ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みは、投資先や取引先を選択する上で投資家のみならず、大手企業にとっても企業の持続的成長を見極める視点となりつつある。本企画では、エネルギー・マネジメントを手がける株式会社アクシス・坂本哲代表が、各企業のESG部門担当者に質問を投げかけるスタイルでインタビューを実施。今回は、積水ハウス株式会社の執行役員 環境推進部長 兼 温暖化防止推進室長の近田智也氏にお話を伺った。

積水ハウス株式会社は大阪市に本社を構える住宅メーカーだ。戸建や分譲、賃貸といった住宅事業や建築・土木、リフォーム、マンション、都市再開発などを手がけ、アメリカ、オーストラリア、イギリス、シンガポール、中国でも住宅や開発事業を展開している。

同社は業界に先駆けて省エネ住宅に取り組み、新築戸建てのZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)比率は92%(2021年度)と高水準を実現。本稿では取り組みの詳細や現状の課題、進むべき未来像などについて、インタビューを通じて紹介する。

(取材・執筆・構成=大正谷成晴)

近田氏
近田智也(ちかだ としや)
――積水ハウス株式会社 執行役員 環境推進部長 兼 温暖化防止推進室長
略歴:1992年東京理科大学理工学研究科建築学専攻修了、同年積水ハウス株式会社入社。
総合住宅研究所にて温熱環境の研究に従事。
1998~2000年(財)住宅・建築省エネルギー機構(現、(一財)住宅・建築SDGs推進センター)に出向し、環境共生住宅認定の立上げ等を担当。
2006年より温暖化防止研究所に配属。主に省エネ住宅の研究開発・販売促進を担当。
2018年より温暖化防止推進室長、2019年より環境推進部長兼温暖化防止推進室長。2021年より執行役員。
主な社外活動としては、CASBEEすまい検討小委員会幹事、日本建築学会LCA指針検討小委員会主査などを務める。
2000年に、住宅のLCA研究にてPLEA2000 Best Paper Award受賞。博士(工学)。

積水ハウス株式会社
積水ハウスは、お客様がそれぞれに望まれる暮らしを、自由設計と、先進の技術による、快適で安全安心な住まいで実現。さまざまな研究開発から設計施工・アフターメンテナンス、リフォームまで、一貫して高い品質、サービスを自社グループで行い、お客様をサポートしている。こうして培った技術やノウハウを生かし、賃貸住宅やマンションをはじめ、まちづくり、都市開発や国際事業など、よりよい住環境に貢献する事業を展開。
坂本 哲(さかもと さとる)
―― 株式会社アクシス代表取締役
1975年6月21日生まれ。埼玉県出身。東京都で就職し24歳で独立。情報通信設備構築事業の株式会社アクシスエンジニアリングを設立。その後、37歳で人材派遣会社である株式会社アフェクトを設立。38歳で株式会社アクシスの事業継承のため、家族とともに東京から鳥取にIターン。

株式会社アクシス
エネルギーを通して未来を拓くリーディングカンパニー。1993年9月設立、本社は鳥取県鳥取市。事業内容は、システム開発、ITコンサルティング、インフラ設計構築・運用、超地域密着型生活プラットフォームサービス「Bird(バード)」運営など多岐にわたる。

目次

  1. 積水ハウス株式会社の省エネ住宅に対する取り組み
  2. 積水ハウス株式会社が考える脱炭素経営の社会・未来像
  3. 積水ハウス株式会社のエネルギー見える化への取り組み

積水ハウス株式会社の省エネ住宅に対する取り組み

アクシス 坂本氏(以下、社名、敬称略):当社は鳥取県に本社を構え、システム関連の開発を手がけています。昨今は電力を可視化するサービスの提供にも取り組んでいます。本日はよろしくお願いいたします。

積水ハウス 近田氏(以下、社名、敬称略):積水ハウスで環境推進部長と温暖化防止推進室長を務めている近田です。もともとは省エネ住宅が専門で、現在は生物多様性や資源循環など全般を見ています。今日は弊社の取り組みをお伝えしたいと思います。

