この記事は2022年12月9日に「月刊暗号資産」で公開された「金融庁、FTX Japanに対する業務停止命令を延長する方針」を一部編集し、転載したものです。
金融庁は先月破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの日本法人FTX Japanに対し、今月9日に期限を迎える資金決済法と金融商品取引法に基づく業務停止命令を延長する方針を固めた。8日、日本経済新聞が報じた。
報道によれば、金融庁は7日時点で顧客に対する返金開始の準備が整っていないとみており、これが処分延長の決め手となった。
FTX Japanは現在も出金・出庫サービスが正常に利用できない状態が続いており、顧客資産の返還に時期についても先行きが見えていない。
NHKの取材に応じたFTX Japanの幹部は、先月下旬時点で顧客資産の出金時期の目標について「年内」と言及した。その後、今年3月に買収を完了したLiquid Groupのシステムを活用し、早ければ来年1月の出金を目指す計画がBloombergによって明らかになっている。
FTX Japanの報告によれば、顧客の日本円やドルなどの法定通貨および暗号資産については分別管理をしている。しかし、米連邦破産法第11条(チャプター11)の申請を行った親会社のFTXと同じシステムを用いていることから、対応が難しい状況となった。
それでも、今月1日にはFTXの代理法律事務所に見解として、資産の預託や保管方法および日本の法律における財産権等を考慮した結果、FTX Japanの顧客資産については米連邦破産法第11条の対象に含まれないと発表。出金・出庫サービスの再開のための基本計画に関しても、FTXの新CEOであるジョン・J・レイ3世(John J.Ray Ⅲ)氏ら新経営陣による承認をすでに受けていると述べている。
FTX Japanのエンジニアリングチームは現在この基本計画を実行すべく開発作業を進めているようだ。計画の一環として、コントロール、セキュリティ監査、照合、レビュー等を組み込み、堅牢かつ安全なプロセスを導入すると説明している。
日本経済新聞によると、関係者はチャプター11で再建手続きの準備に時間がかかるほか、FTX本社が管理するシステムから現在開発中のシステムに移行する作業が難航していると語った。そのため、システム開発が完了したとしても具体的な出金時期については見通しが立っていない状況と言える。(提供:月刊暗号資産)