将来や老後のことを考えると資産運用や投資の必要性を感じるものの、経済や投資のことに疎いばかりに何も始められていない、自信がない、どこか怖さも感じるという人は多いのではないでしょうか。投資は預貯金と違って元本保証がないため、下手に始めても損をするのではないかと不安に思うのは無理もありません。
それならいっそのこと、プロに任せてしまったほうが安心で確実と考える人が多くなるわけですが、今ではそんなニーズに応える形で資産運用を任せられるサービスや商品が続々と登場しています。
本記事では、資産運用を安心してプロに任せたい方におすすめのラップ口座について、その概要やメリット・デメリット、さらには選び方などについても解説します。
資産運用の必要性は分かりつつも大多数の人が何も始めていない
資産運用の必要性は理解していても、具体的な行動を起こしていない人は意外と多くいます。金融広報中央委員会が毎年調査、発表している「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」の令和3年(2021年)版によると、保有している金融資産の一部をリスク資産に振り向けている人の比率はわずか11.7%です。
「いずれにもあてはまらない」と回答している人は82.3%となっており、株などのリスク資産に資金を振り向けたことがある人が圧倒的に少ない事実が浮かび上がっています。
しかし同調査における金融資産の保有目的については、老後資金と回答している人が68.5%にのぼり、第1位です。これらの結果から見えてくるのは、老後のためにお金を貯めて運用することの必要性は感じつつも、ほとんどの人が具体的な行動を起こしていないという傾向です。
プロに資産運用を任せる方法3選
知識や経験はないものの資産運用を始めたいという方には、プロに任せる方法があります。ここではその方法論として3つの選択肢を紹介します。
①投資信託
投資家から集めたお金を専門家が運用し、値上がり益や分配金を狙うことができるのが投資信託です。証券会社などの金融機関で手軽に売買ができ、銘柄によっては少額から始めることも可能です。
②ラップ口座(ファンドラップ)
金融機関が顧客から運用方針や意向などを聞き取り、その意向に基づいて運用をするのがラップ口座です。もともとは富裕層向けのサービスでしたが、近年になって1万円や10万円といった少額から始められるサービスが登場し、多くの人に門戸が開かれました。
③ロボアドバイザー
投資家がお金を預けて運用方針や意向などを選択すると、自動的に資産運用が行われる仕組みをロボアドバイザーといいます。「プロに任せる」のとは意味合いが若干異なりますが、投資家自身は何もしなくても資産運用ができます。
投資信託とラップ口座の違い
上記の解説をお読みになって、投資信託とラップ口座には違いがないように感じたかもしれませんが、両者には大きな違いがあります。
投資信託はあらかじめ設定された方針に基づいて運用されている銘柄が売られているので、投資家はたくさんある銘柄から自分の意向に合ったものを選んで購入します。それに対してラップ口座は購入する商品の選択からプロが行うため、投資家が購入商品を選ぶことはありません。
経験や知識がない初心者が運用をプロに任せたいのであれば、購入する商品の選定もプロが行ってくれるラップ口座がおすすめです。
ラップ口座のメリット
資産運用初心者におすすめのラップ口座とは、投資家(顧客)と金融機関が投資一任契約を結び、運用全体をプロに任せることができるサービスのことです。いわゆる「丸投げ」型のサービスなので初心者からの人気も高く、証券会社や銀行などが続々と参入しています。
ラップ口座のメリットは、主に3つあります。
①アウトソーシングが可能
知識や経験がなくてもお金を預けておけばプロが最適かつ本格的な運用をしてくれるので、素人であっても不利になることはありません。素人が投資を始めても損をするだけだとお感じの方にとって、このメリットは投資を始めるハードルを下げてくれます。
②リスク分散も任せられる
投資商品の種類を分散するのはリスク管理の基本です。これを個人投資家が実践するとなると資金面、知識面でハードルが高くなりますが、ラップ口座は分散投資が基本なので、資産を増やすだけでなくさまざまなリスクから資産を守る効果も期待できます。
③個別の売買では手数料不要
資産運用のために投資商品を売買すると、その都度手数料が発生します。ラップ口座はその口座自体を維持するのに手数料が発生しますが、個別の投資行動に対する手数料は発生しない点がメリットです。運用の関係上頻繁に売買をしたとしても手数料が増えることはありません。
ラップ口座のデメリット
メリットの次に、ラップ口座のデメリットについても解説しましょう。デメリットも3つあるので、これらをしっかり理解しておいてください。
①人任せにするだけにコストがかかる
資産運用をするには、そのための知識や経験を要します。この作業をプロに一任する以上、そのための人件費が必要です。ラップ口座ではおおむね1%前後の手数料が発生するので、運用利回りからその手数料分を差し引いた分が投資家の手残りになることを前提にする必要があります。
②まとまった資金が必要になることも
ラップ口座で資産運用を始めるには、まとまった資金が必要になることがあります。例えば野村證券の「野村ファンドラップ」は500万円から、SMBC日興証券の「日興ファンドラップ」は300万円からです。両社ともにこれらは最も低い金額で始められるコースです。それよりも上のコースになると数千万円の資金が必要になる場合がほとんどです。
しかし近年はオンライン型のラップ口座が登場しており、SBI証券の「SBIラップ」が1万円から、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の「ミライバリュー」が10万円からといったように、少額から始められるサービスも増えています。
③元本保証ではない
これはすべての投資にいえることですが、ラップ口座での運用は元本保証ではありません。運用状況によっては元本割れが起きる可能性があります。
ラップ口座の選び方
最後に、ラップ口座での資産運用をお考えの方に向けて、数多くあるラップ口座の中から最適な口座を選ぶのに知っておくべき3つのポイントを紹介します。
①最低運用額が自分の資産規模に合っている
ラップ口座には、最低運用額が設定されています。先ほど解説したようにオンライン型は少額から始められるものが多いですが、それ以外のラップ口座では数百万円からとなっているものが多く見られます。これから運用したいと考えている金額に照らし合わせて、自分の資産規模に合っている口座を選ぶことが1つめのポイントです。
②運用実績が良好である
資産を守り、増やすことがラップ口座の目的である以上、運用成績が良好であることも重要なポイントです。
これまでの成績が良好だからといって未来の成績が保証されているわけではありませんが、やはり実績が優秀なラップ口座を選びたいものです。4%前後が平均的な運用利回りなので、これを基準にして選ぶのもよいでしょう。
③コストパフォーマンスに優れている
金融機関によって、ラップ口座の手数料や手数料が発生する仕組みはさまざまです。手数料が安いからといって運用成績が芳しくないようでは意味がないので、運用利回りと手数料をチェックしてバランスの取れた口座を選ぶことが3つめのポイントです。
ラップ口座のメリット・デメリットを踏まえて、無理のない範囲で取り組みやすいラップ口座を選びましょう。
(提供:Incomepress )
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