目次
新築マンションと中古マンションを比べると「新築マンションは買うな」という気持ちになる人もいるかもしれません。実際、購入するならどちらを選ぶべきなのでしょうか。
本記事では、新築と中古マンションのメリット・デメリットと、それぞれの物件がどれくらいの人たちに選ばれているのかを具体的なデータとともにお伝えします。最後まで読んでいただくと、マンション経営ではどちらを選択すべきかが、きっとわかるはずです。
1.新築マンションは買うなと言われる「3つの理由」
「新築マンションは買うな」と言われる主な理由は下記の3つです。
・賃貸と比べて設備のコストがかかる
・中古マンションと比べて住居環境が想定しづらい
・価格変動が激しい(価格の高騰)
それぞれ、分譲マンションと比較、中古マンションと比較、新築マンションの特性を軸に記載しています。
新築マンションの購入は人生でも最も大きい買い物と言えます。メリットとデメリットをよく比較することが重要です。
1-1.賃貸と比べて設備のコストがかかる
新築マンションは、最新設備が整っていることが魅力の一つです。しかし、その裏側には、高額な維持費がかかるという現実があります。
初期費用: 最新設備の導入には多額の費用がかかり、それがマンション価格に反映されます。
ランニングコスト: 高機能な設備は、電気代や水道代など、ランニングコストも高くなる傾向があります。
故障時の修理費用: 最新設備は、故障した場合の修理費用も高額になる可能性があります。
特に、太陽光パネルやスマートホームシステムなど、最先端の設備を導入しているマンションの場合、これらの費用は無視できません。
1-2.中古マンションと比べて住居環境が想定しづらい
新築マンションは、実際に住んでみないと、その住み心地や周辺環境が分かりにくいという特徴があります。
遮音性: 壁の厚さや窓の種類などによって、遮音性は大きく異なります。
日当たり: 建物の構造や周辺の建物との関係によって、日当たりは大きく変わります。
共用部分の管理状況: 管理組合の運営状況や、共用部分のメンテナンス状況は、実際に住んでみないと分かりません。
中古マンションの場合、既に住んでいる人がいるため、口コミや情報収集によって、ある程度の住み心地を把握することができます。一方、新築マンションは、情報が少なく、住んでみて初めて問題に気づくケースも少なくありません。
1-3.価格変動が激しい(価格の高騰)
新築マンションは、中古マンションと比べて価格変動が激しい傾向にあります。
新築プレミアム: 新築であることによる価格の上乗せが大きく、中古マンションよりも高額になることが多いです。
土地価格の上昇: 都市部では、土地価格が上昇傾向にあるため、新築マンションの価格も上昇する傾向にあります。
建築費の上昇: 物価の上昇や人件費の高騰などにより、建築費が上昇し、新築マンションの価格に転嫁されることがあります。
特に、人気のエリアや駅近の新築マンションは、価格が高騰しやすい傾向があります。
2.新築マンションのメリット
新築マンションを買うな、という意見もある一方で、新築マンションにも次のようなメリットがあります。
・設備がしっかりしている
・新築プレミアがついている
・税制優遇が受けられる
・耐震基準が最新で安全
・修繕費がかからない
これらのメリットについてもしっかりと理解した上で購入を検討するようにしましょう。
2-1.設備がしっかりしている
新築マンションの大きな魅力の一つが、最新の設備が整っている点です。
キッチン: ディスポーザーや食洗機、IHクッキングヒーターなど、家事の負担を軽減してくれる高機能な設備が標準装備されていることが多いです。
浴室: 浴室乾燥機やミストサウナなど、快適なバスタイムをサポートする設備が充実しています。
トイレ: 温水洗浄便座や手洗い一体型トイレなど、清潔で快適なトイレ空間が実現されています。
セキュリティ: オートロックシステムや防犯カメラなど、セキュリティ面も充実しており、安心して暮らすことができます。
中古マンションでも設備が充実している物件も多くなっていますが、経年劣化をしていたり、前の住人の使用状況が悪く品質が落ちている場合もあるため、このような最新の設備が初期段階から整っているのは新築ならではと言えます。
2-2.新築プレミアがついている