坂本:御社は1999年に「環境未来計画」を発表し、現在は「良質な住宅ストックの形成」「持続可能な社会の実現」「ダイバーシティ&インクルージョン」のマテリアリティを特定した上で、ESGにも積極的に取り組んでいます。多岐にわたりますが、ここでは積水ハウス様の省エネ住宅への取り組みについてお聞かせください。

近田:弊社はかなり前から環境への取り組みとして省エネ住宅の建築を進めていて、先ほどご紹介いただいた「環境未来計画」において、全社の方針としてこれを位置づけました。1997年に京都で開催された「COP3(気候変動枠組条約第3回締約国会議)」で「京都議定書」が採択され、CO2問題が一般の消費者にも知れ渡るようになった頃です。これを機に、弊社の事業でどれほどのCO2を排出しているのか自前で調査・推計しました。

坂本:当時としては、かなり先進的な取り組みです。

近田:いまでいうところのScope1、2、3ですが、わかったのは、我々が提供している住まいの利用段階に伴うCO2排出量が圧倒的に大きく、ライフサイクルの約7割を占めていることでした。そこで着手すべきは省エネ住宅だと認識し、本格的に脱炭素への様々な取り組みを始めたのです。例えば最近、2025年度以降は原則すべての新築建物への省エネ基準適合が義務化されることになりましたが、これは1999年に国が定めた断熱基準とほぼ同等の水準で、弊社では2003年には標準仕様にしていました。エネルギー消費が大きい給湯に関しても、高効率給湯器を2005年に標準仕様にしています。

また、2008年に開催された「北海道洞爺湖サミット」の会場において、政府の要請に応じて、大容量の太陽光発電システム・家庭用燃料電池・高効率照明・省エネ家電などを組み合わせた「ゼロエミッションハウス」を建設しました。これはライフサイクルCO2(建物の企画から解体にわたり排出するCO2量)をゼロにする家ですが、実際に建てることで難易度が判明し、当時はコストが高く、販売するのが難しいことを実感しました。ただし、長期目標としてはあり得ると考え、2050年までにはすべての住宅をライフサイクルCO2ゼロにすると宣言しました。これは今で言う脱炭素宣言に相当します。

「ゼロエミッションハウス」の代わりとして2008年には高度な省エネ技術と太陽電池・燃料電池の発電により居住時のCO2排出量を差し引きゼロにする「CO2オフ住宅」を販売しました。ただ、それでも高額ということもあり、数十棟しか売れませんでした。

坂本:マーケットに省エネ住宅を受け入れる土壌が整っていなかったからでしょうか。

近田:おっしゃるとおりです。しかし弊社では省エネ住宅の普及を推進すべく、その翌年には太陽電池や燃料電池を組み合わせCO2や高熱費を大幅に削減できる環境配慮型住宅「グリーンファースト」を発売しました。これもコストアップしましたが、快適性や経済性をアピールしたところご支持いただき、2~3年で当社の戸建ての約8割が「グリーンファースト」になりました。CO2削減を目指すのは良いことですが高すぎると売れませんし、売れなければCO2削減効果も見込めません。お客様にとっても環境は大切ですが予算は決まっているので「設備や内装の仕様を下げて、太陽電池を載せましょう」といってもご納得いただけないでしょう。省エネとコストの見極めが非常に重要だということがわかりました。

坂本:グリーンファーストで省エネ住宅の手ごたえをつかんだと思いますが、その後の展開はどうなりましたか。

近田:ゼロエミッションハウスに向けバージョンアップを図るべく、2013年にZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス:省エネ・断熱・創エネによるエネルギー収支ゼロの住宅)の商品「グリーンファースト ゼロ」を発売しました。この時もコストアップしましたが、お客様にZEHのメリットを訴求することでご理解いただき、2021年度における新築戸建てのZEH比率は92%にまで達しました。

▽積水ハウスのZEH(戸建)

ZEH(戸建)
(画像提供=積水ハウス株式会社)

