デジタル人材に求められる3つのスキル
デジタル人材は自社のDX推進に貢献する人材であり、大きく3つのスキルが求められる。
1.ハードスキル
デジタル人材にまず求められるのは、デジタル技術に関する専門的な知識とスキルである。
具体的には、ビッグデータを収集したり分析したりするデータサイエンティスト、システムの実装や保守を行うソフトウェアエンジニア、サイバー攻撃から自社のシステムを守るサイバーセキュリティといった人材が必要だ。
2.ソフトスキル
専門的なスキルを持っていても、自社のDXを促すためのプロジェクトを円滑に進めるためにはソフトスキルが必要だ。
ソフトスキルとはコミュニケーション力や問題解決能力、リーダーシップなど、他者と協調しながら仕事を進めるために欠かせないパーソナルスキルのことである。
3.自社に必要なデジタル技術を選定するスキル
自社がDXを進める上で必要となるデジタル技術の導入や全体設計を行う「ビジネスアーキテクト」としてのスキルも必要だ。
どれだけエンジニアとしてのスキルがあっても、自社の経営革新に直接つながるようなシステムを導入し運用できなければ、DXの意味がない。そのため、自社の中長期の経営目標を理解し、目標実現に必要なデジタル技術の選定能力が求められる。
中小企業でデジタル人材を育成する方法4つ
中小企業が社内でデジタル人材を選定して育成するには、大きく4つの方法がある。
1.デジタルスキルが必要な業務を任せる
デジタルリテラシーが比較的高い社員がいるならば、DXに関連する業務を担当させるという方法がある。
DX推進のシステム導入に際しては、SIerや外部人材などの専門家を利用しつつ社内担当者として育成を目指す社員を関わらせることで、運用方法などDX継続に必要なスキルの修得を促すことができるだろう。
2.外部の研修やセミナーを活用する
デジタル技術について基礎から体系的に学べる研修やセミナーの参加も有効だ。
技術革新に対応できる新しいスキルの習得を目指し、注目されているのが社員の能力開発を進める「リスキリング」である。そのような状況で、デジタル人材の育成に関する外部セミナーも充実してきている。
外部セミナーで学んだことを実際に社内業務で活用してもらえば、習熟度も高まるだろう。
厚生労働省はデジタル人材育成を促進するために、人材開発支援助成金を創設している。スキル修得のための訓練経費などの助成を受けられるので、助成対象の研修やセミナーを選べば育成コストも抑えられる。
3.関連資格の取得をサポートする
社員のデジタル技術関連の資格取得を促すために、積極的にサポートすることも大切だ。
DXに関わる各種資格を取得することは、デジタル技術についての理解を深め、専門的なスキルの習得にも役立つ。そのため、特定の資格取得者に対して報奨金を支払う、対策講座の受講費用一の部を負担するといった支援を行って、社員の自己啓発を支援することも検討しよう。
4.メンター制度の導入により社員を継続的に育成する
デジタル人材の社内育成は、次世代も考慮して継続的に行う必要がある。そのため、デジタル技術をある程度習得した人材や外部から雇用したデジタル人材をメンターにして、次の人材の育成を任せることも大切だ。
そもそも、デジタル人材が1人しかいなければ、社内システムのブラックボックス化が起こり、担当者が退職すればシステムの運用や保守などができなくなる恐れがある。
DXは複数人のチームで行うことを前提にして、技術の共有や後進の育成を継続的に行う体制を構築することが肝要だ。