この記事は2022年10月10日に「月刊暗号資産」で公開された「SWIFTがCBDCのクロスボーター取引とトークン化資産決済の実験に成功」を一部編集し、転載したものです。


CBDC(中央銀行デジタル通貨)とは?先行国と日本の状況【2022年版】
(画像=PIXTA)

銀行間の国際金融取引を手掛けるSWIFTが5日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)とトークン化資産が既存の金融インフラ上でシームレスに移動できる実験に成功したと発表した。

SWIFTは発表で「国際金融エコシステムに統合するための大きな一歩」と述べた。この実験はフランスに拠点を置く欧州最大のコンサルティング企業キャップジェミニ(Capgemini)との協業し行われたという。

今回、「異なるブロックチェーン間でのCBDCのクロスボーダー取引」と「複数のプラットフォームで発行されたトークン化資産の決済」の2つの実験が行われた。

SWIFTは発表で、「2つの実験から得られた成果は、異なる分散型台帳技術(DLT)ネットワークと既存の決済システムの橋渡しにより、国境を超えた取引における相互運用性という重要な課題を解決した。デジタル通貨と資産を並行してスムーズに流通させ、相互作用されることが可能となった」と説明。さらに、「今後、CBDCとトークンが発展するにつれ、世界200ヵ国以上の国および地域間の貿易と投資を促進するために迅速かつ大規模に展開することが可能となる」と述べた。

実験では米コンセンシス(ConsenSys)が手かげる「クオラム(Quorum)」と、米R3の「コルダ(Corda)」をベースにした異なるDLTネットワーク間でCBDC同士の取引を実現したという。現在、日本の三井住友銀行やBanque de France、Deutsche Bundesbank、HSBCなど14の中央銀行および商業銀行がテスト環境で協力し、早期の実現化に向け進んでいると説明した。

また、SWIFTのインフラを介して、複数のトークン化プラットフォーム同士が異なるタイプのトークン決済を相互接続にも成功した。トークン化資産の発行と転送ができたという。

シティ(Citi)、クリアストリーム(Clearstream)、ノーザントラスト(Northern Trust)、技術パートナーであるSETLと協力し、トークン化した債券、株式、現金の市場発行と流通市場での移動をシミュレートした。SWIFTは様々なトークン化ネットワークへの単一のアクセスポイントとして機能し、そのインフラを介して、トークンの作成、送金、換金、複数のクライアントウォレット間の残高更新などに成功したという。

SWIFTのチーフ・イノベーション責任者であるトム・シュシャック(Tom Zschach)氏は「デジタル通貨とトークンは将来的に行う支払いや投資方法を形成する大きな可能性を秘めている。私達のイノベーションはデジタルの未来の可能性を引き出すための大きな一歩だ」とコメント。

続けて、「私達のソリューションは中央銀行が単体のゲートウェイを通じ自行のネットワークを世界中の全ての決済システムに簡単かつ直接接続することを可能とし、クロスボーダー決済の即時かつ円滑な流れを確保できるようになry」と述べた。(提供:月刊暗号資産