本記事は、加藤俊徳氏の著書『頭が良くなっていく人のすごい習慣』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

運動
(画像=Prostock-studio / stock.adobe.com)

定期的に脳をリセットする

疲れたら運動系に「シフト」する

似たような内容の仕事が何本も続くと、たっぷり休憩しても頭がスッキリせず、疲れが取れません。それは、同じ脳番地を長時間使い続けたためです。

こういうときは、内容がまったく異なる作業、すなわち、別の脳番地を使うことで活力がよみがえります。私はこれを「脳番地シフト」と呼んでいます。

もっとも手軽な脳番地シフトは、運動系脳番地を使うことです。

1時間に1回は立ち上がり、5分ぐらい体を動かしましょう。階段を降りて昇って帰ってくる、ストレッチをするなど軽い運動でいいですが、できれば外に出て歩くのがおすすめです。

人間の脳の働きは「動かずに頭が良くなる仕組み」にはなっていません。人体は運動と皮膚感覚で脳とつながっていて、体の動きと脳の動きは連動して発達します。逆に言えば「動かないこと=頭がわるくなること」なのです。

ゆっくり長く呼吸する

呼吸するときにも、運動系脳番地がたくさん使われます。

ヨガ、マインドフルネス、武道、禅など様々な分野で独自の呼吸法がありますが、脳の働きを良くするのに効果的なのは「ゆっくりとした呼吸」です。

〈頭を良くする呼吸法〉

  1. 鼻から息を吸って、下腹を膨らませる(1〜2秒)
  2. ゆっくり口から息を吐く(15〜20秒)

この呼吸をすると、脳内に新鮮な血液が流れ込み、神経細胞の活動に必要な酸素が充分に行き渡るので、脳の効率が上がります。

脳内の酸素が足りなくなると前頭葉の働きが弱り、思考や感情が乱れてイライラしたり不安になったりします。そんなときにもこの呼吸法が効果的です。

ここがポイント
◎同じ脳番地を使い続けると頭の働きがわるくなる。1時間に1回は「運動系脳番地シフト」をしよう!

正しい休憩をする

脳を激しく使ったあとは

これも脳番地シフトの一種なのですが、集中的に脳を使ったあとはしばらく脳を休ませることが大事です。脳は長時間継続して働くと、いろいろな情報がごちゃごちゃしてきますので、少し休んで整理させてあげるのです。

といっても、ただダラダラするのとは少し違います。

仕事と仕事の間に昼寝をしたら頭がスッキリした、という経験はありませんか? 大切なのは、その「スッキリした」というところ。脳覚醒度が高く、継続的に頭を使ってもスッキリしているならば休憩する必要はありません。

休んだあとに頭が冴えて「さあ、次行くぞ!」と意欲的な状態になっている ── これが「脳を休ませる」の本当の意味です。

ゲームは脳の休憩にならない

休憩のつもりで携帯ゲームを始めたら止まらなくなって、逆に疲れてしまうという失敗を多くの人がしています。

なぜなら、ゲームで使う脳番地とデスクワークで使う脳番地にはほとんど違いがなく、脳番地シフトになっていないからです。

さらに、ゲームから視覚・聴覚情報が脳にどんどん入ってくるため、脳はその処理に追われてちっとも休むことができません。

また、ゲームによって気分が興奮すると「頭に血が上った」状態に。そのとき脳では実際に血流が過剰になっていて、神経細胞が正常に働いていません。

これでは頭が良くなるどころか、逆にわるくなってしまいます。

集中と弛緩のメリハリが大事

休憩中にゲームをするくらいなら、何もしないでボーッとしている方がいいのです。

何もしないでぼんやりしているつもりでも、脳は決して止まってはいません。パソコンのバックグラウンド・ジョブのように、脳の深いところで記憶と感情の整理がおこなわれています。

会議が終わってからしばらく経って、ふとした拍子に会議中の誰かの発言を思い出すことがあるでしょう。そうやって「記憶を反復する」ということを、脳が自動的にしているんです。

脳の覚醒度が高く、非常に集中して仕事や勉強をする人は、その間にある程度ボーッとする時間を入れてあげると記憶の定着率が上がります。20分間集中して勉強するなど、覚醒のピークを高く持っていく習慣を持つと、ボーッとする感覚も摑みやすいでしょう。

ただし注意点がひとつ。覚醒度が低く、いつもぼんやりしている人がさらにボーッとしてしまうと、頭がもっとわるくなります!

そういう人はむしろ体を動かして、脳を目覚めさせてください。先に述べた通り、「頭をスッキリさせる」ことが頭を良くする休憩の意義なのですから。

ここがポイント
◎ごちゃついた頭をクリアにするのが休憩の目的。「ボーッとする」という休み方は、集中のピークが高い人におすすめ。
頭が良くなっていく人のすごい習慣
加藤俊徳
脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社脳の学校代表。昭和大学客員教授。脳科学・MRI脳画像診断の専門家。脳番地トレーニング、脳科学音読法の提唱者。14歳のときに「脳を鍛える方法」を求めて医学部への進学を決意。1991年に、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI脳画像の研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。独自開発した加藤式MRI脳画像診断法を用いて、小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。脳の成長段階、強み弱みの脳番地を診断し、脳番地トレーニング処方や進路・適職指導を行う。
著書に『ADHDコンプレックスのための“脳番地トレーニング”』(大和出版)、『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)、『一生頭がよくなり続けるすごい脳の使い方』(サンマーク出版)など多数。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます。
ZUU online library
※画像をクリックするとZUU online libraryに飛びます。