この記事は2022年4月28日に「月刊暗号資産」で公開された「デジタル通貨フォーラム、ソフトバンクや東京都などが新たに参加」を一部編集し、転載したものです。
金融庁は7日、英OMFIF(Official Monetary and Financial Institutions Forum)が先月10日に主催した暗号資産(仮想通貨)ラウンドテーブルでの講演において、天谷金融国際審議官が行ったスピーチに関する資料を公開した。
「Regulating the crypto assets landscape in Japan(日本での暗号資産規制への取り組み)」と題した本資料では、アルゴリズム型ステーブルコインについて、ビットコイン(BTC)などと同様に暗号資産に分類して規制すべきだと主張した。
講演では、金融規制当局が検討すべき暗号資産に係る3つの主要な政策的観点として、「金融安定」「利用者保護」「マネロン・テロ資金供与対策(AML/CFT)」の要素を改めて主張し、それぞれに関する日本の取り組みについて紹介した。
そして、天谷氏は後半でステーブルコイン規制の取り組みについて述べ、「ステーブルコインは価格の暴落が起こる可能性があるため、特に注意が必要である」との認識を示した。続けて「リスクに対応するため、額面での償還や価格の安定を確保するための政策的措置が必要だ。ユーザー保護については、ユーザー資産の保護、ユーザーへの十分な情報提供など、様々な配慮が必要である。これらの観点から、カストディサービスプロバイダーを含む仲介者は、適切な規制・監督を受け、適切な内部管理体制を維持する必要がある」と主張している。
さらに、天谷氏は「アルゴリズム型ステーブルコイン(例:Terra)や暗号資産担保型ステーブルコイン(例:DAI)などのステーブルコインは、ビットコインと同じ規制区分(暗号資産)に分類される」と明確に述べた。また、FSB(金融安定理事会)が2020年10月に発表した、ハイレベルの推奨事項を取り上げ、それは日本の規制にも当てはまるとした。
FSBは複数の国や地域で利用されることが想定されるステーブルコインを「グローバルステーブルコイン」と定義している。天谷氏は、「FSBの推奨事項では、グローバルステーブルコインに当たる可能性のあるもの全てに対して規制を適用できる」と述べた。その上で、「FSBは『グローバルステーブルコインは価値の安定化を図る際、アルゴリズムを使用してはならない』と記載している。さらに、『価値の安定化を図り、償還権の確保を強化する』とある」と付け加えた。
金融庁としては今後も暗号資産市場について包括的かつ前向きに取り組んでいくとし、国際的な政策議論に積極的に貢献するとともに各国当局とも連携していくとしている。
国内では今年6月にステーブルコインを含む改正資金決済法が可決されている。この改正資金決済法ではステーブルコインを「デジタルマネー類似型」と「暗号資産型」に分類している。
説明資料によると、デジタルマネー類似型は、「法定通貨の価値と連動した価格(例:1コイン=1円)で発行され、発行価格と同額で償還を約するもの(及びこれに準ずるもの)」を指しており、「デジタルマネー(送金・決済の手段)として規律」と定められている。一方の号資産型は、デジタルマネー類似型の条件に当てはまらないもの全般を指し、アルゴリズム型ステーブルコインもこれに含まれる。暗号資産型ステーブルコインは「暗号資産や金融商品として規律」と明記されている。
改正資金決済法の対象となるのはデジタルマネー類似型のみであることから、今回の天谷氏の講演ではアルゴリズム型を含む暗号資産型ステーブルコインの規制強化の可能性を示唆したものと言える。(提供:月刊暗号資産)