コロナ禍によって断続的に緊急事態宣言などの行動制限が行われ、海外旅行と縁遠いご時世が続きました。しかし、2023年は世界各国で行動制限や水際対策を緩和する流れが加速しており、日本からも海外旅行に出る人が多くなりました。その意味で2023年は海外旅行の再開元年といってもよいでしょう。

このこと自体は喜ばしいのですが、久しぶりの海外旅行に出かけたいと思う人が殺到し、さらに円安などの諸条件が重なることによって海外旅行費の高騰が起きています。

そんな折、少しでも旅費を安く抑えたいと考える人の強い味方になるのが、LCC(格安航空会社)です。LCCの存在は広く知られているものの、利用したことがない人にとっては未知の領域でしょう。

安さゆえにさまざまな問題があるのではないかと不安を持っている人も多いと思いますので、本記事ではLCCに「あるもの(メリット)」と「ないもの(デメリット)」について解説し、初めてでも安心して利用できるようにご案内いたします。

LCC(格安航空会社)は海外旅行にも強い味方

海外旅行再開元年に知っておきたいLCCに「あるもの」と「ないもの」
(画像=dell/stock.adobe.com)

「Peach」や「ジェットスター」という航空会社の名前を聞いたことがある人は多いと思います。いずれも格安で国内の航空路線を運航しているLCCです。これが国際線になるとさらに多くの航空会社が存在し、もちろん日本にも多くの路線が乗り入れています。

日本と海外を結ぶLCCには主に、以下のような航空会社があります。カッコ内は主な就航国・都市です。

・Peach(台湾、タイ、香港、韓国など)
・ジェットスター(オーストラリア、フィリピン、台湾など)
・ベトジェットエアー(ベトナム各地)
・エアアジア(マレーシア、タイ、ハワイ、台湾など)
・スクート(シンガポール他東南アジアなど)
・チェジュ航空(韓国、アジア各地)
・セブパシフィック航空(フィリピン、アジア各地)
・香港エクスプレス(香港、台湾、カンボジアなど)

LCCは長距離路線が少ないのでアジアやオセアニア地域が主体になりますが、これだけも海外のかなりの場所に行けることが分かります。

LCCにあるもの(メリット)

LCCに「あるもの(メリット)」を整理すると、以下のようになります。

とにかく安い

安さはLCC最大のメリットです。大手航空会社と比べると半額以下、さらに安い航空券も珍しくありません。

片道単位で購入可能

一般的に大手航空会社の国際線では航空券を往復で購入しますが、LCCは片道単位で購入することができます。往路と復路が別の航空会社でも問題ありません。そのため航空券による滞在日数の制限はありません。

ただし、一部の国では片道航空券だと入国できないケースもあるので、渡航先の入国制度については確認をするようにしてください。

セールが開催され、さらに安く買える場合がある

LCCは価格の安さを前面に打ち出しているため、定期的にセールが開催されます。それをうまく利用するとさらに安く購入できることもあります。

購入時にフライトや座席が確定する

LCCはすべてネットで航空券を予約する仕組みになっており、航空会社によっては航空券の購入時に座席予約をすることができます。これにより、窓側や通路側といった好みの座席を選びやすいメリットがあります。

サーチャージが不要、割安になる航空会社がある

原油価格の高騰により多くの航空会社では燃油サーチャージが加算されていますが、LCCの中には航空運賃に含めている場合や、サーチャージそのものを加算しないところもあります。

LCCにないもの(デメリット)

次に、LCCに「ないもの(デメリット)」についても整理しました。LCC未経験の人にとっては気になる部分だと思いますので、しっかり解説します。

大手航空会社では料金内のものであってもオプション扱い

機内食や機内エンタメ、座席指定、預け荷物などは大手航空会社であればほとんど航空運賃に含まれていますが、LCCではこれらのほとんどがオプション扱いです。

必要に応じて付けることができるため無駄はありませんが、多くのオプションを付けるとLCCの価格優位性は薄れてしまうかもしれません。

シートピッチが狭い

LCCは薄利多売のビジネスモデルなので、飛行機の中により多くの乗客を乗せて運航します。そのためシートピッチが狭く、窮屈に感じる人もいるでしょう。

空港内での扱いが決して良くない

空港カウンターが不便な場所にある、カウンターそのものが簡素、搭乗口が遠いといったように、空港内での扱いは大手航空会社と比べると決して恵まれているとはいえず、この部分は安さゆえであると納得する必要があります。

遅延が発生しても代替機などの補償がない

LCCは薄利多売なので、過密スケジュールで運航しています。ギリギリの機材繰りをしているため遅延が起きやすく、もし大幅な遅延や欠航が発生しても代替機が用意されることはなく、別日程に変更することで対応するのが一般的です。

乗り継ぎ利用でもスルーバゲージはないことが多い

同じ航空会社で乗り継ぎをする場合であっても、スルーバゲージのサービスを提供していないことが多く、その都度預け荷物を受け取って乗り継ぐ便に自分で預ける必要があります。

LCC利用に適している人

ここまでの解説から、LCC利用に適している人物像をまとめてみました。以下の項目に1つでも多く該当する人はLCCを活用して安く海外旅行を楽しめるでしょう。

航空会社の都合に旅程を合わせられる人

LCCのセールは航空会社の都合で開催されるため、その都合に自らの旅程を合わせられる人は安い航空運賃で旅行しやすくなります。

遅延や欠航が発生しても影響が少ない人

ノマドワーカーや悠々自適の生活をしている人など、万が一大幅遅延や欠航が発生しても仕事などへの影響が少ない人であれば大きな問題にはならないかもしれません。

自分で旅の手配ができる人

LCCを利用する場合はパッケージ旅行よりも航空券や宿泊先などを個別で手配したほうが安くなることが多いため、交通や宿泊などについて自分で調べて手配できる人には有利です。

安全に到着できれば他のことは気にならない人

LCCはシートピッチの狭さやその他のサービスも決して充実しているとはいえませんが、安全に目的地に到着できればこれらを許容できるような人は、LCCでの旅を楽しめるでしょう。

「LCCは安いから怖い」と感じる方へ

最後にLCCの安全性についても言及したいと思います。特に空の旅では安全性が最優先されるわけですが、それはLCCも例外ではありません。「LCCは安いから怖い」といったイメージをもつ人もいると思いますが、それは誤りです。LCCだからといって事故が多いわけではなく、安全性が疎かになっているわけでもありません。

まず1つの事実として、世界の飛行機事故は減少の傾向が続いています。2000年よりも前は年間に40件から60件程度の飛行機事故が起きていましたが、2000年以降は減少し、2020年には初めて1桁の8件になったこともありました。

また、世界の安全な航空会社ランキングにおいても、3位にスクート、7位にTransavia、そして10位にはjetBlueといったようにLCCが上位にランクインしています。なお、TransaviaはオランダのLCC、jetBlueは米国のLCCです。

使用機材に大手航空会社と全く別のものを使用しているわけではなく、エアバス社の機材を使用するなど、LCCだからといって何もかもが異なるわけではありません。

お世辞にも面倒見がよくない、大幅遅延や欠航時の代替機補償がないといった点を除くとそれほど大きな違いはないので、格安で海外旅行をしてみたいという方は、ぜひ一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

(提供:Incomepress



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