サステナビリティの測定指標
サステナビリティは世界共通の数値目標があるわけではないため、測定指標を参考に評価する必要がある。ここでは、測定指標を2つ紹介する。
GRIスタンダード
GRI(Global Reporting Initiative)スタンダードは、自社のサステナビリティへの取り組みを評価し、外部に発信するための国際的なスタンダード指標をまとめたガイドラインである。
サステナビリティに大きく関わる「経済」「環境」「社会」に対して、事業活動を通して与えるインパクトをステークホルダーに分かりやすく示すのが目的だ。以下の3つのスタンダードから成り立っている。
GRI共通スタンダード(1、2、3):全ての組織を対象として適用される項目
GRIセクター別スタンダード(200、300、400):個別のセクターに適用される項目
GRI項目別スタンダード(11〜):2021年10月から順次公表されている「経済」「社会」「環境」の個別に関連する項目
サステナビリティの柱である3つの分野について、それぞれ以下のような項目が挙げられており、定期的に改訂が実施されている。
・経済:7項目(GRI201〜207)
経済パフォーマンス、調達慣行、腐敗防止、反競争的行為 など
・社会:19項目(GRI401〜418)
雇用、労働安全性、ダイバーシティと機会均等、保安慣行、顧客プライバシー など
・環境:8項目(GRI301〜308)
原材料、エネルギー、生物多様性、大気への排出、排水および廃棄物 など
GRIスタンダードをベースとした持続可能性の実現に対する取り組みの状況やその評価については、「サステナビリティ報告書」にまとめて公表するのが一般的である。
DJSI(ダウ・ジョーンズ・サスティナビリティ・インデックス)
GRIスタンダードと同様に、「経済」「社会」「環境」の視点から分析する世界初のサステナビリティ評価指標で、一定の評価基準に達した優れた企業はDJSI銘柄として選ばれる。
サステナビリティ経営の4つのメリット
サステナビリティ経営を行い、その活動内容を内外に示すことでどのようなメリットが得られるのだろうか。
1.企業価値の向上につながる
サステナビリティへの取り組みは、SDGsを意識した商品やサービスを提供していることや企業内の組織運営ができていることの証明にもなるため、企業のイメージはもちろん価値の向上にもつながる。
また、ESG投資の普及もあって企業評価にもサステナビリティが深く関わるようになり、投資家からの評価向上にもつながるかもしれない。
2.新規事業創出や事業拡大の実現
SDGsの各目標の市場規模に関する2017年のデロイトトーマツの試算によると、エネルギー関連で803兆円、産業・技術革新で426兆円、街づくり関連で338兆円など、かなりの市場規模になることが予測されている。
自社事業が該当する目標分野での事業拡大はもちろん、新規分野での事業創出や他社との協業などを進められる可能性がある。
3.従業員満足度の向上
サステナビリティ経営にはCSRへの取り組みも欠かせない。ステークホルダーである社員の労働環境や雇用条件の改善、キャリア形成支援による働きがいの改善は従業員満足度の向上につながるだろう。従業員満足度が向上すれば、結果的に離職率が低下する可能性がある。
4.人材の新規採用につながる
サステナビリティ経営に取り組んで社会に貢献し、その活動内容を外部に示すことで認知度や企業評価が向上すれば、それだけ優秀な人材の興味関心も高まる。人材不足が深刻だからこそ、サステナビリティへの取り組みを通して環境や人権保護への意識を示すことが、人材の新規採用につながるだろう。