トルコリラ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「選挙後、市場混乱。新財務相はどうでるか、大胆な予想も複数出る」トルコリラ見通し

(通貨11位、株価20位)

予想レンジ トルコリラ/円6.0-7.0

(ポイント)
*シムシェキ財務大臣就任
*新財務大臣はインフレ率を1桁台に戻し経常赤字を減らすことが目標
*新政権誕生後は長期金利は上昇、株価も上昇、リラは下落
*JPモルガンチェースは今月政策金利を8.5%から25%へ引き上げ予想
*ゴールドマン・サックスは、リラが1年後に1ドル=28リラまで下落と予想
*恒常的な貿易赤字がリラ安の要因
*5月消費者物価は40%割れだが天然ガス無料政策で
*1Q・GDPは前年同期比4.0%増
*スウェーデンのNATO加盟を認めるか?
*大統領は高インフレでも低金利政策を約束
*NATOとロシアの間で動く
*隣国ギリシャも貿易赤字国であったがユーロ入りで経済は安定
*銀行の融資には債券購入を義務付け=長期金利低下
*地震でも世銀が成長率見通しを上方修正
*リラ安防衛策はリラ預金増に繋がるがリラ安を抑えきれない
*国内預金が外貨預金を上回る=リラ化政策で
*今年は建国100周年

(大統領選挙後の市場は大変動)
選挙後の市場は大きく変動、リラ大幅安、株価急騰、10年国債利回り急上昇。シムシェキ財務大臣登場の影響か。

トルコリラ見通し
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(突拍子もない予想も。ただJPモルガンの予想)
突拍子もない予想も出ているが、米系大手JPモルガンチェースの予想なので取り上げた
・JPモルガン・チェースはトルコが6月22日の金融政策決定会合で利上げすると予想しており、基準金利を8.5%から25%に引き上げることを検討するとしている。

(シムシェキ財務大臣=インフレ1桁台に、経常赤字を減らす)
シムシェキ新財務相は、経済の予測可能性を確実にするために「合理的な根拠」に戻る以外に選択肢はないと述べた。
新内閣の主要目標として社会福祉の推進を挙げ「透明性、一貫性、予測可能性、国際規範の順守が、この目標を達成するための基本原則になる」と述べた。
さらに「トルコには合理的な根拠に戻る以外の選択肢はない。ルールに基づいた予測可能なトルコ経済が、望ましい繁栄を実現するための鍵だ」と語った。
また、グローバルな課題や地政学的緊張が高まる環境下で、マクロ的な金融安定が優先されるとも主張。「持続可能な高成長のために財政規律を確立し、物価安定を確保することが主要な目標になる」と強調した。
2009-18年に副首相と財務相を務め、金融市場から高く評価されたシムシェキ氏は「中期的にインフレ率を1桁台に戻し、あらゆる分野で予測可能性を高め、経常赤字を減らす構造転換を加速させることが不可欠」とも述べた。

(1ドル28リラとの予想)
ゴールドマン・サックスは、トルコリラが1年後に1ドル=28リラまで下落するとの見通しを示した。従来は22リラへの下落を予想していた。
リラ相場について「大きく下落するかどうかではなく、いつ下落するかが問題であり、1回限りの大幅調整の確率が高まっている」との見方を示した。
シムシェキ氏の財務相任命については「金融政策がよりオーソドックスな方向に向かう可能性が高まる」とした。
今後、予想以上に大幅な金利調整があれば、リラ安は想定より小幅にとどまる可能性もあると述べた。

(リラ安を生む恒常的な貿易赤字)
5月の貿易赤字は前年同月比18.8%増の126.6億ドル。 輸出は14.4%増、輸入は16%増。

(1Q・GDPは予想を上回る)
1Q・GDPは前年同期比4.0%増だった。予想の3.9%増をわずかに上回った。
2月の大地震あったが、力強い経済成長を記録した。

(5月消費者物価は40%割れ、天然ガスに「ゼロ価格」方式)
5月の消費者物価は前年比で39.59%上昇した。4月の43.68%から低下した。
統計局は先週、5月の算出において、天然ガスに「ゼロ価格」方式を適用すると発表。政府は選挙に先立ち、5月にガスを無料で提供すると約束していた。
5月の生産者物価は前年比で40.76%上昇した。
今週は4月鉱工業生産の発表がある。鉱工業生産は悪化の見通し。

(外交にも注目)
長期政権となる中、ウクライナ情勢をめぐる仲介外交の行方や、スウェーデンのNATOへの加盟にトルコが賛成するかにも注目したい。スウェーデンについてはトルコがテロリスト団体をみなす非合法武装組織クルド労働者党(PKK)のメンバーを支援している点を理由に加盟を認めない方針を続けている。

テクニカル分析(トルコリラ/円)

ボリバン下限まで下落

日足、雲下へ下落、一時3σ下限も下回る弱さ。サポートは3σ下限。6月2日-5日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。
週足、ボリバン中位から2σ下限へ下落。現在も2σ下限と3σ下限の間で推移。。3月6日週-5月29日週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向き、20週線上向き。
月足、21年12月-23年5月の上昇ラインがサポート。23年3月-5月の下降ラインが上値抵抗。
年足、8年連続陰線。その間52円から6円台へ沈む。今年は僅かに陽転していたが3月から陰転。5月一時円を上回ったが、月末は円に4%以上引き離された。

トルコリラ見通し
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メルハバ

恒常的な貿易赤字でリラを安定させることは難しい

隣国ギリシャ、ユーロ圏のフランス、イタリア、スペインなども貿易赤字に悩み、それによる通貨安を食い止めるために、何度も利上げ、自国通貨い介入を行った。 しかしその努力は失敗に終わり通貨下落を止めることは出来なかった。
結局、通貨を安定させるのは、ユーロ統一通貨誕生を待つことになる。
現在、これらの国のインフレはドイツよりも低い。通貨政策に悩まず、他の経済政策に集中出来ることとなった。
今後、新政権で予測される金融引き締めがあってもリラの安定は前途多難だ。リラもユーロ通貨統合に参加すべきだが障害が多い。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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