さらなるM&Aの可能性も

稲畑産業は長期ビジョン「IK Vision 2030」を策定しており、この中で2030年ごろに商社機能を基本としながらも、製造、物流、ファイナンスなどの複合的な機能を持ち、売上高1兆円以上を実現するとの姿を描いている。

この長期ビジョンの達成に向けて、3カ年の中期経営計画「New Challenge 2023」に取り組んでおり、最終年度の2024年3月期に売上高8000億円、営業利益205億円、経常利益215億円、当期利益225億円という数字を掲げているのだ。

ただ、この数字は2022年5月に一度修正している。それというのも初年度である2022年3月期の業績が最終年度の目標数値を上回ったためで、当初計画の売上高6700億円、営業利益165億円、経常利益170億円、当期利益160億円から大幅に引き上げた。

ところが、中期経営計画の中間の年度となる2023年3月期は、売上高は7.2%増の7300億円と目標に近づくものの、営業利益は2.8%減の195億円、経常利益は5.3%減の205億円、当期利益は8.3%減の205億円に留まる見込みだ。

実はこの数字は最終年度の目標を引き上げたのと同時に業績予想として公表している。つまり当初から減益になることを想定していたわけで、そこには目標達成に向けた何らかの戦略があったはずだ。

その一つが大五通商の子会社化であったと言えそう。同社を傘下に収めることで、状況を改善する効果が期待できる。今後は目標達成に向けたさらなるM&Aが俎上に上がる可能性もありそうだ。

【稲畑産業の業績推移】

M&A Online
(画像=「M&A Online」より引用)

文:M&A Online編集部