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アジア銘柄の特徴

元々内需中心のビジネスモデルを、中国を始めとする新興国へ輸出、あるいは現地生産でシェアを伸ばす企業を、「外需ディフェンシブ」銘柄と総称し、従来の輸出型企業とは区別する。
(ディフェンシブ銘柄とは、本来、景気変動に影響されにくい、食料品、日用品や電気・ガス、電鉄企業を指す。)

中国では、当局が中期的成長のさらなる持続化のために経済の軌道修正を模索する中、信用と表面化した影の銀行問題を押さえ込もうとして成長が減速した。インドでは、インフラ未整備と構造改革の遅れが産業・投資の桎梏となり、経済のブレーキという形で表れている。総人口の多い中国・インドとも、当面は横ばい傾向が続くと予想されているものの、長期的には乳幼児人口が減少している。

米連邦準備制度による金融緩和縮小のタイミングが早まるかもしれないとの観測がきっかけで、インドやインドネシアなどの新興国から資金を引き揚げる動きが加速した。急激な資金流出はアジアの脆弱性を露呈しかねないが、『ADOU 2013』は、大半のアジア途上国は磐石な経常黒字と、外貨準備を豊富に抱えており、危機再燃を危惧するにはあたらないと指摘。資金流出入の変動要因の存在により、アジア経済においては、金融動向を注意深く見守る必要性が浮き彫りになっている。アベノミクスの円相場動向も要注目である。


アジア関連銘柄

魅力①: 外需ディフェンシブ
アジア銘柄には、元々内需中心のビジネスモデルを、中国を始めとする新興国へ輸出、あるいは現地生産でシェアを伸ばす形での進出が多い。内需代替ではなく外需拡大であるため、生産体制を調整することで、円相場の変動に対しても、ある程度の柔軟性を持てる可能性が高い。

魅力②:ブランド力
アジア銘柄は、日本製品であることそれ自体について、安全性や高級感といったプラスイメージのブランド力を持っている。この点を戦略的に活用することで、現地製品との単純な価格競争に早期に巻き込まれるリスクを減らし、無理のない事業体制で進出できる条件となる。

魅力③:中所得者向け需要
中国市場に積極的にアプローチする企業が増えている。これまで高機能・高価格帯の製品に力を入れてきた日本企業も、中所得者層向け製品の開発を進めるなど巨大な需要の取り込みに注力し始め、新興国市場での販売が収益の柱に成長した企業も出始めている。成長力も兼ね備えた銘柄と言える。


アジア銘柄のリスク

領域主権をめぐる国際関係が不安要因となり得る。日中関係においては尖閣諸島、中比関係においては南沙諸島において、緊張関係が高まっている。推移によっては、輸出入・現地生産・販売に支障をきたすリスクがある。日本叩きを続ける韓国の朴政権の動向も要注意である。


ベビー用品関連銘柄

紙おむつや子供服など、子どもの「衣・食・住」に関連する各産業。中国における市場規模は、2011年の1兆1,500億元から15年には2兆元に達するとされる(2012年11月、JETRO)。国内外の有力企業がベビー・子供用品市場での競争に加わる。
「日本企業にとって鍵となるのは、地域ごとの需要を把握したきめ細やかなマーケティングだろう」とJETRO。

①花王<4452>
トイレタリー国内首位、化粧品でも大手。原料からの一貫生産。独自の物流・販社システムを所有。

②ユニ・チャーム<8113>
生理用品、幼児用、大人用紙おむつでトップ。ペットケア用品も首位級。アジア、中東に展開

③ピジョン<7956>
育児用品で国内トップ。ほ乳瓶発祥、小物に強い。介護製品も手掛ける。海外は中国に傾斜。


衣料品関連銘柄

洋服や肌着など、人が身につける衣類の売り場や業界での呼称。日本の生産工程は、アパレル(衣料品、ファッション商品)のモノ作りは、アパレルメーカー(卸)と縫製メーカー(縫製工場)に分断されているのが一般的。

①良品計画<7453>
西友の事業部が独立、「無印良品」の企画、卸売り、小売り。アジア、欧米など海外でも展開

②ファーストリテイリング<9983>
世界4位のSPA大手。「ユニクロ」を世界展開。「ジーユー」「セオリー」も。M&Aを虎視眈々


食料品関連銘柄

狭義には、肉類や野菜類、果実類など主食品以外の食べ物品目、または調理前の食品を指すこともある。食費は体力維持の関係から極端な節約が困難とされるため、家計の消費支出に占める飲食物の割合を示すエンゲル係数の高低は、生活水準を表す指標(係数が低い方が豊か)とされる。但し、価格体系や生活慣習の異なる社会集団の比較には限界がある。近年は付加価値として安全性に注目が高まっている。

①ヤクルト本社<2267>
乳酸生菌飲料1位。女性訪問販売員による強固な販売網。医薬品も。海外で営業益の約5割稼ぐ。

②味の素<2802>
調味料国内最大手。アミノ酸技術で医薬、飼料等多角化。海外で家庭用食品拡大。M&A意欲的。

③カルビー<2229>
スナック菓子最大手。09年に米国ペプシコと資本提携。北米、中国でも展開。シリアル製品も扱う。