米OpenAIが開発し、全世界に向けてリリースした対話型人工知能「ChatGPT」の利用者がすでに1億人を超えたようです。米マイクロソフトは自社の検索エンジン(Bing)やWebブラウザ(Edge)にOpenAIの技術を導入し、ユーザーの疑問に対して「自然なやり取り」で答えを返すソリューションの実装を一部、実現しています。Googleが主導してきた検索市場を根底からひっくり返すかもしれないこの対話型人工知能、その技術が実現する未来について、投資家はどのような心づもりをしておけばいいのでしょうか(ZUU online編集部)。
まず、流れと事実を確認しておこう。
米国時間2023年1月23日、マイクロソフトはOpenAIとの長期的なパートナーシップの第3段階として、複数年にわたってOpenAIに数十億ドル規模の投資を行い、 AIの進歩を加速させるとともに、その利点が世界で広く共有されるよう取り組むことを発表した。OpenAIは人工知能の研究/開発を行う非営利団体で、2015年末に設立された。人工知能の研究/開発を通じて、人類の幸福に貢献することを目的とする。具体的には、自律型人工知能の研究、人間の課題を解決するためのAIの開発、AIの社会的影響の研究などを行っている。
OpenAIは非営利団体であり、その目的は、商業利用や個人の利益追求ではなく、人類全体の幸福に貢献することにある。従ってOpenAIの研究成果はオープンソースで公開され、誰でも自由に利用することができる。そんな団体に数十億ドル規模の投資を行うと発表したのだから、投資家ならずとも勘のよい人ならば、この分野がどれほどホットな状況にあるのか察しが付くだろう。
一方で数十億ドルと聞いてもピンとこない人が多いと思うので具体例で示すと、(1)ボーイング787の開発費用は約32億ドル、(2)ハーバード大学の年間予算は約40億ドル、(3)スタンフォード大学の年間予算は約27億ドルといった規模感を参考にしてほしい。単なる寄付行為のレベルではないことは明らかだろう。
そして、その約2週間後の2月7日(米国時間)、マイクロソフトは同社の検索エンジン「Bing」とWebブラウザ「Egde」を刷新し、新たにAI技術を導入したと発表した。それこそが話題の「ChatGPT」を組み込んだ新しいプロダクトだ。すでに使ってみた人は多いと思う。かく言う筆者も公私にわたって使い込み(直接「ChatGPT」にOpenAIのサイトからアクセスしている)、便利に、そして大変楽しく使わせてもらっている。実際、これは投資に興味があるとかないとかいう話とはまったく別に、これから人々の生活を大きく変革するものであることが予見できるものなので、まだ試していない人は、なるべく早く、まずはそれを自分自身で体感してみるべきだろう。
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「AI:人工知能」という言葉自体には何の目新しさもない。SF映画や漫画では、それこそ「鉄腕アトム」の時代からその概念が普及していた。資産運用業界においても直近では2017年にテーマ型投資信託の人気テーマとなっているほどだ。だから、もしかすると「なにをいまさらAI?」といぶかしむ人も多いかもしれないが、研究者などの特殊な人たちを除いて、おそらくこのChatGPTが最もリアルに、誰もが今のAIの技術水準を知るのにうってつけのものだと思われる。
かつて「AI:人工知能」と言えば、何となく人間の形をしたロボットのような存在を思い浮かべる人が多かったと思う。残念ながらChatGPTには姿かたちは存在しない。その最大の特徴は「対話型」だということだ。
ためしに「「ChatGPTの衝撃、金融業界への影響」というタイトルで原稿を書くとしたら、どんな内容を書きますか?」と実際にAI本人に問いかけてみた。
すると、その答えは以下のようになった。