2,000万円近い大きな金額になることも多い退職金。老後に備え無駄遣いをしないようにと、とりあえず金融機関に預けてそのままになっている人もいるのではないか。しかし、老後資金として退職金を有効活用するなら、資産状況やリスク許容度に合わせて運用を検討するべきである。退職金を運用する必要性や運用のポイント、おすすめの金融商品を確認し、老後に向けた計画的な資産形成をスタートしよう。

「運用しない」ことのリスク

退職金を運用するべき理由とは?運用のポイントからおすすめの金融商品まで徹底解説
(画像=Rawpixel.com/stock.adobe.com)

退職金を預貯金で保有している人の中には、運用によって資金額が減少することが怖いと感じる人もいるだろう。しかし資産形成を考えるにあたっては、運用をするリスクがあると同時に運用をしないリスクがあることも知っておくべきだ。ここではまず、資産運用の必要性と運用しないリスクについて詳しく見ていこう。

そもそも老後資金はどのくらい必要か

退職金の運用について考えるにはまず、老後資金がどのくらい必要かを知っておく必要がある。

総務省統計局が発表した家計調査年報(家計収支編)によると、2021年の2人以上の世帯(平均世帯人員2.93人、世帯主の平均年齢60.1歳)の消費支出は、1世帯当たり1ヵ月平均27万9,024円だ。一方、厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は2020年度末現在で14万6,000円、国民年金の平均年金月額は5万6,252円となっている。

夫婦それぞれが厚生年金の平均年金月額を受け取れるなら、年金のみでも毎月の支出はギリギリ賄えるかもしれない。しかしそうでない場合は、年金では足りず資産を取り崩していくことになる。仮に毎月5万円の赤字が出るとすると、30年で1,800万円(5万円×12ヵ月×30年)の資産が必要になる計算だ。

自分が将来どのくらいの年金を受け取れるかは、ねんきんネットのホームページで試算できる。また、50代からは年金定期便に見込み額が記載されるため、しっかりと確認したい。見込み額を基に老後の収支を計算し自身の保有資産と照らし合わせることが計画的な老後の資産形成の第一歩となるだろう。

将来の資金計画を立てるならインフレリスクも考慮しよう

将来の資金計画を考えるにあたっては、インフレリスクも押さえておくべきポイントだ。インフレとは、モノやサービスの値段が上がり続けることをいう。物価が上昇すると、相対的にお金の価値が減少することになる。

たとえば、1個100円のリンゴがあったとしよう。インフレにより1個120円に値上がりした場合、100円ではリンゴを買うことができなくなる。このように、インフレにより保有する資産の価値が減少する可能性をインフレリスクという。

では、2022年時点の日本ではどのくらい物価上昇が進んでいるのか。総務省が発表した2022年10月の消費者物価指数は、前年同月と比べて3.7%の上昇となっている。これは、1982年以来40年ぶりの伸び率だ。このように物価が上がっているにもかかわらず現金や預貯金で資金を保有していると、資産の価値はどんどん減少していくことになる。

インフレリスクから資産価値を守るために有効とされるのは、株式や投資信託といった金融商品での資産運用だ。金融商品は物価上昇に伴い値上がりする傾向があるため、資産の一部を投資資産に振り分けることで資産の目減りに備えられる。

退職金の運用における基本方針

退職金を運用するなら、資産を大きく増やすよりも維持することのほうが重要だ。

働き盛りのうちは、ハイリスクハイリターンの投資で積極的に資産の増加を狙うのも選択肢になる。一方、セカンドライフを見据えた退職金の運用を行うなら、あくまでも資産を減らさないことに充填を置き、安心して老後を迎えることを目的とした運用方法を選択するべきだろう。

投資比率は金融資産の50%に抑える

資産運用はインフレリスクに対応できる一方で、値動き次第では資産が減少する可能性もある。また、投資する金融商品によっては現金化に時間がかかる場合もあるため、ある程度の現金は手元に残しておくべきだろう。

一般的に60代なら金融資産の50~70%、70代であれば70~80%を現金で保有しておくべきといわれる。資産運用を始めるにあたってはまず金融資産の洗い出しを行い、投資予算を決めたうえで無理のない範囲で投資を行うことが重要だ。

