この記事は2023年1月10日(火)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「小林芳彦氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。


FXトレード戦略
(画像=BillionPhotos.com/stock.adobe.com)

2023年1月10日(火)の午前11時すぎに現役トレーダーの小林芳彦さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。

小林芳彦
1979年慶応義塾大学商学部卒、同4月株式会社協和銀行入行。 外国為替研修生・営業店外国為替業務経験後、1987年から本店資金為替部調査役。 インターバンク(フォワード)ディーラー・カスタマーデスクヘッドなどを歴任後、1989年10月よりクレディスイス銀行(資金為替部長)、1997年クレディスイス・ファーストボストン銀行(シニアセールス)、1998年バイエリッシェ・ヒポ・フェラインス銀行(為替資金部長)、2001年バンク・オブ・アメリカ(為替資金部営業部長)で数十社の法人顧客を担当。

現在の為替相場の傾向や相場観

年明けすぐ、先週3日(火)に米ドル/円は130円を割れ、その後135円手前まで戻したものの、結局134.77円が天井で落ちてきているという流れがあった。背景に日銀のYCC(イールドカーブコントロール)の件があるにしても、米国の景気系の指標結果が非常に悪いことが大きいと考えている。

先週6日(金)の雇用統計に関しても、NFPや失業率はよかったものの、平均時給が非常に低かったため、インフレ懸念が沈静化しつつあるという印象だ。また同日のISM非製造業景況指数に関しても、景気拡大と後退の境となる50を割り、景気後退側へ入ってきたことを見ると、FRBが昨年12月の利上げ幅である50bpを、続けて今年もやるという感じではなくなり、25bpの方向に舵が切られるのではないだろうか。

そして年明けから2~3回程度は25bpの利上げをし、その後打ち止めをすると想定している。となると、しばらく様子見で米ドル/円は横ばいとなり、リセッションになれば、利下げが前倒しになる可能性があるため、当初2024年といわれていた利下げが2023年の10-12月期に前倒しになるかもしれない。

またそれを見越して長期金利は既に、かなり下がってきているため、上値が非常に重くなってきた感がある。よって元気よく米ドル/円を買う感じではなくなってきている。またこれは、年初の下落後135円まで戻れなかったことも非常に大きいのではないだろうか。

現在の為替相場の戦略やスタンス

今週の米ドル/円予想レンジは129.50~134.50円。戦略としては金利の状況を見つつも、戻り売りスタンス。丁寧にひきつけて売り場を探したい。

ここから再び130円が割れた場合、本格的なドルの下落局面は金利が下がってからとなり、しばらくは横ばいになることが考えられるので、焦って売るのは得策ではないだろう。おそらく第一四半期は25bpといえどもまだ金利は上がると思うので、日米の金利差は拡大する。よって、130円を割ったとしても即下落トレンドに転換することは考えづらいからだ。

少し先にはなるが、注目は4月の黒田日銀総裁の後任問題。もし雨宮氏でないとなれば、黒田路線と決別して、長期金利上昇の可能性があるため、その場合米ドル/円が120円方向に向かうなど、局面が大きく変わってくる。

日銀はここのところしばらく、外部からの総裁が続いており、株でもなんでもとにかく買い込むというスタイルだった。しかしそれは日銀の資産を毀損していたわけで、今までのスタイルを果たして続けるのかという疑問がある。次のタイミング辺りで、そろそろ日銀出身の総裁が出てきてもおかしくない頃だと考えている。もしそうなれば、日本の金利動向から目が離せなくなりそうだ。

▽米ドル/円の日足チャート

230110kobayashiL
(画像=羊飼いのFXブログ)

※当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。