コンサルティング事業銘柄の特徴
安定的に継続が見込まれるところがキーポイント
IDC japan発表おビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)およびビジネスコンサルティングから構成される「国内ビジネスサービス市場」予測によると、2013年の同市場規模は前年比4.7%増の8,と975億円になり、3年連続のプラス成長になる見込みである。今後についても、年率2.4%程度に拡大していく見通しであり、市場は継続的に成長していくと予測されている。
一方、全世界のコンサルティングの市場規模を見ると、およそ10~20兆円と大きく、そのうち約半分が米国の市場規模となっている。日本のGDPの規模が、米国のおよそ1/3であることを考えると、日本のコンサルティングの市場はまだまだ小さいといえる。コンサルティング会社は、マッキンゼーアンドカンパニー、ボストンコンサルティンググループ、ベインアンドカンパニーなど外資系の会社が多く、多くの会社は非上場である。しかし、船井総合研究所、タナベ経営など日本発の独立系の会社で上場している企業も存在する。
コンサルティング事業関連銘柄
魅力①:安定的成長
コンサルティング会社の取り扱うテーマは、経営戦略、人材戦略、業務革新といったベーシックな領域から、グローバル戦略、経営統合など喫緊のテーマまで多岐にわたっていて、クライアントの経営状況に合わせて事業を展開している。そのため、会計制度が変更になるといったテーマがあれば、そのテーマを取り扱うし、国内の景気が後退している局面ではリストラなどといったテーマを取り扱う。クライアントの経営状況で何も問題がないということは起こりにくいため、コンサルティング会社は常に何かしらのテーマを取り扱い、安定的に成長していくことができる。
魅力②:産業競争力強化法案魅力3:グローバル化
現在、政府によって検討されている産業競争力強化法案という法案がある。この法案はどの業種のどの企業の生産性が低いのか、あるいはどの企業が過剰な生産設備を保有しているのか政府が査定し、合理化の進め方を政府主導で決定していく法案である。
政府主導で進めるとの報道ではあるが、実際政府がこの業務を行うわけではなく、大部分はコンサルティング会社のサポートのもと行われることが推測される。そのため、業界全体が潤う可能性が高い。
魅力③:グローバル化
国内マーケットが拡大していかないため、大企業中小企業問わずグローバルマーケットへの進出がひとつのテーマとなっている。しかし、各社だけの力で海外に進出することが難しいため、コンサルティング会社がサポートすることになる。そのため、特に海外に強いコンサルティング会社が優位に案件を取得することができる。
コンサルティング事業銘柄のリスク
コンサルティング業界も、他業界と同様、リーマンショックや震災などの多くの銘柄と共通のリスクを持つ。また、労働集約型のビジネスのため、2つの固有リスクがある。1つは大きく利益が向上し、大化けする可能性が少ない点、もうひとつは労働集約ゆえ、人材の質が大きく経営を左右することである。人材の流動化が高まり、各社から優秀な人材が流出すると経営状況は一気に悪くなるであろう。
業務・IT系関連銘柄
業務・ITとはコンサルティングサービスの区分のひとつである。主にシステムの更新・導入を中心としたサービスを業務変革とともに行う。たとえば、消費税変更のシステム対応、国際会計基準の準拠への対応など政府の方針によりさまざまなテーマが発生する。
①野村総合研究所<4307>
野村証券系のシステムコンサルティング会社。金融機関と流通業を中心としたサービス。一貫したサービス体制。
②フューチャーアーキテクト<4722>
情報システムのコンサルティン会社。佐川急便グループ(SGH)と資本提携している。金融機関など多くのクライアントを持つ。
③iSiD<4812>
電通の子会社。親会社の社内システム構築が安定収益源となっている。製造向け設計開発支援、金融向けに強み。
④NTTデータ<5915>
システムインテグレーター専業で最大手の会社。省庁、金融機関向け大型システム受託に強み
戦略系関連銘柄
企業の全社戦略、グローバル戦略、M&Aや事業売却などのサポートなど、企業経営のトップレベルに関わるコンサルティングを中心に行う会社。経営全般を取り扱い、少数精鋭の会社が多い。特に外資系の非上場企業が多く、日本の上場企業は少ない。常に経営の最先端事例を取り扱うため、安定的に案件がある。
①ドリームインキュベーター<4310>
数少ない日本発の戦略中心のコンサルティング会社ベンチャービジネス投資・育成、企業コンサルが収益源。リターン追求型の純投資抑制し、保険など事業投資に軸足を変更しつつある。
日本独立系関連銘柄
①船井総合研究所<9757>
住宅・不動産業界などに強い経営コンサルティング大手。書籍出版事業やベンチャー投資からは撤退
②タナベ経営<9644>
法人向けセールスプロモーションとコンサルティング事業が2本柱の経営コンサルティング大手。配当性向6割の方針である。
③エル・シー・エーホールディングス<1884>
現在経営再建中のコンサル会社。運営していた事業を撤退し、別事業への転換を図っている。