NISA制度の見直しにより、ジュニアNISAは2023年での制度終了が決まっています。制度が終了するまでは口座開設が可能ですが、今から始めても遅くないのでしょうか。投資で教育資金の準備や資産形成に取り組みたい場合は、ジュニアNISAについて理解しておくことが大切です。

本記事では、ジュニアNISAの概要と今から始める3つのメリットを解説します。

ジュニアNISAとは

ジュニアNISAが2023年で制度終了!今から始める3つのメリットとは?
(画像=umaruchan4678/stock.adobe.com)

ジュニアNISAとは、未成年者が対象の少額投資非課税制度です。まずはジュニアNISAの制度概要や廃止される理由について見ていきましょう。

ジュニアNISAの制度概要

ジュニアNISAの制度概要をまとめました。

対象者日本在住の未成年者
口座開設可能数1人1口座まで
運用管理者口座開設者本人(未成年者)の両親、祖父母など(二親等以内の親族)
非課税対象株式、投資信託などの配当金、分配金、譲渡益
非課税投資枠新規投資額で毎年80万円まで
非課税期間最長5年間
投資可能期間2023年まで(2023年で制度終了)
払出し18歳まで払出し制限あり

2022年は19歳までが対象ですが、成人年齢の引き下げに伴い、2023年の対象年齢は0~17歳です。未成年者が対象であるため、両親や祖父母などが運用管理者として口座開設や運用管理を行います。

ジュニアNISAは株式や投資信託などの運用益が非課税になり、毎年80万円まで投資できます。払出し制限があるため、原則として18歳までは運用資金を引き出せません。

ジュニアNISAが廃止される理由

NISA制度の見直しに伴い、ジュニアNISAは2023年での制度終了が決まっています。一般NISAやつみたてNISAに比べて利用実績が乏しいことから、制度を延長せずに廃止されることになりました。一般NISAとつみたてNISAについては、2024年以降、新制度へ移行される予定です。

制度終了決定後に口座開設数が増加

ジュニアNISAは、制度終了が決まった後も口座開設数は増加傾向にあります。日本証券業協会の調査によれば、2022年6月末のジュニアNISA口座数は688,489口座で、2021年末比25.6%の増加となりました。この結果から、今から始めても一定のメリットを得られることが読み取れます。

ジュニアNISAを今から始める3つのメリット

ジュニアNISAを今から始めるメリットは以下3つです。

制度終了後も非課税で運用を続けられる

ジュニアNISAは、2023年の制度終了時点で18歳になっていなければ、2024年以降も非課税で運用を続けられます。2024年以降の各年において、5年間の非課税期間が終了した際に運用資産を「継続管理勘定」に移管(ロールオーバー)することによって、18歳になるまで非課税で保有できます。

ロールオーバーできる金額に上限はありません。運用資産の時価が80万円を超えていても、すべてを継続管理勘定にロールオーバーできます。

株式や投資信託の運用益は、通常約20%の税金がかかります。18歳まで非課税で運用できるのは、ジュニアNISAの大きなメリットといえるでしょう。

18歳までの払出し制限が廃止される

ジュニアNISAは、原則18歳までの払出し制限があります。災害などのやむを得ない場合を除き、18歳になるまで資金を引き出せません。

しかし、2023年での制度終了に伴い、2024年以降は18歳までの払出し制限が廃止されることになりました。この措置により、運用途中でまとまったお金が必要になれば、口座を解約して資金を引き出せるようになります。手元資金の残高を過度に気にすることなく、安心して長期投資に取り組めます。

一般NISA・つみたてNISAと併用できる

ジュニアNISAは、世帯単位では一般NISAやつみたてNISAと併用できます。例えば、両親はつみたてNISA口座、子ども(未成年者)はジュニアNISA口座といった具合です。

