年功序列がうまれたのは日本型雇用システム
年功序列制度は、日本では高度経済成長の頃から一般的になり始めた。経済成長期には、企業も社員の育成を長期的な目線で行って、営業力や技術力といった持続的な成長に欠かせない能力の向上を図っていた。
また、経験やスキルを蓄積している、中高年期の社員の給与が年功序列によって高くなれば、働きがいの向上によって離職防止にもつながり、コアとなるノウハウの流出を防ぐことができる。会社側も、年功序列で給料が上がったとしても、終身雇用を前提にトータルとして生産性の高い結果が得られればよいという合理的な判断だった。
年功序列と終身雇用は安定した生活の基準だった
日本の雇用システムは、新卒一括採用が一般的であるため、終身雇用によって雇用が安定していることは、それだけで労働者にとっての大きなメリットだった。年功序列によって給与や職位の向上が約束されているならば、たとえ新卒入社時には給与が安くても、将来の生活の安定が期待できた。
年功序列と成果主義制度の違い
年功序列の維持が難しくなってきている中で導入を検討されているのが、欧米などで一般的な「成果主義制度」による人事評価である。
成果主義制度とはどのような人事評価方法か
成果主義制度は、年功序列のような年齢や勤続年数といった要素はもちろん、知識やスキルといった能力的な要素や勤務態度などの情位評価を加味せずに、比較的短期間に達成した成果を元に賃金などの評価を行う。日本の賃金体系に置き換えると、「役割・職務給」が成果主義制度に最も近いシステムである。
成果主義制度では、短期間の成果が判断材料となるため、年功序列のような比較的長期目線でのキャリアの形成は難しい。成果主義の環境では、個々人の裁量の範囲が広がり、評価対象となる業務の明確化が必要だ。また、特定の成果が評価されるため、複数人のチームで行うような業務に関しては、評価が難しい側面もある。
年功序列と成果主義制度の普及状況
成果主義制度は1990年代から導入され始めた。「公益財団法人 日本生産性本部」では、企業が導入している年功序列などの賃金体系の推移を調査・報告している。第16回目の調査結果は、以下の通りだ。
管理職層は、日本においても年棒制などの適用もあるため、非管理職層の賃金体系推移を確認して欲しい。調査結果によると、年功序列に該当する「年齢・勤続給」は、2001年に78.2%だが、2018年には47.1%まで低下している。
それに対し、成果主義制度に該当する「役割・職務給」は、1999年に17.5%だったが、2018年には57.8%まで上昇した。リーマンショック発生時には、一時的に減少しているが、2007年以降は50%以上で推移していることが見て取れる。
本データは、調査対象となった企業内での比較ではあるが、年功序列制度は減少しており、成果主義制度の導入企業が増加している状況であることがわかる。