本記事は、ひろゆき氏の著書『1%の努力』(ダイヤモンド社)の中から一部を抜粋・編集しています。

ひろゆき
(画像=撮影:榊智朗)

できるけど、やりたくないこと

「好きなことを仕事にする」が時代の合言葉みたいになっている。

だが、取扱い注意の言葉だ。

仕事にするかどうかは脇に置いておいて、好きなものが何かをいったんハッキリさせるのは別にいい。

たとえば、僕の場合、ゲームや映画は完全に趣味なので、ムダなものだとわかりつつ、「好きであること」を表明している。

そして、人生の大部分の時間をそれに費やしている。

好きなことは、「自分はこれが好きだ!」と言えることであって、それ以外に特に理由をつける必要はない。

「好きなものは好き。だって好きだから」

これ以上に、何を語る必要があるだろうか。

ただ、他人からは「なんで好きなのか?」と聞かれることがある。これは実に面倒なことなので、「こう聞かれたら、こう返す」という適当な理由を作っておくといい。

難しいことではない。一段階だけ掘り下げれば、人は納得する。

「映画は2時間だけ別世界に行けるのがいいんですよね」
「ゲームをしていて、最短でクリアできるとドーパミンが出るんですよ」

それだけ言っておけばいい。

「何が好きかわからない」「好きなことが恥ずかしい」と言っている人は人生のほとんどを損している。人生は有限だ。多くの時間を好きなことに割いたほうがいい。

誰に言われなくても勝手にやっていること。それを好きだと堂々としていれば別にいいのだ。

10代から20代にかけて、僕はインターネットにどっぷりの人生へ入っていく。

プログラムをいじることもしていたので、やがて「自分の手で作ってみよう」と思うようになった。

洋服のことが好きで、洋服のことばかり考えていて、そこに「裁縫のスキル」があれば、自分で服を作る。それと同じ感覚だ。

2ちゃんねるを作ったときは、エンジニアに頼むお金もなかった。

まずはエンジニアのマネをして、自分で「Perl」というプログラミング言語を覚えるところから始まった。

プログラムといえど、誰かが書いたものだから、その人のやり方をマネすれば誰だって書けるようになる。楽観的に、そう考えた。

書き終えたら、レンタルサーバーで実際に動かしてみた。

「動いた。これは、いける」

そう思った瞬間だった。

そのときの僕には、2ちゃんねるが自分のサイトだという考えが乏しかった。

僕は掲示板というオープンな場を提供したにすぎない。

もし、公園で通り魔事件が起きたとして、公園を造園した人や管理している人が捕まるだろうか。

殺人予告がハガキで送られてきたとして、ハガキを作った人や郵便配達の人が逮捕されるだろうか。

悪いのは事件を起こしたり、犯行予告を書き込んだ犯人だ。ネット管理人もそれと同じ感覚だった。

だから僕は、何か事件が起きたら、その都度、ルールを作ることを提案していた。

ユーザーたちが議論して、意見を出し合って、集合知に落ち着くだけだと思っていた。

しかし、当時の裁判では理解されなかった。

サイトを所有している以上、僕がすべてを決めているように捉えられた。

話を戻そう。

このエピソードで言いたい話は、「ニーズと価値」についてである。好きなことを仕事にしないで、できることを仕事にすることを僕は勧めている。

アイデアをアイデアとして終わらせないためには、現実的にできる「落としどころ」を考えるようにするのがポイントだ。

たとえば、1億人から1円玉を集める話は現実的ではないと先に書いた。

その場合も、学校の40人のクラスで、他の39人から1品ずつおかずをもらうことならできるかもしれない。実際に、僕はその方法で豪勢なお弁当を作るようなことをしていた。

「やりたい」と思えることを思いついたときに、「実行できるレベル」まで落として考えたり、「それに必要なスキル」が何かを考えるようにすればいい。

僕のように、プログラムを書くスキルがあれば、ウェブサービスとして実現できるかもしれない。料理が上手な人なら、思いついた料理を作ることができる。

世の中のことは2つに分けられるという。

「やりたいけど、できない」
「できるけど、やりたくない」

その2つだ。だから、みんな悩んでいる。

「やりたい」よりは「できる」から始めて、少し背伸びするくらいのレベルにすればいい。「やりたい」と「できる」の間を徐々に埋めるような感覚が近い。

最初から「できる」に「好き」という感情が絡むと、少しめんどくさい。センスの領域に入ってしまい、趣味にするのはいいが、安定収入にするのには向かないのだ。

=1%の努力
ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年から、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人になる。2021年、自身のYouTubeの切り抜き動画の再生回数は、月間3億回を突破。主な著書に、45万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。

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