2022年現在、一般NISAは年120万円(5年間で最大600万円)、つみたてNISAは年40万円(20年間で最大800万円)の非課税投資枠があります。併用することで非課税投資枠が増えるため、特定口座や一般口座よりも資産を増やせる可能性が高まります。

ジュニアNISAを今から始めるべき人の特徴

ジュニアNISAを今から始めるべき人の特徴は以下の通りです。

投資で教育資金を準備したい人

教育資金を準備する方法は複数ありますが、投資でまとまったお金を準備したい場合はジュニアNISAを活用できます。ジュニアNISAは制度終了後も18歳まで非課税で運用できるので、大学の入学金や授業料を準備するのに向いています。

18歳になるまでにまとまったお金が必要になっても、2024年以降は解約して資金を引き出せるため、使い勝手の良い制度といえます。

まとまったお金を投資に回せる人

2023年までに、未成年の子ども1人あたり160万円程度のまとまったお金を投資に回せる人も、ジュニアNISAを始めるメリットがあります。

ジュニアNISAの非課税投資枠は年80万円であるため、2023年の制度終了までに投資できる金額は未成年の子ども1人につき最大160万円(2022年、2023年それぞれ最大80万円)です。手元資金に余裕があり、投資で資産形成に取り組みたいならジュニアNISAを検討しましょう。

子どもの年齢が低い人

ジュニアNISAは、子どもの年齢が低い人にもおすすめです。ジュニアNISAは制度終了後も18歳になるまで非課税で運用できます。口座開設時の子どもの年齢が低いほど、非課税で運用できる期間が長くなるので有利といえます。

子どもの人数が多い人

ジュニアNISAを2022年から始めれば、制度が終了する2023年までの2年間で子ども1人につき160万円まで投資可能です。子どもの人数が増えるほど非課税投資枠も増えるので、子どもの人数が多い人はより多くのお金を非課税で運用できます。

生前贈与を受けられる人

暦年贈与には年110万円の基礎控除があります。生前贈与の際に暦年贈与が適用されれば、年間110万円まで贈与税が非課税になります。祖父母などから教育資金を援助してもらえる場合は、そのお金をジュニアNISAで運用するのも有効な選択肢です。

今からジュニアNISAを始める際の注意点

今からジュニアNISAを始める場合は、以下の点に注意が必要です。

元本割れの可能性がある

ジュニアNISAは、株式や投資信託などの運用益が非課税になる制度です。投資であるため、元本は保証されていません。運用がうまくいけば利益を得られますが、値下がりして損失が生じる可能性もあることを理解しておきましょう。

制度終了後は追加投資ができない

ジュニアNISAは、2023年の制度終了後も18歳になるまで運用を継続できます。しかし、金融商品を購入できるのは2023年までで、2024年以降は追加投資ができません。積み立てで少額ずつ元本を増やしていきたい場合は、ジュニアNISAは向いていないでしょう。

親の証券口座が必要

ジュニアNISAでは、運用管理者として両親などの親権者が口座開設手続きや運用管理を行います。そのため、通常はジュニアNISA口座を開設する金融機関において、親権者が証券口座を保有していることが条件となります。親が証券口座を開設していない場合は、新たに口座開設が必要です。

ジュニアNISAの始め方

ジュニアNISA口座開設の一般的な流れは以下の通りです。

1. 証券会社でジュニアNISA口座の開設を申し込む
2. 必要書類を記入して郵送する
3. 税務署で開設可能かを確認する
4. 口座開設完了の連絡が来る(取引開始)

証券会社によって手続きの流れが異なる可能性があります。必要書類については、口座開設を行う金融機関に確認しましょう。

まとめ

ジュニアNISAは2023年で終了しますが、2024年以降も18歳になるまで非課税で運用を続けられます。制度終了に伴い、2024年以降は18歳までの払出し制限が廃止されるため、資産形成に活用できるかもしれません。手元資金に余裕があり、投資で教育資金を準備したい場合はジュニアNISAを検討しましょう。

(提供:Incomepress



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