新築マンションは、中古マンションと比較して価格が高くなる傾向にあります。これは、新築であることによる「新築プレミア」が付いているためです。
新築プレミアがつく理由は、以下の点が挙げられます。
誰も住んでいないことによる安心感: 中古マンションのように、前の住人の生活痕跡が残っている心配がありません。
最新の設備: 最新の設備が導入されており、快適な生活を送ることができます。
清潔な状態: 全てが新品なので、清潔な状態で生活を始めることができます。
新築プレミアは、物件の立地や周辺環境、設備の充実度などによって、その大きさが異なります。
2-3.耐震基準が最新で安全
新耐震基準は、1981年に制定された日本の建築基準法に基づく耐震基準です。それ以前の建物と比較して、より大きな地震に対して建物の倒壊を防ぐことが可能です。
新耐震基準では、震度6強~7程度の大きな地震が来ても、建物が倒壊しないように設計されています。建物の構造計算が義務化され、より詳細な設計が可能になりました。
また新耐震基準の建物は、住宅ローン減税などの優遇措置の対象となる場合があります。
2-4.修繕費がかからない
新築マンションは、建物全体が新しく、設備も全て新品なので、当面は大きな修繕費用がかかる心配がありません。
中古マンションの場合、築年数が経つにつれて、設備の故障や建物の老朽化による修繕が必要になることがあります。その費用は、数十万円から数百万円単位になることもあります。
新築マンションであれば、このような修繕費の心配をすることなく、快適な暮らしを送ることができます。
3.新築マンションのデメリット
新築マンションには多くのメリットがある一方で、次のようなデメリットが潜んでいます。
・価格が高額である
・過去の入居実績がわからない
・物件数が限られ選択肢が少ない
・周辺環境・近隣住民がわからない
・消費税増税の影響を受けやすい
このようなデメリットについても十分に理解した上で検討することをおすすめします。
3-1.価格が高額である
新築マンションは完成したばかりであり、どうしても価格が高額になります。毎月のローン返済も中古に比べて多めで、収益性を示す利回りは中古より低くなるでしょう。しかし 家賃は高めに設定でき売却価格も下がりにくいため、長期的な収支で見れば決して中古に劣るものではありません。
近年ではマンション価格が高騰しており、国土交通省の不動産価格指数によると全国の住宅価格は上昇傾向にあります。
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001765683.pdf
3-2.過去の入居実績がわからない
新築はこれから入居者を集めるため、実際にどれくらいの入居率になるかわかりません。中古物件はこれまでの入居実績がわかるため、それを参考に購入するかを判断できます。そのため、新築物件こそ都心のような賃貸需要が手堅い地域の物件を選ぶことが大切です。
3-3.物件数が限られ選択肢が少ない
全国宅地建物取引業協会連合会の年次レポートによると、2021年の首都圏の新築マンション供給数は33,636件で、中古マンションのおよそ1/5しかありません。さらにその中でも本当に好条件の物件は、数が限られているでしょう。
3-4.周辺環境・近隣住民がわからない
新築マンションは、周辺の建物がまだ建設中で、完成していない場合もあります。そのため、完成後の周辺環境や近隣住民の状況を事前に把握することが難しい場合があります。
同じマンションにどのような人が住んでいるのかは、その後のトラブル回避のためにも重要な確認項目の一つのため、事前に確認が難しいのはデメリットだと言えます。
3-5.消費税増税の影響を受けやすい
新築マンションは、建物部分に消費税がかかります。そのため、消費税率が変更になると、新築マンションの価格も変動する可能性があります。消費税増税の際には、価格が上昇する可能性があるため注意が必要です。
つまりいかにマンション経営に有利な新築マンションを購入できるかが、マンション経営の成功の鍵を握っているとも言えます。
4.中古マンションのメリット
続いて、中古マンションにはどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
・価格が安い
・実物を見て購入できる
・物件数が多い
中古マンションには上記のようなメリットがあります。
