どの程度の年収があれば、東京23区に一戸建てを購入できるのでしょうか。また、頭金はどの程度用意すればよいのでしょうか。

この記事では、東京23区内に戸建てを購入したいと考えている人に向けて、23区内の戸建ての購入価格や戸建て購入者の年収、23区内での戸建ての価格差などをデータに基づいて解説します。

東京23区内の戸建て住宅の購入価格

東京23区に一戸建てを購入できる年収の目安・頭金と住宅ローンの借入額は?
(画像=inoumasa/stock.adobe.com)

まずは、東京23区内の戸建て住宅の購入価格の動向を見ていきましょう。

23区の新築一戸建て住宅の約4割は6千万円以上

リクルートが公開している「2021年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」によると、東京23区の新築戸建ての平均購入価格は6,061万円で、購入価格の分布は以下の通りです。

購入価格割合
2,500万円未満0.5%
2,500~3,000万円未満0.5%
3,000~3,500万円未満2.4%
3,500~4,000万円未満5.3%
4,000~4,500万円未満10.8%
4,500~5,000万円未満13.5%
5,000~6,000万円未満23.2%
6,000万円以上42.5%

6,000万円以上が約4割、4,500万円以上が約8割という結果でした。

新築戸建ての平均購入価格は、首都圏全体で4,331万円、東京都下(23区を除いた市町村)は4,628万円なので、23区内はずば抜けて購入価格が高いことが分かります。

平均購入価格は上昇傾向に

過去の調査データと比較すると、東京23区の新築戸建ての平均購入価格は上昇傾向にあることが分かります。2014年からの平均購入価格の推移は以下の通りです。

調査年平均購入価格
2021年6,061万円
2020年5,418万円
2019年5,710万円
2018年5,978万円
2017年5,375万円
2016年5,466万円
2015年5,161万円
2014年4,943万円

2014年の平均購入価格は5,000万円を切っていましたが、多少上下しながらも価格の上昇が続き、2021年の調査では6,000万円を超えました。

23区内の戸建て購入者の年収

次に、東京23区に一戸建てを購入した人の年収のデータを見ていきましょう。

約4割が年収1,000万円以上

東京23区に一戸建てを購入した人の平均年収は995万円で、年収の分布は以下の通りです。

年収割合
400万円未満1.3%
400~600万円未満10.6%
600~800万円未満19.0%
800~1,000万円未満21.4%
1,000~1,200万円未満16.6%
1,200万円以上23.5%

約4割が年収1,000万円以上で、約4人に1人は年収1,200万円以上という結果でした。

年収に対する住宅購入価格を表す「年収倍率」の目安は、6~8倍程度といわれています。年収1,000万円なら6,000万円から8,000万円になるため、購入価格の分布ともほぼ合致しています。

約3割は800万円未満

一方、約3割が年収800万円未満で、約10人に1人は年収600万円未満という結果も注目すべき点といえます。

「年収倍率」をもとにすると、年収600万円なら3,600万円から4,800万円、年収800万円なら4,800万円から6,400万円が目安となります。決して安いとはいえない価格ですが、「意外と手が届きそうだ」と感じる人も多いのではないでしょうか。

資産状況にもよりますが、年収800万円未満でも東京23区に一戸建てを購入できる可能性は十分あるといえるでしょう。

23区内の新築一戸建ての価格差は?

東京23区内でも、エリアによって価格に差があります。東京23区内の戸建ての価格差を見ていきましょう。

23区内でも価格差はある

LIFULL HOME‘Sの価格相場によると、東京23区の新築分譲一戸建ての価格相場は3,080万円から4億9,500万円となっており、かなり価格差があることが分かります。

床面積など物件の条件によっても価格差は当然生じますが、大きく影響するのは、人気のあるエリアかどうかです。

東京23区内に戸建てを建てたいと考えているなら、自分達の生活水準に合うエリアを選ぶことが重要といえるでしょう。

比較的安いのは足立区と葛飾区

東京23区内でも戸建ての価格が比較的安いのは足立区と葛飾区です。LIFULL HOME‘Sの価格相場によると、足立区は3,080万円から7,680万円(物件数57件)、葛飾区は3,380万円から8,490万円(物件数40件)です。

例えば、2023年2月時点では、以下のような新築一戸建てが販売されていました。

エリア価格建物面積間取り
足立区3,480万円94.4㎡2SLDK
足立区4,080万円101.85㎡4LDK
足立区4,780万円95.42㎡4LDK
葛飾区3,590万円101.02㎡3LDK
葛飾区3,880万円94.6㎡3SLDK
葛飾区4,490万円122.9㎡4LDK
※2023年2月20日時点の物件情報に基づく。

