この記事は2022年10月18日に「月刊暗号資産」で公開された「世界の暗号資産経済圏ランキング、ドイツが1位に 日本は27位と大きく後退」を一部編集し、転載したものです。


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(画像=denisismagilov/stock.adobe.com)

暗号資産(仮想通貨)分析企業Coincubが17日、2022年第3四半期における世界の暗号資産経済圏ランキングを発表した。

このランキングは各国の暗号資産に関する政策や税制、取引高や中央銀行をはじめとする金融セクターの姿勢などをもとに作成されている。

2022年第3四半期のランキングでは、ドイツが1位となった。2022年第2四半期に首位であった米国は7位に転落している。

なお、今回のランキングにおいて日本は27位となり、大きく順位を下げた形となった。2022年第2四半期は11位、そして2022年第1四半期は10位であった。特に税制に関するスコアが低く、マイナス10と評価された。

Coincubは1位となったドイツについて、「暗号資産に対する前向きな見通しを持っている」と総評を述べた。ドイツは国として暗号資産に対し早い段階から取り組んでおり、政策の明確化に努めてきたと説明する。

また、暗号資産の長期投資の面でも他国と比べ優れていると指摘する。ドイツでは1年以上保有した暗号資産を売却し、利益が出たとしても非課税となる。今年5月、ドイツ財務省は暗号資産の所得税に関するガイドラインを発表しており、暗号資産取引のみならず、マイニング、ステーキング、エアドロップなどについても優遇する姿勢を打ち出している。

対して、米国の暗号資産課税政策は負担が大きく、投資家に対して不利なものだと説明。それでも、米国を拠点とする暗号資産関連企業数は圧倒的に多く、また暗号資産保有数も首位のベトナムに続き人口に対して13.7%が保有している。

こうしたデータから、2022年第4四半期では結果に変化が生じる可能性があるとCoincubは指摘している。なお、ベトナムの人口に対する暗号資産の保有率は20.27%となっている。

今回のランキングでは、スイスが2位に浮上した。同国のルガーノ市は、ビットコインやテザー(USDT)、スイスフランに裏付けられたステーブルコイン・LVGAを実質的に法定通貨として指定したことでも知られる。先日には、ルガーノ市のマクドナルドやアートギャラリーなどでビットコインなどによる暗号資産決済の受付が始まっている。

スイスは兼ねてより主要な暗号資産およびブロックチェーンに対する取り組みが注目されており、こうした姿勢が順位に反映されたと説明。また、3位のオーストラリアについては、積極的な規制整備、合理的な税制、政府が暗号資産ベースの決済システムを支持している点が有利に働いたと述べた。

前回のランキングで3位であったシンガポールは、国民の間で暗号資産への投資が広く受け入れられているものの、シンガポール金融管理局(MAS)による厳格な金融ライセンス制度の整備と個人投資家への取引額制限措置強化の影響を受け、5位となった。

一方で、アラブ首長国連邦(UAE)は18位から4位へと大幅に順位を上げた。

UAEは政府が積極的に暗号資産経済圏の構築を進めている。非課税地域を設け、暗号資産に有利となる税制を採用する見通しであることが順位に大きく影響したという。(提供:月刊暗号資産