この記事は2022年10月11日に「月刊暗号資産」で公開された「株安受けビットコイン等も下落 米CPI発表控え様子見姿勢強まる」を一部編集し、転載したものです。
10日の米国株式市場は4日連続の続落となった。金融引き締めによるリセッション(景気後退)への懸念とロシアによるウクライナ全土へのミサイル攻撃等による地政学リスクの上昇が投資家マインドを圧迫した格好だ。
S&P500は前営業日比27.27ポイント(0.75%)安の3,612.39ポイントと、日中安値からはやや持ち直して終了。後場ではそれまでの下げをほぼ埋める場面もあったが、取引終了間際に再び下げ幅が拡大した。また、ダウ平均は前日比93.91ドル(0.32%)安の29,202.88ドル、ナスダックは前日比110.30ポイント(1/04%)安の10,542.1ポイントで終えた。
半導体や製造装置の対中輸出規制強化が発表されたことを受け、半導体関連銘柄が売られたことが全市場を圧迫した。
米金融業界では、シカゴ連銀エバンス(Evans)総裁が「来年初めまでに金利を4.50%以上へと引き上げ、しばらく維持する必要あり、インフレはFRB(米連邦準備制度)が考えていたよりもはるかに持続的だ」と発言。また、ブレイナード(Brainard)FRB副議長は「金融政策はしばらくの間、制限的なものになるだろう。FRBはインフレの動向を評価する際にあらゆるデータを精査している」と語るなど、インフレ改善に時間を要することが示唆されたことも市場に警戒心を募らせた。
為替市場では円がドルに対し一時145円80銭まで落ち込むなど、政府・日銀が円買い介入を実施して以降の安値を更新。米長期金利が上昇したことにより、金利差を見込んだ取引が進められた。
暗号資産(仮想通貨)市場も米株式同様に全面安となった。
ビットコイン(BTC)は11日のアジア時間に入り再び1万9,000ドル(約276万円)を下回った。記事執筆時点でも同水準を推移しており、上値は依然として重い。
暗号資産市場は引き続き低迷した動きが続いているが、著名投資家のポール・チューダー・ジョーンズ(Paul Tudor Jones)氏は10日、米CNBCのインタビューで、「ビットコインとイーサリアムはその希少性により、インフレの上昇と弱いマクロ経済的な状況から恩恵を受ける可能性がある。米国経済はリセッションに入りつつあるが、FRBがインフレ抑止を目的とした利上げをやめれば市場は回復するだろう」と展望を語った。
さらに、「現在の暗号資産価格は非常に低い。潜在的にははるかに高いと思う。暗号資産、特にビットコインやイーサリアムは量が有限であることから、ある時点で価値を持つ。暗号資産は潮目が変わった時、脚光を浴びる態勢が整っている。ただ、今は最初に乗り越えなければならないリセッションが迫っている」と述べ、将来的な暗号資産市場の活性化を見据えビットコインを保有していることを明かした。
今週は日本時間13日未明にFOMC議事録発表、そして同日21時30分頃に9月の米CPI(消費者物価指数)の発表が控えている。特に米CPIの発表前後は暗号資産価格が乱高下することも少なくないため、警戒が必要となる。(提供:月刊暗号資産)