価格が安い点や実物を見て購入できる点はかなりメリットだと言えます。
4-1.価格が安い
中古物件はその安さが一番のメリットです。収益性を表す利回りも高く、魅力を感じる人も多いでしょう。ただし 物件情報サイトに掲載されている利回りは、諸経費を考慮しない表面利回りです。収益から修繕費などを引いた実質利回りが本当の収益性であり、表面利回りと大きく異なることがあるため注意が必要です。
4-2.実物を見て購入できる
実際の間取りや状態を確かめて購入できるのは、中古ならではのメリットです。完成前に販売を開始し契約まで行うことが多い新築は、完成予想図から建物を想像するしかありません。ただし中古であっても入居者がいると、室内までは見られないこともあります。
4-3.物件数が多い
希望の条件に合った物件を見つけやすい
比較検討がしやすく、相場観がつかみやすい:
多くの物件を比較検討することで、相場観を掴みやすくなります。
自分の希望する条件と照らし合わせながら、最適な物件を選ぶことができます。
交渉の余地がある場合が多い:
物件によっては、価格交渉が可能になる場合があります。
他の物件との比較などを行いながら、有利な条件で契約できる可能性があります。
5.中古マンションのデメリット
一方で、中古マンションには次のようなデメリットがあります。
・修繕費がかかる
・融資が厳しい場合がある
・設備や間取りが古い
・地震被害のリスクが高い
5-1.修繕費がかかる
中古マンションの最大の注意点は、修繕費が早い時期にかかることです。 特にローンを組んで物件を購入し、家賃収入をほとんど返済に回す計画の場合は要注意です。建物の修理が突然必要になれば、自己資金を使って修理することになり一気に赤字に転落する恐れもあります。
5-2.融資が厳しい場合がある
銀行は建物の担保評価で融資額を決めるため、建物の条件によっては希望通りの金額で融資を受けられない可能性があります。つまり中古マンションは古いほど自己資金が必要になる可能性があり、物件が安く手に入るからといって気軽にマンション経営が始められるとは限らないのです。
5-3.設備や間取りが古い
中古物件は設備や間取りが古く、入居者に敬遠される可能性があります。古くて安い物件ほどその傾向は強く、建物価格だけでなく間取りや設備の状態をしっかり検討したうえで購入する必要があります。 安く購入できても入居者が現れなければ、赤字になることを十分承知しておきましょう。
5-4.地震被害のリスクが高い
1981年以前の古い耐震基準で建てられたマンションは、震度5以上の地震が起きたときに建物が大きな被害を受ける可能性があります。そのため、この時代以前のマンションの購入は慎重に検討すべきです。もし地震保険に加入していなければ、被害の修繕費は全て自己負担になります。
6.新築マンションは中古に比べて有利な点が多い
ここまでお伝えしたように、新築マンションは中古マンションに比べて有利な点が多く見られます。特に長く所有し経営を続けたときに利益を生みやすく、将来の資産形成という点ではより有利と考えられます。
一方の中古マンションは金額が安い点が大きなメリットです。しかし経営を始めた後のリスクが多く、さらに修繕や入居者集めへの対策も必要でしょう。中古マンションはよく耳にする、「手のかからない資産運用」という訳にはいかないようです。
改めて全国宅地建物取引業協会連合会のレポートを見ると、首都圏の新築マンションの成約率は73.3%と中古マンションの24.7%を大きく上回っています。つまりメリットが多い上に数が限られているため 「条件の良い新築マンションは売りに出ればすぐに買われてしまう」という現状が見えてきます。
そのため新築でマンション経営を考えている人たちは、他の人にあまり新築マンションを買って欲しくない、と考えていてもおかしくはないでしょう。
マンション経営は実際に運用を始めてから、利益を生み出すかどうかを冷静に判断して物件を購入すべきです。そうした意味で、新築マンションは大きな可能性を秘めています。限られた新築物件をぜひ手に入れて、より有利な条件でマンション経営をスタートさせましょう。
(提供:Dear Reicious Online)
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