再生可能エネルギー銘柄の特徴
2014年5月23日に 電気事業連合会が発表した調査によると,電源別発電電力量構成比は、原子力の割合が1%まで減少した一方,火力割合が88.3%と過去最高になっており,水力と地熱及び新エネルギーの割合は10.7%に留まっている。
現在、再生可能エネルギーとして運用および実証試験が行われているものには「太陽光発電」「水力発電」「風力発電」「海洋温度差発電」「地熱発電」「波力発電」「バイオマス発電」などがある。資源エネルギー庁は2030年度の再生可能エネルギーにおける水力発電の比率を約50%、太陽光発電を27%、その他を23%と推定している。
今後、再生可能エネルギーの比率を飛躍的に高める必要に迫られているが、コストパフォーマンスに優れたエネルギーを得るためには大胆なブレークスルー技術開発が待たれるとともに政府による規制緩和策も重要である。日本の化石エネルギーの依存度は、原子力や風力、太陽光等の導入を積極的に進めているフランスやドイツ等の世界の主要国と比較すると、かなり高い。
再生可能エネルギー関連銘柄
魅力①: 地球温暖化の抑制
「国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change))」が2013年9月27日に公表した報告書で、「世界各地で相次いでいる干ばつや猛暑、豪雨、竜巻などは地球温暖化がもたらす異変だ」と警鐘を鳴らしており、その気温上昇の原因は石炭や石油といった化石燃料の利用などであるとしている。このことからも化石エネルギーから再生可能エネルギーへの一刻も早い転換が望まれている。
魅力②: 理想エネルギー
再生可能エネルギーは、「エネルギー源として永続的に利用することができると認められるもの」であり、「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「太陽熱」「大気中の熱」「その他の自然界に存在する熱」「バイオマス」が規定されている。
そして、再生可能エネルギーは、資源が枯渇せず繰り返し使え、発電時や熱利用時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素をほとんど排出しない優れたエネルギーであり、いわば理想エネルギーである。
魅力③:日本の強み発揮
火山国である日本の強みを生かした地熱発電に世界の注目が集まっているし、四方を海に囲まれた日本は波エネルギーの豊かな国でもある。加えて、地域主導で様々なバイオマス発電を開発できる豊富な人材と高度な技術を有している。このように、日本は「地域特性を活かした再生可能エネルギー重視施策」が展開可能である。すなわち、現状の化石燃料を使った電力会社による発電・供給の単一ビジネスモデルに対し、環境にやさしく持続可能な再生可能エネルギーによる発電・供給事業は多様なビジネスモデルとなるので、地域、国内産業および国民が元気になる源泉となるものである。
再生可能エネルギー銘柄のリスク
再生可能エネルギーの普及拡大を図るためには、高度な技術革新とともに政府・省庁等の大胆な規制緩和処置や「固定価格買取制度」を含めたエネルギー政策の抜本見直しとトータルシステム (スマートグリッド、スマートシティ等)設計が必要である。また、技術のブレークスルーを行うための実証実験に必要な予算処置は、民間企業任せではなく、政府が主導して積極的に多面的・多角的に支援する必要がある。
太陽光発電関連銘柄
太陽光発電は、太陽の光エネルギーを太陽電池(半導体素子)により直接電気に変換する発電方法です。2012 年7 月開始の「固定価格買取制度」の効果により、非住宅分野での導入が急拡大しており、太陽電池の国内出荷量も急増している。しかし、太陽光発電には天候や日照条件等により出力が左右される課題があるため、例えば蓄電池との組合せによる出力安定化等の対策が考えられている。
①京セラ<6971>
お客様満足のために、全員参加のアメーバ経営を推進し、現場力と実現力を高めている。素材から部品、完成品、さらにはサービスにいたるまで多岐にわたる事業をグローバル展開している。
②パナソニック<6752>