港区や目黒区の高級住宅街は高い

一方、人気のエリアは住宅価格が高く、そもそも人気ゆえに物件数が少ない傾向にあります。

例えば、高級マンションが立ち並ぶ港区には、白金台や南麻布、赤坂などの高級住宅街があります。
港区は、六本木や麻布十番など大人の遊び場としてのイメージも定着しています。

また、芸能人が多く住む街として知られる目黒区には、青葉台という高級住宅街があります。緑豊かで買い物にも便利な人気のエリアです。

そのほか、渋谷区の松濤や世田谷区の成城など、東京には一般人には手の届きにくい豪邸が立ち並ぶ高級住宅街が数多くあります。

戸建て購入時の住宅ローン

東京23区に戸建てを購入した人は、どの程度の頭金を貯めて、どのような住宅ローンを組んだのでしょうか。23区内の戸建て購入者の頭金や住宅ローンの借入額のデータを紹介します。

23区内の戸建て購入者の頭金は?

東京23区に戸建てを購入した人の自己資金の平均額は1,076万円で、分布は以下の通りです。

自己資金割合
0円20.6%
200万円未満12.9%
200~400万円未満11.6%
400~600万円未満9.2%
600~800万円未満2.9%
800~1,000万円未満2.6%
1,000~1,500万円未満8.2%
1,500~2,000万円未満6.1%
2,000~3,000万円未満6.9%
3,000万円以上10.0%

東京23区に戸建てを購入した人の約2割、つまり約5人に1人は、自己資金0円という結果でした。自己資金0円ということは、住宅購入価格の全額を住宅ローンでまかなうフルローンを利用したということになります。

約1割の人が3,000万円以上の自己資金を用意しているため、自己資金の平均額が1,000万円を超えていますが、分布をみると自己資金600万円未満が半数を超えています。割合が高い順でも「0円」「200万円未満」「200~400万円未満」の順となっています。

このことから、高額の自己資金を用意しなくても、東京23区内で戸建てを購入できる可能性は十分あることが分かります。

23区内の戸建て購入者のローン借入れ金額

東京23区に戸建てを購入した人の住宅ローンの平均借入額は5,343万円で、分布は以下の通りです。

住宅ローンの借入額割合
1,000万円未満
1,000~1,500万円未満0.3%
1,500~2,000万円未満
2,000~2,500万円未満1.1%
2,500~3,000万円未満1.4%
3,000~3,500万円未満5.1%
3,500~4,000万円未満8.2%
4,000~5,000万円未満31.0%
5,000万円以上53.0%

半数以上が5,000万円以上の住宅ローンを組んで戸建てを購入しているという結果でした。また、約3人に1人は4,000万円以上5,000万円未満の借入額でした。

ローン返済シミュレーション

東京23区に戸建てを購入するために、約5,000万円の住宅ローンを組んだとすると、毎月の返済額はどのくらいになるのでしょうか。
ローン返済シミュレーションで、返済期間35年、元利均等返済としてシミュレーションしました。なお、このシミュレーションでは融資手数料や保証料は考慮しません。

【金利0.5%の場合】

毎月の返済額12万9,792円
総利息額451万2,928円
総支払額5,451万2,928円

【金利1.5%の場合】

毎月の返済額15万3,092円
総利息額1,429万8,732円
総支払額6,429万8,732円

毎月13~16万円程度の負担額で戸建てを購入できると知って、驚く人も多いのではないでしょうか。

東京23区では、ファミリータイプの賃貸物件の家賃は10万円を超えることがほとんどでしょう。人気のエリアなら、家賃が20万円を超えることもありえます。
毎月の負担は賃貸とほぼ変わらないことを考えると、戸建ての購入は十分現実的な選択肢といえるでしょう。

まとめ

東京23区内の戸建ての購入価格や戸建て購入者の年収、23区内での戸建ての価格差などをデータに基づいて解説しました。

「東京23区内で一戸建てを購入したいけれど、住宅ローンの支払いが心配」という場合は、賃貸併用住宅という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか?

賃貸併用住宅とは、マイホームと賃貸住宅を併設した住宅のことです。住宅の一部を第三者に貸し出し、受け取った家賃を住宅ローンの返済に充てられます。

賃貸併用住宅なら、年収の10~12倍程度の住宅ローン融資を受けることも可能なので、通常では手の届きにくい人気のエリアにマイホームを購入できる可能性が高くなります。

人気のエリアなら入居者も集まりやすく、プラン次第では家賃収入が住宅ローンの返済額を上回ることもあり得ます。貸併用住宅最大の魅力は、マイホームを持つと同時に、家賃収入を得られ、資産形成を始められることです。

賃貸併用住宅「はたらくおうち」について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
参考URL:家賃収入で「住宅ローン0円」を実現する「はたらくおうち」の詳細

(提供:賢いくらし研究所