投資の予算を決めるには、金融資産を大まかに以下の3つに分類する必要がある。

▽金融資産の3つの分類
・日々の生活費と緊急時に使うお金
・使い道が決まっているお金
・長期で使い道がない余裕資金

日々の生活費および緊急時に使うお金は、預貯金で用意しておくべきお金だ。ケガや病気、災害、冠婚葬祭など、不測の事態に対応できるよう余裕を持って用意しよう。

使い道が決まっているお金とは、自宅の修繕リフォームや車の買い替え、子供や孫のイベント資金などを指す。すぐには使わないけれど必ず必要になる資金は、生活費とは別にしっかりと把握しておくことが重要だ。

長期で使い道がないお金には、老後資金などが挙げられる。投資には、この長期で使い道がない資金の一部を活用しよう。

退職金を運用する際に検討すべき金融商品

投資の予算が決まったら次は、運用する金融商品の決定だ。ここでは、退職金の運用にあたって検討すべき金融商品を4つ紹介する。投資方針や投資予算、希望する運用期間などに合わせて、商品選びの参考にしてほしい。

金融商品1:個人向け国債

個人向け国債とは、日本が発行する国債を個人投資家でも購入しやすい単位で発売する金融商品だ。購入時に満期と利率が決まっており、満期まで保有すれば元本割れがないことから、リスクの低い金融商品の1つとされる。

個人向け国債の満期は、商品によって3年、5年、10年の3種がある。2022年11月募集の個人向け国債の利率は、税引前0.05%(固定金利)もしくは0.17%(変動金利)だ。都市銀行の定期預金金利が0.002%程度であるのと比較すると、個人向け国債なら20倍以上の利子を得ることができる計算になる。そのため個人向け国債は、ローリスクローリターンの投資先として人気が高い。

個人向け国債は、銀行や証券会社といった金融機関の窓口で1万円から購入できる。毎月発売されているため、購入を希望するなら金融機関に相談しよう。

・個人向け国債が向いている人
個人向け国債が向いているのは、中長期で使い道のない資金を極力ローリスクで運用したい人だ。運用期間や利子があらかじめ決まっているため、資金計画が立てやすいメリットもある。

金融商品2:バランスファンド

バランスファンドは、投資信託の種類の1つである。投資信託は投資家から集めた資金を運用のプロ(ファンドマネージャー)が運用し、利益を投資家に還元する金融商品だ。運用を専門家に任せられるため、投資初心者でも比較的始めやすいとされる。そんな投資信託の中でも、国内外の株式や債券、不動産といった複数の資産への分散投資が行われるものをバランスファンドと呼ぶ。

株式や債券などの資産は、経済状況によってどのような値動きをするかがそれぞれ異なる。たとえば好景気時には株式の価格が上昇し債券価格が下落する傾向があるのに対し、不景気時には債券価格が上昇し株価が下落するといわれる。値動きの傾向が異なる複数の資産へ分散投資を行うことで、どのような景気状況でも安定した運用を目指せるのがバランスファンドの魅力といえるだろう。

なお、どの資産にどのくらいの割合で投資を行うかは、各ファンドによって異なる。よりリスクを抑えた運用を希望するなら、株式や不動産と比較して値動きが小さいとされる債券への投資割合が多いファンドを選ぼう。

・バランスファンドが向いている人は?
バランスファンドが向いているのは、少額から資産運用を始めたい人だ。バランスファンドは証券会社や銀行などで取引を行うが、一部のネット証券では100円から投資ができる。投資を始めたばかりで、まずは少額から投資をしたいと考えているなら、バランスファンドを検討しよう。

金融商品3:個人年金保険

個人年金保険は、一括や分割で保険料を支払い、契約時に定めた年齢に達すると年金を受け取れる貯蓄型の保険商品だ。契約者と被保険者が同一の場合、契約者が年金受取開始前に死亡すると死亡給付金の支払いも行われるなど、「貯蓄」と「万一の備え」の両方の機能を持つ。

個人年金保険は、商品によって仕組みや内容が異なる。納得のいく運用をするには、契約前に商品内容をしっかりと確認することが重要だ。個人年金保険を検討する際にチェックするべきポイントとしては以下が挙げられる。

