主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年5月12日9時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼11日(木)の為替相場
(1):本邦経常収支は予想を下回る黒字額
(2):中国CPIは伸びが鈍化
(3):BOEは市場の予想通り0.25%利上げ
(4):米PPIは予想を下回る
(5):リスク回避の円買いドル買い
▼11日(木)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:週末を控えて方向感が出にくい/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
11日(木)の為替相場
期間:11日(木)午前6時10分~12日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):本邦経常収支は予想を下回る黒字額
日本3月経常収支は2兆2781億円の黒字だった(予想2兆8907億円の黒字)。貿易収支が4544億円の赤字(予想4500億円の赤字)となった一方、海外での投資の利子や海外子会社から受け取る配当金などの「第1次所得収支」は3兆3610億円の黒字だった。
(2):中国CPIは伸びが鈍化
中国4月消費者物価指数(CPI)は前年比+0.1%と市場予想(+0.3%)および前月(+0.7%)を下回る伸びにとどまった。同生産者物価指数(PPI)は前年比-3.6%と低下幅が拡大した(予想-3.3%、前回-2.5%)。
(3):BOEは市場の予想通り0.25%利上げ
英中銀(BOE)は大方の予想通りに政策金利を25bp(0.25%ポイント)引き上げ4.50%とした。議事録では、利上げの決定が7対2で金融政策委員会(MPC)メンバー2人は据え置きを主張したことが明らかになった。また、「物価圧力がさらに持続する証拠があれば、金融政策の一段の引き締めが必要になるだろう」と前回の文言を踏襲した。ベイリー総裁はその後の記者会見で「安定した低インフレは健全な経済の土台だ」とし、「インフレ率が目標の2%に戻ることを確実にするために政策姿勢を堅持することが必要だ」と語った。ポンドは買いが優勢となったが、利上げは織り込み済みとあって上昇は一時的だった。その後、ベイリー総裁はメディアのインタビューで、「金利水準については、ある意味で利上げ休止が可能になる地点に近付いている」と発言した。
(4):米PPIは予想を下回る
米4月生産者物価指数(PPI)は前年比+2.3%、食品とエネルギーを除いたコアPPIは前年比+3.2%に鈍化。いずれも市場予想(+2.5%、+3.3%)を下回った。また、米新規失業保険申請件数は26.4万件に増加。市場予想(24.5万件)を上回り2021年10月以来の高水準となった。これを受けて6月の利上げ打ち止め観測が強まりドルが下落した。
(5):リスク回避の円買いドル買い
NYダウ平均の下げ幅が一時400ドルを超えるなど米国株が下落基調を強める中、為替市場ではリスク回避の円買い以上にドル買いが優勢となった。ドル/円は持ち直した一方、クロス円は上値の重い動きが続いた。なお、この日米地銀パックウエスト・バンコープの株価は、5月5日までの週に同行の預金が約9.5%(15億ドル)減少したことで約23%下落した。