本記事は、加藤俊徳氏の著書『頭が良くなっていく人のすごい習慣』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
脳を広範囲に使おう!
ワクワクすること、楽しいことをする
今から10年ほど前、学会に出席するため中国を訪れたときのことです。いつもなら初めての街に行くとすごくワクワクするのに、どういうわけか、ちっとも楽しくありませんでした。これはおかしいぞと思って鏡を見たら、顔がこわばっていました。
表情の豊かさは、脳の柔軟性を反映しています。そのときの私は明らかに頭が固くなっていました。
どうしてだろうと考えてみると、思い当たることがありました。ふだんは1人旅か家族旅行だったのですが、その学会には家族ではなく、スタッフを連れていきました。その責任感や緊張感に睡眠不足もあいまって、いつもと脳の使い方がかなり違っていたのです。
脳の柔軟性は「脳の頻繁に使われる部位は柔らかく即座に反応しやすく、使われない部位は活動しにくくなり硬直する」という単純な仕組みになっています。私はスタッフらを気にかけることに重きをおいて脳を使っていたので、日本にいるときとは違って硬直するのは当たり前でした。
それ以来、学会へは1人か家族と行くことを習慣にしたら、楽しさが復活しました。
ワクワクしたり楽しいと感じるとき、人は脳の広範囲を使っています。反対に、つまらないとか面白くないと感じるときは、脳の一部しか使えていないということです。
脳をたくさん使うほど頭が良くなりますから、楽しいことは遠慮しないでどんどんやっていきましょう。
元気なお年寄りの習慣を見習おう
100歳になっても認知症にならず、脳がしっかり働いている人たちは、例外なく、頭が良くなる習慣を持っています。それは食習慣、運動習慣、知的趣味の3つです。
食事に関する習慣は「自分の体調を気づかう習慣」でもあります。食事に気をつけていると「肉を食べると調子がいい」とか「早食いすると体調が崩れる」といった因果関係がわかるので、理解系脳番地が活性化します。また、よく嚙んで食べることで運動系脳番地を、楽しんで食べることで感情系脳番地を刺激することができます。
運動習慣は散歩や体操、畑仕事などですが、たいていは「早起き」とセットになっています。運動系脳番地だけでなく、起床時刻を覚えておく/思い出すことで記憶系脳番地も鍛えられます。
知的な趣味を持つことは「学びの習慣」とも言い換えることができ、思考系脳番地と理解系脳番地にたいへんよい影響を与えます。外国語の勉強、楽器の練習、将棋、天体観測など、趣味の内容は人それぞれ。105歳で亡くなるまで聖路加国際病院の院長などを歴任された日野原重明先生は、最晩年までミュージカルに出演されていました。
もちろん、元気なお年寄りが全員同じ習慣を持っているわけではありません。それぞれ違った得意や興味があり、その延長で好きなこと、面白い、楽しいと感じることを習慣にしているだけなんです。
こういう方々を見ていると、頭を良くすることは決して苦行ではない、ということがよくわかります。
1日1日を楽しんでいれば、勝手に頭が良くなっていき、認知症にもかからない。人生百年時代に必要な頭の良さは、まさしくこういうものでしょう。
今ある習慣に少しだけ負荷を加える
現時点であなたはどんな習慣を持っているでしょうか?
いい習慣を持っているのなら、それを基準にして少しだけ負荷を上げてみましょう。マンネリ化を防止して、さらに頭を良くしていくことができます。
その際のポイントは「少しだけ」というところです。
あまりにも差異が大きすぎると脳が警戒して嫌がるので、サーフィン+ダイビング(どちらもマリンスポーツ)、クラシックコンサート+ロックフェス(どちらも音楽)のように、同じ分野の中で幅を広げるといいでしょう。
つきあう相手を変えてみる
人づきあいにも同じことが言えます。異業種交流会はその典型ですが、同じ業界の中でも自分とは違う職種の人と話をするなど、会う人の種類をちょっと変えてみましょう。
人に会うときのポイントは、自分が欲しいと思っている要素を相手の中に見つけようとする意識です。つまり「尊敬できる人」を探すつもりで人に会うということです。
何度もお伝えしていますが、脳は他人の影響を非常に受けやすくできています。周りにいる人が良くも悪くもお手本になるので、自分にとって望ましいお手本になる人を持つことがとても大切です。
洞察力を高めたいと思ったら、洞察力が高い人を見つける。怠け癖をなくしたいと思ったら、怠け者を遠ざける。そうやって人づきあいに変化を招き入れることで、自分の脳がデザインできるんです。
自分の頭がわるくなっていると感じたときには特に、尊敬する人を変えてみましょう。
- ここがポイント
- ◎楽しいことを習慣にしよう。すでにある習慣には少し変化を付け足すと、頭が勝手に良くなっていく。