本記事は、加藤俊徳氏の著書『頭が良くなっていく人のすごい習慣』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

生活リズム
(画像=vetre / stock.adobe.com)

頭をわるくする脳の使い方

概日リズムに逆らうと脳が不健康になる

地球上の生き物は体内時計を持っていて、地球の自転周期に同調することで生命を維持しています。われわれ人間も例外ではありません。脳の中に「時計遺伝子」という遺伝子群があり、1日24時間の概日リズム(サーカディアンリズム)が組み込まれています。

太陽が昇れば起きて太陽が沈めば眠る、というのが本来もっとも自然で健康な生き方なのです。

時間経過の感覚は記憶系脳番地を強く刺激します。

ですから、昼夜逆転など概日リズムを狂わせる生活を長く続けると記憶力が落ち、集中力の低下にもつながります。

本来の概日リズムと実際の生活リズムとのズレ幅が大きくなればなるほど、元に戻すのがしんどくなります。

海外との時差の関係上どうしても夜中に会議が重なるとか、夜勤のある職業に就いている場合は、夜勤明けに2時間前後をめどに睡眠をとる・日中は起きている・夜はいつもと同じ時刻に就寝する、という3つの習慣によって概日リズムを取り戻しましょう。

最大の敵は睡眠不足!

概日リズムを狂わせる最大の要因が夜更かしです。

2017年に「睡眠負債」という言葉が新語・流行語大賞の上位に選ばれたことからも、現代人にとっては寝不足が当たり前のようになっていると思われます。

いくつかの国際データによると、先進国のうちで日本がもっとも睡眠時間が短く、特に中年女性の睡眠時間が世界一短いという結果が出ています。

睡眠の長さだけでなく、深さも同じくらい重要です。

睡眠には、深い眠りに導かれる「ノンレム睡眠」と浅い眠りである「レム睡眠」の2種類があり、一晩のうちに何度か交互に繰り返されて、睡眠リズムを刻んでいます。

脳はこのリズムにのっとって、日中に経験した出来事や感情を整理し、ノンレム睡眠の深睡眠期には、1ヘルツの脳波となる徐波がおこり、記憶が定着しやすい時間を作ります。

睡眠リズムが狂うと、不安や怒り、不快な出来事などの不要な情報が取り除かれずに残ってしまい、記憶力が低下するだけでなく、心身にも悪影響を及ぼします。

寝つきがわるい、ひんぱんに悪夢を見る、睡眠中に呼吸が止まる、夜中に何度も目が覚める、夜間に咳き込みがある、日中ひどい眠気に襲われる、などはすべて睡眠障害です。

こうした症状があるときは、睡眠不足で頭がわるくなりかけているサインだと思って間違いありません。そのままに放置せず、専門医を受診してください。

ここがポイント
◎太陽とともに起きて寝るのが脳本来の自然なリズム。
◎日中に眠くなるようなライフスタイルは頭をわるくする。
頭が良くなっていく人のすごい習慣
加藤俊徳
脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社脳の学校代表。昭和大学客員教授。脳科学・MRI脳画像診断の専門家。脳番地トレーニング、脳科学音読法の提唱者。14歳のときに「脳を鍛える方法」を求めて医学部への進学を決意。1991年に、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI脳画像の研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。独自開発した加藤式MRI脳画像診断法を用いて、小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。脳の成長段階、強み弱みの脳番地を診断し、脳番地トレーニング処方や進路・適職指導を行う。
著書に『ADHDコンプレックスのための“脳番地トレーニング”』(大和出版)、『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)、『一生頭がよくなり続けるすごい脳の使い方』(サンマーク出版)など多数。

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