スタートアップ起業のポイント

スタートアップとして起業するために押さえておきたいポイントを紹介する。

ビジネスモデルの確立

ベンチャーとの違いでも説明したように、スタートアップは社会に変革をもたらすほどのビジネスモデルの確立が欠かせない。独自性のあるアイディアや技術・知識だけで社会は動かない。社会全体を動かすためにこれらをどのようにビジネスモデルとして確立するかを熟慮することが必要だ。

資金調達

早期で事業の成功を目指すスタートアップでは、資金力が必要だ。一般的にスタートアップでは、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家が資金の提供者となるが、投資を受けるには革新的なアイディアやビジネスモデルなど成功に向けた裏付けがカギを握る。先に紹介した日本政府の支援なども選択肢に入れながら有効な資金調達法を検討したい。

人材確保

自身が発案者の場合でも、そのアイディアを事業として実現するにはチームでスタートアップビジネスを行わなければならない。即効性のある人材として各分野の知識・経験に長けた専門家を確保する必要があるだろう。またそれぞれが専門家としての自負があることから、意見が衝突しないようにチームをうまくまとめるリーダー役も必要だ。

人材をいかにして集めるかがポイントとなり、これにより事業の進捗が大きく変わってくるだろう。

短期的な経営戦略(イグジット)

イグジットもあらかじめ想定しておく必要がある。イグジット例としては、上述したようにIPOやM&Aが一般的だ。しかし「どちらの手法を選択するか」「イグジットをして利益回収する」といったことだけを考えればいいわけではない。イグジットした後もビジネスは継続し、すべてのステークホルダーへの責任は続く。事業計画を立てる際は、これらのことも意識しておきたい。

スタートアップ支援サービス

日本政府の「スタートアップ育成5か年計画」を紹介したが、すでに複数のスタートアップ支援サービスが実施されている。ここでは、主な支援サービスを4つ紹介していく。

J-Startup

「J-Startup」は、2018年6月に創設されたスタートアップ創出支援機関だ。以下の3組織が事務局となっている。

  • 経済産業省 経済産業政策局(METI)
  • 独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)
  • 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)

潜在力の高いスタートアップに対して集中的な支援プログラムを実施するとともに、グローバルに活躍できるよう海外への進出支援にも熱心だ。

StarT!Ps(スターティプス) from NEDO

「StarT!Ps from NEDO」は、前出した国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が運営するスタートアップ・中小企業向けのポータルサイトだ。資金調達支援やマッチング支援などNEDOのスタートアップ向けの支援事業・制度が詳しく紹介されている。またスタートアップに挑戦したい人の後押しとなるようにNEDO事業利用者の成果や参加エピソードなども紹介されている。

Startup Hub Tokyo(TOKYO創業ステーション)

「東京創業ステーション」は、東京都と東京都中小企業振興公社が立ち上げた起業支援ハブ。スタートアップ起業相談や支援も請け負っている。丸の内と多摩地区に2つの拠点を持ち、起業に関する無料相談(事前予約が必要)やイベント、セミナーなどほぼ毎日開催している。ワークショップや交流会もあるため、起業を志す人は参加してみるとよいだろう。

ドリームゲート

民間企業としてスタートアップ支援をするのが「ドリームゲート」だ。2003年4月、小泉内閣の経済財政諮問会議において経済産業省からの公募を株式会社リクルートが受託、当時同社社員であったドリームゲート代表の松谷氏が担当者としてプロジェクトを立ち上げたのが始まりだ。2023年現在は、日本最大級の起業支援プラットフォームとして「起業したい」「起業準備を始めている」「すでに起業した」という人向けにさまざまな支援サービスを提供している。

事業計画や資金調達、会社設立、会計・税務、IT、法務、市場分析などビジネスに必要不可欠な各分野の専門家を選び、無料相談ができる(実際の業務依頼は有料)。専門家による起業・経営セミナーも随時開催しているため、参加してみるのもよいだろう。