本記事は、ひろゆき氏の著書『1%の努力』(ダイヤモンド社)の中から一部を抜粋・編集しています。

ひろゆき
(画像=撮影:榊智朗)

チャンスの前髪を捕まえよう

さて、大事なことを書いておこう。

なぜ、ここまで「前提条件」の話をしたかというと、あなたが「チャンスを掴む人」になるためだ。

どういうことか。

そもそも人が働いているかどうかは、パッと見ではわからないものだ。机の上で手を動かしていたら働いているように見えるが、何も考えていないかもしれない。

逆に、深刻な考え事をしていても、ボーッとしてサボっているように見える。

僕は考えるタイプの人間だ。

ゴロゴロしながらゲームをしているようなときも、頭の中ではずっと思考している。

「自分は努力をしたくないんだ」と割り切っている人は、それなりにちゃんと考えている人だ。

「頑張ればなんとかなるかもしれない」と、普通の人は思ってしまう。

しかし、これが意外と危険であると思うのだ。

チャンスというのは、突然やってくるものである。

本を読んで知識を蓄えていたり、一生懸命に人脈を広げたり、情報のアンテナを張ったりすることは努力でできる。

それは、チャンスが訪れる可能性を高めることである。

しかし、チャンスは一瞬で目の前を通り抜ける。

「幸運の女神の前髪」という話がある。

幸運の女神には後ろ髪がついていないから通り過ぎたら掴まえることはできない、という例えだ。

あるとき、あなたの元に起業メンバーにならないかという誘いがくるかもしれない。

当日誘われた飲み会に運命の人が来ているかもしれない。それもこれも、つねに「余裕」を持っていないと掴むことはできない。

また、順風満帆な人生にピンチがやってくるときもある。

そんなときも、スケジュールに余白がないと頭の中はパンクしてしまい、視野はどんどん狭くなる。

ヒマは全力で作っておいたほうがいい。時間は余るものじゃない。作り出すものだ。

世の中には、予定をパンパンに詰め込んで片っ端から対処するタイプの人もいる。

その場合、幸運の女神が現れたら、両手はお手玉をしながら器用に前髪を掴めるのかもしれない。

ただ、凡人には難しい。

少なくとも片手は空けておかないと、チャンスを掴むことはできない。

「努力で解決しよう」「頑張ればなんとかなるかも」と考えている人は、つねに両手が塞がっていてチャンスを取り逃がす。

「片手はつねに空けておけ」

これが本エピソードでいちばん伝えたいことだ。

ビジネスチャンスが目の前に現れたときに、右手に会社員としての立場、左手に一家を支える大黒柱という状態だと、きっとスルーしてしまうだろう。

サッカー選手の本田圭佑ほんだけいすけさんは、こう言っている。

「みんなシュートの練習ばかりをする。けれど、そのシュートにつなげるために、敵を抜いたり、いい位置にボールを持っていくことのほうが重要だ。それができて初めて、シュートを練習する意味がある」

チャンスを掴む話と似ている。チャンスを掴む練習より、いつでも掴める状態にしておくことのほうが重要なのだ。

僕の場合は、「面白いな」と思ったビジネスにとりあえず出資することがある。

最近では、クリエイターを用意して、広告代理店が応募を持ってきて、動画を作らせるようなことをしてみた。

目新しいものではなかったが、絡む人たちが面白そうだと思ったのだ。内側でそれを見る権利を得られるし、失敗したら失敗したで、「ダメだったね」と言って笑って終われる。

このとき、会社を作ったり、株を買ったりするわけだが、「儲けたい」という気持ちは小さい。

遊びの延長であり、そこの輪に入るための入場料を支払う感覚に近い。

なけなしのお金をかけて起業したり、自分の生活を追い込むようなパターンは、おすすめしない。

世間では学生起業して成功するIT起業家の話が有名だが、彼らは決して無の状態で大学を中退して自分を追い込んだわけではない。

ヒマで面白がってはじめたビジネスがうまく回りはじめ、どんどん規模が大きくなっていき、次第に授業に出る時間が取れなくなる。そして、まずは休学を選択し、やむを得ず中退しているのだ。

これを勘違いして順番を逆にすると悲劇が起こる。

=1%の努力
ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年から、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人になる。2021年、自身のYouTubeの切り抜き動画の再生回数は、月間3億回を突破。主な著書に、45万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。

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