▽個人年金保険の契約前にチェックするべきポイント
・保険料の払い込み方法
・運用期間
・運用通貨
・年金額の決定方法
・年金の受取方法

・保険料の払い込み方法
保険料の払い込みは分割もしくは一括で行う。一括の場合には、50万円程度から契約が可能だ。分割の場合は毎月3,000円程度から積立できるものもある。

・運用期間
運用期間は契約時に決定するが、一般的には5~20年など長期に渡る。運用期間中の解約も可能だが、その場合受け取れる解約返戻金額は払った保険料よりも少なくなる可能性があることは知っておこう。個人年期保険を契約するなら、満期まで解約せずにすむ資金を活用することが重要だ。

・運用通貨
個人年金保険は、米ドルなど外貨で運用が行われる商品も多い。外貨建ての商品は高い利回りが設定されているものも多いが、為替の変動によって資産が増減する為替リスクがある点には注意しよう。

・年金額の決定方法
個人年金保険には、受け取れる年金額が契約時に決まっている商品(定額型)と、運用結果によって変動する商品(変動型)がある。リスクを抑えた計画的な運用を目指すなら定額型、資産を増やす楽しみも希望するなら変動型を選ぼう。

・年金の受取方法
年金の受け取りは、一括もしくは分割から選択できる。分割の場合、受け取り期間に期限を定めたり、あるいは終身で受け取れるようにしたりといった変更が可能だ。ライフプランや資産状況に合わせて受け取り期間を設定できるのも、個人年金保険の特徴といえるだろう。

・個人年金保険が向いている人は?
個人年金保険が向いているのは、計画的に老後資金の形成をしたい人だ。個人年金保険は運用期間や年金の受取方法などを決めたうえで運用をスタートするため、老後のマネープランを立てやすい商品だといえる。

また個人年金保険料は、一定の条件をクリアした場合税額控除の対象となるのもポイントだ。税金の優遇を受けつつ資産形成ができるため、長期で運用できる資金があるなら個人年金保険の利用を検討しよう。

金融商品4:ファンドラップ

ファンドラップは、金融機関が投資家に代わって資産の運用および管理を行う資産運用サービスだ。サービスを提供する金融機関が、投資家の投資方針やリスク許容度などをヒアリングして投資一任契約を結んだ後、ファンドの売買を行う。運用中は、投資資産配分の見直しや運用状況の報告が定期的に行われる。

ファンドラップを利用するには、ある程度まとまった資金が必要だ。多くの金融機関では、300万円程度から申込を受け付けている。

ファンドラップの特徴は、運用のプロに対面で投資相談ができる点だ。相続時受取人指定特約などのオプションサービスも用意されており、幅広く資金計画の相談ができるのも魅力だといえる。

・ファンドラップが向いている人は?
ファンドラップは専門家に資産運用を一任できるため、投資初心者や投資に時間をかけられない人でも始めやすいサービスだ。投資の負担を抑えて資産運用をしたい人や、プロの手助けを借りた運用をしたい人はファンドラップの利用を検討しよう。

資産運用に迷ったらZUU Advisorsへ

退職金は、豊かな老後を迎えるための大切な資金だ。できるだけ大切に使いたいという気持ちから、受け取ったまま預貯金に保管している人も多いだろう。確かに預貯金なら資金額が減ることはないが、インフレにより資産価値が減少するリスクがあることは知っておくべきだ。

インフレから退職金の資産価値を守りたいなら、資産運用を検討しよう。長期で使い道がない余裕資金の一部を運用することで、物価上昇に対応できる資産形成を目指すことができる。

退職金の運用は、ハイリスクハイリターンな商品で大きな利益の獲得を狙うよりも、リスクの低い金融商品で資産を減らさないことを目指したい。そのためには、個人向け国債や投資信託、個人年金保険、ファンドラップなどが選択肢となるだろう。

投資や資産運用に不安があるなら、専門家のアドバイスを受けるのも有効だ。資産アドバイザー無料マッチングサービスのZUU Advisorsなら、オンラインで資産運用アドバイザーから提案を受けることができる。資産運用に不安を感じているなら、一度相談してみてはいかがだろうか。

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