ハードウェア単品だけでなく、ソフト、サービスを含めたトータルソリューションを提供。2013年度は、「純利益500億円以上、フリーキャッシュフロー2,000億円以上」を目指している。
③シャープ<6753>
「新生シャープ」の実現を図るため、「中期経営計画」を策定。初年度にあたる2013年度を「構造改革ステージ」、次の2014年度、2015年度を「再成長ステージ」と位置付け、その実現をめざしている。
④東芝<6502>
経営スピードを高め、東芝グループが持つ技術力、商品開発力、モノづくり力を最大限に引き出す攻めの経営を通じて、さらなる成長を実現する。そのために、エネルギーとストレージ分野をさらに伸長。
⑤三菱電機<6503>
「成長性」「収益性・効率性」「健全性」の3つの視点による「バランス経営」を推進し、強固な経営体質構築と持続可能な成長の実現を目指している。
⑥カネカ<4118>
衣・食・住・医にわたる幅広い分野で事業活動を行っているが、とくに「環境・エネルギー」「情報通信」「健康」「食料生産支援」を重点戦略分野と位置付け、経営資源を重点投下している。
小水力発電関連銘柄
再生可能エネルギーとして太陽光発電や風力発電が脚光を浴びているが、近年、発電出力が数十~数千キロワットの比較的小規模な小水力発電が注目され始めている。理由は、水力発電は開発・運用・廃棄までのライフサイクル全体にわたりCO2排出量が最も少ないエネルギーであり、昼夜、年間を通して安定した電力が得られ、かつ太陽光発電や風力発電より発電効率が優れたエネルギー源だからである。
①クボタ<6326>
畑作用大型農機製品のラインナップ強化、アジアでの水・環境事業の加速展開など、製造・販売・開発・経営管理・人事等のグローバル経営への転換を促進している。
②日本工営<1954>
社会基盤整備に関わる建設コンサルティングや電力流通設備・水力発電に関わるエンジニアリング、さらに近年高まりを見せる環境対策やCO2削減で脚光を浴びる都市交通システム事業へ参画。
③シンフォニアテクノロジー<6507>
中期経営計画で、「経済の構造変化やCO2抑制に向けた動きに、スピーディに変化・適応し、環境・エコロジー分野での事業創出と中国等アジア新興国でグローバルな成長を遂げる」を掲げている。
風力発電関連銘柄
風力発電は、風の運動エネルギーを風車(風力タービン)により回転力に変換し、歯車(増速機)などで増速した後、
発電機により電気エネルギーに変換する発電方式です。風向や風速が絶えず変化するためにナセル(風車上部にある機械の収納ケース)の方向や、出力をコンピュータ制御する機能が必要。
日本には2012年3月末現在約2,555千kW、台数にして1,870基(NEDO調べ)の風車が設置されている。
①日本風力開発<2766>
風力エネルギー資源の発掘から、経済性の高い風力発電所の建設、そして効率的な運営まで総合的に取り組む。エネルギービジネスのソリューションパートナーとして、さらに新しいステージを目指している。
②三菱重工業<7011>
三菱重工グループとしてのより大きなシナジーを発揮するため、700の製品をエネルギー・環境、機械・設備システム、交通・輸送、防衛・宇宙の4つのドメインに再編し、マネジメント体制の再構築を実施。
③日立製作所<6501>
最先端のITを活用してプロダクトとサービスとを組み合わせ、世界各地の課題に的確に対応し、持続可能な社会を実現するソリューションをグローバルに提供。
④日本製鋼所<5631>
既存分野にとどまらず、新エネルギー・自然エネルギー・新素材・光・電子などの先端技術の開発や、情報通信など「素材とメカトロニクス総合企業」として、環境関連事業などの新分野にも進出。
⑤三井造船<7003>
「事業領域の変革」と「ビジネスモデルの変革」に取り組む。 「事業領域の変革」については、既存中核事業の質的転換と海洋開発・環境エネルギーの成長市場での事業拡大、グローバル化を目指す。
海洋温度差発電関連銘柄
海洋温度差発電は、表層水と深層水の20度以上の温度差を利用し、昼間/夜間を通じて安定した発電を行うことが可能。さらに大きな特徴として「深層水の漁業への二次利用等が考えられ、地域産業の活性化など、発電だけの他の新エネルギーと違い複合施設の利用全体で採算性を考えることが可能である。実用実証プラントが久米島で動き出しており、横河電機、IHIプラント建設、ゼネシスの共同企業体が建設・運営している。
