本記事は、ひろゆき氏の著書『1%の努力』(ダイヤモンド社)の中から一部を抜粋・編集しています。

ひろゆき
(画像=撮影:榊智朗)

言ってはいけないことを言う

コミュニケーションコストとは、ひと言でいうと、「言ってはいけないことを言うスキル」だと僕は思っている。

たとえば、知り合いから「僕の事業は、うまくいきますかね?」と聞かれたとする。

普通に考えて、「うまくいかないな……」と思った場合に、あなたなら、ちゃんとそれを伝えられるだろうか。

もちろん伝え方は、その人のキャラによる。やんわり否定したり、率直に切り捨てたり、伝えるための技術はあるだろう。

ちなみに、僕だったら、「失敗しますよ」と言ってあげるようにしている。

なぜなら、それが本当の優しさだと思うからだ。

うまくいかなそうなのに、「大丈夫ですよ! 絶対にうまくいきますよ!」と言ってしまうほうが残酷だと僕は思う。

世の中、みんな本音を言わない。

「言ってはいけない」という空気が支配している。

そんな中で、本音をズバッと言う人がいたらどうだろう。

一気にポジションをとれる。

もちろん、好き嫌いで言うのではなく、根拠を提示したり、改善策を一緒に考えたりはする。ただ、無責任に「うまくいきますよ」とは言わないだけだ。

僕が人に本音を言えるのは、「最終的には謝れば関係を修復できる」と信じているからだ。

後からうまくいったとしたら、「あのときはごめんなさい」と言って謝れば修復可能で、それでも嫌みを言ってくるような人であれば、そういうタイプの人とは仲良くならないほうがいい。

もし後になって間違っていれば、そのときは謝る。

そのリスクさえとれれば、いつだって思ったことを言えるはずだ。

「本音で言う。そして、ちゃんと謝る」

どうだろう。これほど単純なスキルは他にないかもしれない。

僕がイベントやテレビ出演の仕事に呼ばれるのも、すべては「本音が言える」という強みがあるからにすぎない。

それだけ、本音が言える人、言ってはいけないことを言える人は、ポジション的に重宝されるのだろう。

その逆のパターンとして、こんな話がある。

ある新聞社の取材を受けたときだ。

取材を受ける間、僕の中には、ずっと違和感があった。

「オレは偉いんだ」という雰囲気が、記者の言葉の端々に表れていたのだ。

「大手新聞社という大メディアが認めている自分」みたいな気持ちが、言葉や態度に出てしまっていた。

こういう人は、第三者的なポジションをとることはできない。

外側から自分を見る視点がなくなってしまっていて、会社の肩書きをなくした時点で、仕事がなくなってしまうような人だ。

一方で会社の立場を抜きにして話ができるような人は、コミュニケーションコストが払える人だ。これからの時代に合っているのは、こちらのタイプだろう。

もちろん、自分に能力がないことを自覚していれば、大きな企業の傘の下で生きていったほうが賢い。その生き方を否定するわけではない。

ただ、その場合は、失業やリストラのリスクに備える必要があるので注意すべきだ。

=1%の努力
ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年から、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人になる。2021年、自身のYouTubeの切り抜き動画の再生回数は、月間3億回を突破。主な著書に、45万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。

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