坂本:省エネ住宅の変遷について、理解を深めることができました。その他の取り組みついてはいかがでしょうか。

近田:グループ全体のCO2排出量で次に大きいのは建材の製造段階です。このことは「環境未来計画」発表時点の試算でわかっていたので、我々としても工場の設備を省エネ化したり、部材量を減らしたりする施策を行っていました。しかし、住宅は外部の業者様に作っていただく部材がかなり多いアッセンブリ産業なので、自社だけの取り組みでは限界があります。そこで、昨年からはサプライヤーに対してもCO2削減にご協力をお願いしています。サプライヤーには、炭素税やESG投資の話もあり、事業継続性の面からも自主的に取り組むべきだと説明して、SBT認定目標(CO2排出量の削減目標)の設定をお願いしています。お願いするだけでなく、CO2の算出方法や具体的な削減策についての勉強会を何度も開催しています。建築部材のサプライヤーには中小企業も多いのですが、CO2排出量の算出方法をここで学んでいただき、SBT認定を取得するところも出てきました。そのような企業には次の勉強会で取り組みを発表していただくことで、同じ規模の企業にも施策が広がるという好循環が生まれつつあります。サプライヤーは一般的に複数の建設会社と取引があるので、弊社のお願いに賛同いただきCO2を減らした効果は、建設業界全体に波及することにつながります。

積水ハウス株式会社が考える脱炭素経営の社会・未来像

坂本:DXやIoTが進み、スマートシティのような構想が現実味を帯びてきました。そのような未来において、積水ハウス様が考える脱炭素社会のイメージをお聞かせください。

近田:スマートシティの定義はきちんと定まっていませんが、建物としてはデマンドレスポンス(電力の需給バランスを調整する仕組み)について語られることが多いと思っています。我々の未来構想の中にも入っていますが、個社ではなく社会全体で進めていく話なので、世の中の動きを見ながら取り組んでいきたいと考えています。お客様あっての我々の事業ですから、お客様の暮らしを大事にしたく、デマンドレスポンスにより生活が窮屈になっては本末転倒です。そうならないようにするのは、住宅産業側の役割だと考えています。

ZEHの推進においても、(熱が逃げやすい)窓を小さくしたほうが省エネに効果的でZEH化しやすいのですが、そのような家に住んでほしくありません。広々とした明るい空間で快適に過ごしていただきたく、それでいてゼロエネルギーも達成すべきだと考えています。デマンドレスポンスで実現するスマートシティにおいても、そのような住まいを提供することが我々の考える未来像です。その中でDXやIoTをどう活用していくか、が順序だと思います。

近田氏
(画像提供=積水ハウス株式会社)

坂本:ありがとうございます。一方で積水ハウス様は省エネ住宅を始め、ESGや脱炭素に関する情報を積極的に公開しています。今後脱炭素社会を実現するために、各企業はどういったプロモーションや情報公開を心がけるべきでしょうか。

近田:我々のことを振り返ると、新しい取り組みで省エネ住宅の市場を切り拓いてきたと自負しています。先頭を走っていると試行錯誤しながらですが、取り組みの妥当性は10年後の結果を待つのでは遅いので、まずは情報開示します。すると、さまざまな方からご意見をいただけるので、ここは良い、ここは修正が必要だと気付くことも多々あります。情報開示は、我々の事業活動の妥当性を確認するための作業ともいえると思います。

積水ハウス株式会社のエネルギー見える化への取り組み

坂本:省エネや脱炭素を進めるには、電気やガスといったエネルギーの使用量を数値として表示・共有する「エネルギーの見える化」が必須といわれています。冒頭でも申し上げたとおり、弊社もそのようなソリューションを提供していますが、積水ハウス様は省エネ住宅においてどのように取り組んでいますか。

近田:見える化には以前から興味があり、住宅には早い段階で「HEMS(Home Energy Management System:住宅のエネルギーの見える化、設備の制御・管理システム)」を導入しました。それも試験的に自社開発を行い、ある分譲地に設置してお客様の反応を見るといったことを何度か行っています。そこで感じたのは、一般の方々に見える化の効果を過度に期待するのは難しいということです。

坂本:なぜでしょうか。

近田:お客様がHEMSモニターでどのような情報を確認されているかのログを取ると、HEMSを設置した最初の3ヵ月くらいは確認されますが、そのうち見なくなることがわかったからです。ある分譲地で省エネを競うイベントを開催したところ、上位10世帯くらいが常連として固まると他の世帯は参加されなくなったこともありました。一般家庭だと数ヵ月もするとどういう生活をすればどれくらいエネルギーを削減できるかが分かるため、HEMSモニターを見続ける必要がなくなることも関係しているでしょう。

