総括
FX「米国との金利差はどうなる。直接投資は大幅増、今月も最強」メキシコペソ見通し
予想レンジ 7.5-8.0
(ポイント)
*政策金利は11.25%で据え置かれたが米国との金利差が気になる
*FRBは6-7月間に0.25%利上げする見込みだ
*1Qのメキシコへの直接投資額が大幅増加
*本日は1Q経常収支と、1Q・GDP確定値、3月経済活動指数の発表
*ニアショアリングは堅調
*5月前半消費者物価は低下
*4月は貿易赤字に転じる、輸出入減少
*火山活動が活発化
*財務副大臣もペソ高は郷里送金とニアショアーによるものと発言
*経済指標は概ね強い
*コロナ非常事態を終了
*大統領はドル基軸体制を支持
*1Q・GDPは予想を上回る
*通貨は年初来最強、株価指数も強い
*政府の成長見通しは3%と高い。民間予想の約倍
*政府のインフレ率見通しはを2023年は3.2%から5.0%へ引き上げ
*2024年に大統領選挙がある
(FOMCを睨んだ動き。米国との金利差は維持か縮小か。ニアショアリングは堅調)
またもや年初来高値を更新7.859(5月25日)をつけた。5月18日の政策金利据え置きで、米国との政策金利差が縮小するのでは、との思惑でペソは売られたが3日間でそれは終わり、再び急騰した。米国が債務上限問題で揺れていることも買戻しの要因となった。
FOMCの動向も気になる。フェッドウオッチでは利上げ据え置き五分五分、FRBメンバーの発言では、依然高いインフレは許されないものも多い。据え置けばメキシコとの金利差維持でペソは底堅く推移、利上げとなれば金利差縮小で売られる。
経済界からはペソ高による輸出産業の収益減を懸念する声があがっている。
(5月前半消費者物価が低下、年内利下げ説も)
5月前半の消費者物価は、前年比上昇率は6%と、2021年9月以来1年8カ月ぶりの低い伸びにとどまった。前月の6.24%、予想の6.15%上昇を下回った。
コアは 7.45%、前月の7.75%、予想の7.5%上昇を下回った
中銀は、現行の政策金利水準を長期間維持し、物価上昇率を3%の目標に収める考えを示唆。3%に落ち着くのは来年4Q以降になるとみている。
ただ市場では前年比上昇率が5%に減速する展開が見えてきたと指摘し、年内には利下げ余地が生じるかもしれないとの見方がある。
(1Qのメキシコへの直接投資額が大幅増加)
1Qのメキシコへの直接投資額が発表された。ニアショアリング政策で投資額が増加して186億ドルとなった。2022年は年間で353億ドルであったのでペースは速い。2023年に入っても、外国企業の大型投資の発表が相次いでいる。2023年は前年よりも多くの投資が行われることが期待されている。
(4月は貿易赤字に転じる、輸出入減少)
4月は15.09億ドルの貿易赤字となった。3月は11.69億ドルの黒字。輸出は石油製品の出荷(32.8%減)に牽引され、前年比2.9%減の462.2億ドルとなった。輸入は石油購入量の減少(27.5%減)で3.3%減の477.3億ドルとなった。
本日は1Q経常収支と、1Q・GDP確定値、3月経済活動指数の発表がある。
(メキシコ車生産、半導体不足解消で回復 EV前年比3倍)
EV生産台数は23年に約22万台と前年比で3倍近くに増える見込みだ。GMや米フォード・モーターがメキシコにある工場でEVの生産規模を拡大している。
米テスラはメキシコ北部に世界で5番目となる電気自動車(EV)の工場を設けると発表しており、同社に部品を供給するサプライヤーの進出も相次いでいる。独BMWはメキシコ中部の工場に8億ユーロを投じ、24年にEV電池、27年にEV生産を始める計画だ。
メキシコ投資には課題もある。メキシコの左派ロペスオブラドール大統領は外国企業の誘致よりも労働者の待遇改善を重視する政策を進めてきた。最低賃金を大幅に引き上げているほか、有給休暇の日数も増やしている。新たな労働組合の設立で企業は賃上げを迫られており、進出企業は人件費の増加を懸念するようになっている。
テクニカル分析
反落短く、急反発し年初来高値更新
日足、再びボリバン中位から反発。5月24日は5月19日-23日の下降ラインを上抜く大陽線。5月4日-24日の上昇ラインがサポートだが今朝は下抜いてオープン。5日線、20日線上向き。
週足、6週連続陽線、今週もここまで陽線。ボリバン2σ上限。5週線、20週線上向き。5月8日週-22日週の上昇ラインがサポート。
月足、ボリバン上位。今年は3月だけ陰線も、その3月も下ヒゲが長かった。5月もここまで陽線。3月-4月の上昇ラインがサポート。5か月、20か月線上向き。
年足、一時22年の長い上ヒゲを上抜くも、その後23年も長い上ヒゲに転じる。21年-22年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
火山活動活発化、警戒レベル引き上げ
メキシコの国立防災センターは5月21日、中部のポポカテペトル山の活動が活発化し、煙や灰、溶岩の噴出が見られるのを受け、警戒レベルを「黄色のフェーズ3」に引き上げた。 ポポカテペトル山はモレロス、メキシコ、プエブラの3州にまたがる。半径100キロ以内に約2500万人が住んでおり、世界で最も危険な火山の一つとされている。
「黄色のフェーズ3」は「避難準備」勧告で、この上の「赤色」は避難命令となる。
20日には、降灰のためメキシコ市の2か所の空港で全便の運航が一時停止された。