課題解決に向けて各社が取り組むことになる。

製造業ならば、原材料にマイクロプラスチックを使用しない、電力に天然ガスを使用する、エネルギー使用量を減らす、二酸化炭素排出量を減らす、リサイクル可能な製品を開発・製造する、といったものがあるだろう。

また、飲食業ならば、雇用の維持、フードロスの削減、食器やグラスをプラスチックから陶器や紙に変更する、洗剤を環境に優しいものにする、節水を行うなどの取り組みが挙げられる。

サステナビリティとはどういう意味?

日本語で「持続可能性」と訳される「sustainability」から来た言葉で、経済、社会、環境の3つの柱をもとに、持続可能な社会システムの構築を目指すという意味で用いられる。「SDGs:持続可能な社会目標」が設定されたことにより、サステナビリティの具体的な行動計画を立てて事業運営を行うサステナビリティ経営が注目されている。

サステナビリティの3つの柱は?

「経済発展(Economic Development)」「社会開発(Social Development)」「環境保護(Environmental Protection)」の3つがサステナビリティの柱だ。

社会の存続には、企業や個人が利益を出して成長する経済発展や、健康的な生活を送るための社会システムの構築が欠かせず、環境との調和には再生可能エネルギーの活用や森林、海洋の環境保護が重要である。

サステナビリティの具体例は?

サステナブルファッションに代表されるリサイクル原料からの衣類作成や、フェアトレードによるオーガニック素材のサプライチェーンの透明性を向上させる取り組みなどがある。

他にも2050年のカーボンニュートラルに向けた水素エンジンの開発や再生可能エネルギーの活用、海洋汚染源のマイクロプラスチックの削減など、事例はさまざまだ。

サステナビリティの取り組み方は?

サステナビリティの具体的な実現目標となるSDGsの17のゴールを参考に、自社の製品やサービスがどの分野に該当するかを明確にした上で、課題解決の方法や目標を設定する。

経営計画は、将来の目標から逆算する「バックスキャッタリング」によって定め、サステナビリティの取り組みを実施した上でGRIスタンダードなどの測定指標を用いて評価し、外部に報告する。

サステナビリティとESGの関連性は?

ESGは、企業がサステナビリティを実現するための行動指針となり得るものである。

ESGとは「Environment:環境」「Social:社会」「Governance:企業統治」のことであり、投資家がこれらを企業に投資する際の判断材料とする「ESG投資」が普及している。

企業がサステナブルな社会の実現に向けて設定した重点課題の解決を進めることで、ESG投資家から評価を得て資金を調達する機会を生むことにつながる。

資金調達ができれば、企業のサステナビリティへの取り組みはさらに進めることができ、企業価値はもちろん収益のさらなる向上も期待できるだろう。

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文・隈本稔(キャリアコンサルタント)

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