ただし、デマンドレスポンス社会が到来して、リアルタイムのエネルギーの使い方を変えることが光熱費に関わるようになると、HEMSの役割はより重要になります。この時、HEMSはエネルギーの見える化よりも、エネルギーの自動制御機能が求められるようになると推測しています。住まい手は結果を月に一回くらい確かめるというのが、現実的ではないでしょうか。かたや事務所や商業施設といった事業系の建物だと話は変わり、今でもエネルギーの見える化は重要だと考えています。経営において光熱費削減は重要ですし、脱炭素への取り組みの面でも事業者の関心は高まっています。弊社も事業系建物では「BEMS(Building Energy Management System:ビルのエネルギー見える化、設備の制御・管理システム)」の設置を訴求しています。

坂本:近田様のおっしゃるとおり、一般消費者にエネルギー見える化の意義はあまり伝わっていないと思います。そのため、私たちもまずは企業に対して脱炭素に向けたScope1、2、3の集計をサポートしています。ちなみに積水ハウス様の各事業所では、どのように集計されていますか。

近田:Scope1、2については各拠点のエネルギー消費量のデータを専用システムを用いて集計しています。Scope3に関しては、カテゴリー1(購入した製品・サービス)とカテゴリー11(販売した製品の使用)でCO2排出量の約9割を占めています。カテゴリー11は1棟ごとに国が公開しているプログラムを用いてエネルギー消費量を計算しているので、これにエネルギー源別のCO2排出係数を乗じて計算しています。カテゴリー1は部材毎の重量などにCO2排出原単位を乗じて計算しています。以前は金額ベースでCO2排出量に換算していましたが、これでは実際の排出量とは関係なく、物価の変動で排出量が変わってしまいます。そこで、数年前に物量ベースで計算する方法に変更しました。ただし、まだ大きな課題が残っています。それは、CO2排出原単位が産業連関分析に基づくもの、つまり日本平均の値であることで、サプライヤー各社の脱炭素化の取り組みが計算に反映されないことです。今後、この計算方法をどのようにするかは建設業界全体の課題だと考えています。

坂本:いまの日本では一般家庭で発電しても、個人同士で電気の売買はできませんが、将来P2P(ピアツーピア)のような取り組みが始まると住宅にも導入されていくと思います。そういうことが可能になったとき、積水ハウス様ではどのように対応していくかという方向性は検討が進んでいますでしょうか。

近田:その時の状況次第だと思うので現時点でお答えするのは難しいところですが、売買できるとしたら太陽電池や燃料電池の発電電力だと思います。10年後にどうなっているかわかりませんが、発電電力は売るのではなく自家消費率を上げていくという方向性が考えられます。2035年以降は電動車しか販売できなくなる話もあり、住宅の電力消費量は自家用車分、増えるかもしれません。この場合、自家用車の電力も太陽電池で賄うということになり、余剰電力は減っていくと思います。

そうならず、まち全体で最適化を目指すというのなら、高度なHEMSやCEMS(Community Energy Management System)などが出てきて電力を融通し、エリア全体の最適化を目指すのかも知れません。いまはどちらに向かうかわからず、どちらであっても対応できるよう準備していますが、後者の場合は社会全体の取り組みなので、国や行政を含めた仕組み作りが求められると思います。

坂本:弊社は昨年に鹿島建設と資本提携し、スマートシティを意識したデータ収集の在り方について取り組み始めています。最終的には自治体単位で資源が循環する仕組みになっていくと思っていまして、その中でP2Pも出てくると予測して準備を進めているところです。

Scope3に関しては東京大学と意見を交換していますが、業界団体ごとに基準を決め、政府に認定してもらう形が濃厚だといいます。海外を含めると各国の基準が大きく異なるため、そのような施策にならざるを得ないというのが大方の見方です。

近田:我々の守備範囲については、計算方法に課題があるにせよ取り組んでおきたいと考えています。ちなみに、アクシス様のエネルギーの見える化システムは、一般消費者向けにも何かされていますか。