①IHI<7013>
「資源・エネルギー・環境」「社会基盤・海洋」「産業システム・汎用機械」「航空・宇宙・防衛」の4つの事業領域に区分。三現主義(現場・現物・現実)による品質と生産性向上への不断の取り組みを実践。
②横河電機<6481>
計測と制御による顧客の課題解決型のソリューションビジネスを提供するGlobal Solutions and Service Companyとして制御事業の成長戦略を展開。
波力発電関連銘柄
波力発電は、1970年代より盛んに研究、開発が行なわれてきた。波力発電装置には、沿岸固定式と沖合浮体式があり、発電方式には、エアタービン方式と浮体運動方式がある。「沿岸固定式+エアタービン方式」の代表としては、防波堤組込型波力発電装置があり、「沖合浮体式+浮体運動方式」の代表には、ブイ型波力発電装置がある。
①三井造船<7003>
「事業領域の変革」と「ビジネスモデルの変革」に取り組む。 「事業領域の変革」については、既存中核事業の質的転換と海洋開発・環境エネルギーの成長市場での事業拡大、グローバル化を目指す。
②三菱重工業<7011>
三菱重工グループとしてのより大きなシナジーを発揮するため、700の製品をエネルギー・環境、機械・設備システム、交通・輸送、防衛・宇宙の4つのドメインに再編し、マネジメント体制の再構築を実施。
潮流発電関連銘柄
潮流エネルギーは世界中に広く分布しており、気象や天候の影響を比較的受けにくく、発電量が安定していることから、その実用化が有望視されている。潮流発電装置は海中に設置されるため多くの形式が提案されており、実海域で実証実験中のものもある。しかし日本における潮流発電の研究・開発は、欧米から約10年ほど遅れていると言われている。
①川崎重工業<7012>
陸・海・空の輸送システム、エネルギー環境、産業機器の3つの事業分野を中心に、高度な技術を活用した製品・サービスと、これらを組み合わせたシステムを提供。
地熱発電 (1/2)関連銘柄
火山や温泉がある地熱地帯では、深さ数キロメートルの断層に1,000℃前後のマグマ溜りがあります。このマグマ溜まり付近まで浸透した雨水などの地下水は加熱されて高温・高圧の地熱貯留層を形成している。この熱水をエネルギー源とするのが地熱発電である。地熱発電は地球内部で発生する自然エネルギーを利用しているため、CO2の排出が少なく、また、地球内部の熱エネルギーは膨大かつ無尽蔵で枯渇する心配がほぼない。さらに、太陽光発電や風力発電と比べ、天候に左右されることがなく、火力発電とほぼ同等の高い稼働率が得られる。
①三菱重工業<7011>
三菱重工グループとしてのより大きなシナジーを発揮するため、700の製品をエネルギー・環境、機械・設備システム、交通・輸送、防衛・宇宙の4つのドメインに再編し、マネジメント体制の再構築を実施。
②日鉄鉱業<1515>
地下資源開発によって日本の基幹産業への原料供給に寄与。今日では国内外で鉱山開発を手掛ける総合資源会社に発展。さらに、環境関連商品を中心としてグループ総合力を発揮していく。
③国際石油開発帝石<1605>
石油・天然ガスの探鉱・開発・生産を積極的に推進し、エネルギーの安定的かつ効率的な供給の実現に貢献し、埋蔵量と生産量の中長期的な維持・拡大に取り組んでいる。
④石油資源開発<1662>
「探鉱開発による埋蔵量の拡充」「天然ガス一貫操業システムの強化」「技術研究開発及び地球環境問題への取り組み」の3つの重点経営課題を堅持し、国内外における効率的な探鉱開発に取り組む。
⑤大林組<1802>
建築、土木、開発の基幹分野のさらなる成長に加え、「海外へのさらなる戦略的展開」「ビジネス・イノベーション分野の発掘・育成」「利益を創出する技術への進化」を推進。
⑥王子 HD<3861>
中国や東南アジア、南米を中心として海外での事業展開を積極的に推進する一方、国内においては生産体制再構築と徹底したコストダウンによる国際競争力強化と事業構造転換を推し進めている。
⑦新日本科学<2395>
