外為マーケットレポート
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

日経平均株価がバブル崩壊後の高値を付け、米国10年債利回りが3.8%を越え、ドル・円相場が凡そ半年ぶりの高値となる140円を超えた。

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(5月に入ってからのドル・円、ローソク足・日足チャート。)

筆者にとって全くの想定外の動きである。

日経平均株価の上昇の背景には米国著名投資家であるウォーレン・バフェット氏の日本株買い推奨に乗った海外の投資家の買いがあると思われるが、日銀による執拗な緩和策継続方針も彼らに買い安心感を与えているのかも知れない。
そして先日のレポートでも述べた様に彼らは保有する日本株に対する為替ヘッジとして先物で円を売っており、ドル高&円安を助長した。

米国長期金利の上昇は、今月に入ってから発表された経済指標の多くが市場予想を上回った事や、インフレ関連の指標が必ずしもインフレ鈍化を示すものではなかったことを受けてFRB.の何人かの高官が利上げ継続を支持するタカ派的(利上げに積極的)な発言を行ったことにある。
前回FOMC.後の利上げ打ち止めを仄めかしたパウエルFRB.議長への忖度などは微塵も見られない誠にアメリカ的な行動であると感心する。
日本では政策委員が日銀総裁のコメントに真っ向から歯向かう意見を述べるのは難しかろう.…

株価上昇、金利上昇を受けてドル・円相場は上昇した訳であるが、その他にも筆者を含めたドル・ベア派(ドルに対して弱気)のドルの売り持ちポジションの巻き戻し(損切りのドル買い。)も見受けられた。

我が国個人投資家は先週23日(火)の段階で139円台を目の前にして、久し振りにドルの売り持ち(ネットで約3億ドルの売り持ち)に転じていた。

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此処まで一方的に上昇してきたドル・円相場が更に何処まで上昇を見極めるかは難しいが、市場は昨年11月に付けた戻り高値の142.25辺りを意識していると思われる。

それと一部、特に海外勢からは当局からのドル売り&円買い介入が行われるのではないかとの憶測も出だした。
先週鈴木財務相が“為替相場はファンダメンタルズを反映すべきであり、現在の為替相場を注視している。”と述べたが、現時点では為替介入の可能性は低いと思われる。

昨年の大規模介入の折は“為替市場のボラティリティが大き過ぎる。”ので介入によって鎮静化を図った、と言うのが大義名分であり、米国財務省もOK.した経緯が有ったが、現在の相場展開のボラティリティが決して大きいとは思えない。

後は放っておけば更なる円安が続くかも知れない状況で、政治的に円安進行を許容するかがポイントになろうか?

どうも日銀のインフレに対する感覚と、我々一般人とのそれに相当な開きが有る様に思えてならない。

日銀は“現在の物価上昇は一過性のものであり、消費者物価指数は何れ再び2%を割る。”と言い切り、我々庶民は諸物価の高騰に悲鳴を上げている。

円安は輸入物価を押し上げ、消費者物価指数をも押し上げる。

衆議院解散の可能性が囁かれ始めたが、再び支持率が下がり始めた岸田政権が為替相場に対してどの様な考えを持っているかは知る由も無いが、“悪い円安。”について認識をして頂ければ良いなと感じている。

円安が急激に進んでいる現状で落ちるナイフ(円)を摘まもうとする必要は無いかも知れない。
ナイフが落ち切った(円安が底を打った。)と確認してから拾っても(円を買う。)良かろうか?

6月13日~14日開催されるFOMC.、そして15日~16日に開催される日銀政策決定会合辺りが山場となりそうである。

今週のテクニカル分析の見立ては買われ過ぎに警戒しながらもトレンドは上を見ている。
下サイドは137円台まで大きなサポート(下値支持線)は無い。