坂本:現状は企業向けのソリューションです。もともとFIT(固定価格買取制度)が始まる前に太陽光発電所の監視計測に取り組んでいました。昨今は地域電力が増えたこともあり、電力を色分けするトレーサビリティシステムを提供しています。その中で、各企業に報告義務が出てきた段階で、今度は需要家側の見える化としてダッシュボードという見える化のサービスを始めたという流れです。我々が多くの企業と対話する中でわかったのは、集計業務は手間がかかり、サプライチェーン側は中小企業が多く、高度な仕組みを求めるのは困難ということです。ならば自動取得するシステムを提供し、サプライチェーンは取得したものを数字として認識することから始める。中小企業支援を目的に、私たちのサービスを活用する方向で考える企業は多いようです。

企業のアピールとして導入するケースも見られます。Z世代以降は環境意識が高く、エネルギーの見える化システムを入れ、デジタルサイネージに表示させるといったことを始める企業も増えてきました。日本だと消費者の行動変容にまでつながるケースは稀ですが、海外展開している企業だと「環境配慮の有無が不買運動に発展する可能性があるため、見える化を進めたい」という声もあります。

近田:そうなのですね。

坂本:積水ハウス様では、2030年度には2013年度比でScope1、2は50%、Scope3は45%削減するとの目標を掲げていますが、進捗はいかがですか。

近田:「バリューレポート」で公表していますが、Scope1、2は46.6%、Scope3にいたっては55.5%と、すでに目標を達成しています。これを受けてScope1、2は目標を75%に引き上げ、Scope3は現在どこまで引き上げるか検討しているところです。

目標達成の背景として挙げられるのは、賃貸住宅のZEH化です。日本全体の戸建住宅のZEH化率は現時点で20%にも達していません。賃貸住宅はさらに少ない中、弊社では積極的に進めていて、2021年度実績で8,501棟、累計で1万2,000棟を超え、今年度はさらに伸びる見込みです。賃貸住宅は建てる方と住む方が異なるのが戸建住宅よりZEHの推進が難しいところです。入居者にとってZEHは快適性、光熱費の削減や停電時でも電気が使えるといったメリットがありますが、オーナー様にとってはイニシャルコストアップとなります。我々としては、ZEHの付加価値を入居者に訴求できれば、家賃を高く設定しても入居率を落とさず利回りを据え置くかそれ以上にすることができるといった提案をしています。

▽ZEH化した積水ハウスの賃貸住宅「シャーメゾン」

シャーメゾンZEH
(画像提供=積水ハウス株式会社)

また、近い将来、新築の賃貸住宅は恐らくすべてZEH化していて、そのときにZEHでない賃貸住宅は競争力を失うかもしれません。「長期的に賃貸住宅で資産運用をするなら、いま建てる賃貸住宅はZEH化してはいかがでしょうか」という提案はオーナー様にも響くようです。

一度住むと快適性や光熱費のメリットから次の住まいもZEHに住みたいと考えられる方が多いです。比較的短期間で住まい手が入れ変わる賃貸住宅は、世の中にZEHファンをどんどん増やしていきます。ファンが増えるとZEHを建てるオーナー様や企業も増えてくるので脱炭素化が更に進みます。ZEH賃貸住宅には、そういったアウトカム効果も期待しています。

坂本:最後の質問です。昨今は機関投資家・個人投資家の間でESG投資が定着してきました。この観点で、積水ハウス様を応援することの魅力をお聞かせください。

近田:私の専門であるESGの「E」についてお話しますと、エネルギー産業や自動車産業、鉄鋼産業などに社会の目が向きがちで、住宅産業の影響は大したことはないと捉えられているかもしれません。しかし住宅産業はバリューチェーン全体を見ると様々な産業とつながっており、その分、社会への影響度も大きいと我々は考えているので、ぜひ目を向けていただきたいです。住まいは生活の拠点であり多くの人にとって長い時間を過ごす大切な場所です。そのため、環境以外にも健康や教育、介護といった様々な社会課題に向き合っています。ここに関わる弊社の活動をご覧いただき、是非ともご意見をいただきたい次第です。

坂本:本日のお話で、住宅を通じた省エネ・脱炭素社会に向けた取り組みが理解できました。ありがとうございました。