この記事は2022年11月28日に青潮出版株式会社の株主手帳で公開された「リンクアンドモチベーション[2170・プライム]従業員エンゲージメント市場のトップランナー 自立的個人×組織変革で生産性向上を実現」を一部編集し、転載したものです。


リンクアンドモチベーションは、独自で開発した基幹技術『モチベーションエンジニアリング』を用いて企業の組織課題解決、人材開発支援などを手掛けるHR系のコンサルティング会社だ。

日本で初めて従業員のエンゲージメント(会社と社員の相互理解・相思相愛度合い)に着目し、伸長著しいエンゲージメント市場において、5年連続で売上シェアトップを誇る。今期は過去最高の営業利益40億円を見込んでいる。創業者の小笹芳央会長に業績好調の理由や今後の展望等を聞いた。

▼小笹 芳央会長

リンクアンドモチベーション
(画像=株主手帳)

独自の基幹技術を活用 SaaSモデルで収益確保

リンクアンドモチベーションは、個人の意欲喚起、組織活性化を促進する基幹技術『モチベーションエンジニアリング』を活用し、企業の組織課題の解決、従業員の成長支援などのコンサルティングなどを行っている。

事業は大きく3つの領域で構成され、2021年度の売上構成比では『組織開発ディビジョン』が33%、『個人開発ディビジョン』が22%、『マッチングディビジョン』が45%を占めている。

祖業である『組織開発ディビジョン』は、同社が開発した『モチベーションエンジニアリング』を使い、従業員のモチベーションを成長エンジンとする“モチベーションカンパニー”創りを支援する。具体的には『モチベーションクラウドシリーズ』という従業員エンゲージメントの状態をスコア化するSaaSモデルを導入し、現状を把握。

その結果によって、同社がトレーニングプログラムの提供など、改善のためのコンサルティングを行う。加えて近年、従業員エンゲージメントのスコアを、人的資本に関わる指標として開示する企業が増加。また、同社はIR支援として、開示のための統合報告書や株主通信の作成支援なども手掛けている。

「『モチベーションクラウドシリーズ』では従業員の方にクラウド上で無記名で給与や企業理念、戦略、上司との関係性などの項目に記入いただき、当社が膨大なデータベースを基に偏差値化してスコアを算出します。また同じ業界や同規模の企業と比較した特徴等もお示しします。クラウドは月額課金、コンサルティングは実施レベルで料金がかかります。2022年12月期のクラウドの月会費売上は前年比133.0%の3億2,000万円と伸長を見込んでいます」(小笹芳央会長)

現在の顧客数は、保険・通信・建設・製造などの名だたる大手企業から中小ベンチャーまで約1,800社。創業以来に蓄積されたデータは2022年9月末時点で延べ9,660社、289万人分に及ぶ。

企業内個人向けDX支援が好調

同社は、2011年にパソコン教室のアビバ、2013年に資格スクールの大栄教育システムなど、周辺領域の事業を取得。基幹技術『モチベーションエンジニアリング』を、そうしたキャリアスクールなどのビジネスに適用し、個人のキャリア形成を支援する『個人開発ディビジョン』を展開している。

キーワードは『アイカンパニー(自分株式会社)』。個人が主体的、自立的な経営者としての視点で自らの強みや課題を見い出し、キャリアやスキルを磨いて価値を上げる。2021年からは、企業が実施する新人や管理職研修等の一部で、同社がITやPCスキル研修を支援する“企業内個人向けDX支援”も行っている。エンゲージメントに加え、個人のITやPCスキルが高まれば企業全体の生産性向上につながるという考えだ。

「例えば、企業さんが管理職研修を1週間実施する中、1日か2日、当社の持つDXスキルサーベイを受けていただき、スコアごとにメニューを何段階かご提供させていただきます。費用は内容により100万、200万円から数千万円まで。組織開発ディビジョンの顧客基盤を活用して伸びており、今期は前年比98%増の8億円を見込んでいます」(同氏)

3つめの『マッチングディビジョン』は、日本の小・中・高等学校に外国籍人材のALT(Assistant Language Teacher)を派遣するALT配置事業と、国内最大級の就職及び転職のためのクチコミ情報サイト『OpenWork』による人材紹介事業だ。

特に『OpenWork』は就活生の約2人に1人が登録している人気のサイト。同社はこの情報サイトを基盤にリクルーティングプラットホームを置く、2階建ての高収益なビジネスモデルを構築している。

今期、過去最高益40億円実現へ

2021年12月期連結売上収益は前年同期比6.0%増の326億4,400万円、営業利益は同140.2%増の20億6,600万円。2022年12月期の売上収益は同7.2%増の350億円、営業利益は同93.6%増の40億円の見込みとなり、過去最高益となる。

コロナ禍で同社がリモートを中心とした“Compatible Work*”に移行し、東京オフィスを始め全国拠点を縮小。家賃の約7割を削減するコストリダクションを実施したうえ、モチベーションクラウドシリーズや人材紹介事業が大きく伸長したことをその理由に挙げている。

企業価値向上を基本としながらも株主還元については四半期配当や株主優待の継続を維持していく方針だ。

リンクアンドモチベーション リソルホールディングス 霞ヶ関キャピタル
(画像=株主手帳)

*オフィスワークとテレワークそれぞれの特性を活かした働き方


モチベーションエンジニアリング
経営学・社会システム論・行動経済学・心理学などの学術成果をもとに創られた技術。個人・組織の状態を可視化し明確な診断を行う『診断技術』、診断で明らかになった課題に対して「実効性」「再現性」高く変革を実現していく『変革技術』の2つで構成される。


2021年12月期 連結業績

売上高326億4,400万円前期比 6.0%増
営業利益20億6,600万円同 140.2%増
税引前利益19億300万円同 184.0%増
親会社の所有者に帰属する当期利益9億1,800万円同 70.5%増

2022年12月期 連結業績予想

売上高350億円前期比 7.2%増
営業利益40億円同 93.6%増
税引前利益-同 -
親会社の所有者に帰属する当期利益20億5,000万円同 123.1%増

*株主手帳2022年12月号発売日時点

 小笹 芳央会長
Profile◉小笹 芳央(おざさ ・よしひさ)会長
1961年5月生まれ、大阪府出身。1986年3月、早稲田大学政治経済学部卒業、1986年4月リクルート入社。 組織人事コンサルティング室長、ワークス研究所主幹研究員などを経て、2000年にリンクアンドモチベーション設立、同社代表取締役社長就任。2013年1月、代表取締役会長に就任(現任)。