従業員数約2,000名を有する国内最大規模の医薬品開発受託機関。
2012年11月「メディポリス指宿」の敷地内において地熱発電事業の開始を発表。
⑧出光興産<5019>
「日本のエネルギー・セキュリティーへの貢献」「アジア諸国の経済発展への貢献」「出光の独自技術を活かした環境調和型社会への貢献」を第4次中期経営計画の主なテーマとして掲げている。
⑨JFE<5411>
革新的な技術開発、画期的な新商品のスピーディー開発を推進。需要拡大が見込まれる環境・エネルギー分野で、常に世界最先端・最高水準の技術・商品を提供できるサプライヤーを目指している。
地熱発電(2/2)関連銘柄
①三菱マテリアル<5711>
重要な成長戦略である「海外市場、特に新興国市場への展開」として、インド、タイなどアジアでの新規ビジネスを展開。また、ビジネスインフラを活用した環境リサイクル事業にも積極的に取組んでいる。
②鉱研工業<6297>
ボーリングマシンのトップメーカー。海外重要な成長戦略である「海外市場、特に新興国市場への展開」として、インド、タイなどアジアでの新規ビジネスを展開。また、ビジネスインフラを活用した環境リサイクル事業にも積極的に取組んでいる。
における地下資源、水資源の開発並びに社会基盤整備のための建設工事にも積極的に取り組んでおり、今後もグローバル展開を進めていく。
③東芝<6502>
経営スピードを高め、東芝グループが持つ技術力、商品開発力、モノづくり力を最大限に引き出す攻めの経営を通じて、さらなる成長を実現する。そのために、エネルギーとストレージ分野をさらに伸長。
④住友商事<8053>
グループの強みである「総合力」の重要性が一層高まっているため、従来の枠組みにとらわれることなく、社内外の強み・機能を結集して、新たな価値の創造に取り組んでいく。
バイオマス発電関連銘柄
バイオマス発電は、バイオマス(廃棄物系/栽培作物系(生物資源))を燃料にして水を熱し、発生した水蒸気でタービンを回して発電する方式である。技術開発が進んだ現在では、様々なバイオマスが活用されており、発電した後の排熱も、周辺地域の暖房や温水として有効活用できる。また、バイオマス発電は、燃やしてもCO2の増減に影響を与えない「カーボンニュートラル」という発想でつくられている。
①旭化成<3407>
「健康で快適な生活」「環境との共生」視点で事業推進し、「グローバルリーディング事業展開」と「新しい社会価値の創出」で成長する。
②東京ガス<9531>
安全性、供給安定性、経済性、環境性を兼ね備えた天然ガスの普及・拡大に努めており、ガス田からお客さまに至る「LNGバリューチェーン」を高度化。海藻燃料ガス発電に取り組んでいる。
③住友林業<1911>
「再生可能で人と地球にやさしい自然素材である『木』を活かし、『住生活』に関するあらゆるサービスを通じて、豊かな社会の実現に貢献する」ことを経営理念に掲げている。
④中外炉工業 <1964>
エネルギーをより効率的に使うサーモテック分野で独創技術を生み出してきた。いまや環境問題は世界中の関心事のため、このサーモテック技術を産業界だけでなく、一般家庭にも広く展開していく。
⑤タクマ<6013>
再生可能エネルギーの活用と環境保全分野を中心にリーディングカンパニーとして社会に必須の存在であり続け、2020年度に経常利益100億円を目指す。
⑥住友重機械工業<6302>
2013年度は停滞を脱却して新たなスタートを切る反転の年と位置付け、海外拠点の収益改善、重機械系事業の構造改革等を推進。
⑦月島機械<6332>
プラント/上下水道/環境保全設備等の設計・製造技術をより進化させるとともに、「環境・エネルギー」技術の研鑽を継続。
⑧酉島製作所<6363>
1919年創業のポンプのパイオニア会社。環境に調和したエコソリューション(製品・技術・サービス)を提供。
⑨日立造船<7004>
「グリーンエネルギー」および「社会インフラ整備と防災」を事業ドメインとし、2016年度に売上高5,000億円、営業利益率6%が目標。
⑩ファーストエスコ<9514>
ESCO(Energy Service Company)事業という総合エネルギーサービスを通じてカーボンマネジメントによる低炭素社会実現を目指している。