創業社長銘柄の特徴
キーポイントは、今後の創業社長銘柄の増加が見込まれる点である。
創業社長銘柄とは企業創業時の社長がそのまま経営を継続している企業である。似たような形態に同族企業があるが、創業した人間がそのまま経営しいている創業社長銘柄に対し、同族銘柄は創業者の子息や親族などが経営にあたっているケースが多い。
現在は、創業から非常に早く上場できる環境が整っており、今後も急成長企業が創業社長のまま上場するケースが増加してくる可能性がある。なお、リブセンスが2006年創業、2012年上場となっている。
創業社長の類似である同属企業は非常に強く、S&Pのうち35%は同族企業が占めている。
創業社長関連銘柄
魅力①:迅速な意思決定
創業社長銘柄の魅力のひとつは、創業社長が大株主であることが多いことから、経営の意思決定を独断で行うこともできる点である。独断というと言葉は悪いが、環境変化に合わせた迅速な意思決定が可能と言い換えることができる。昨今、リーマンショックによる経済後退やアべノミクスによる景気浮揚などの局面にも迅速に対処することができる。
魅力②:長期安定志向
ハーバード大のダニーミラーの研究によると、創業家が何らかの形で経営に絡む同族企業は一般企業に対して、数々の指標において上回っていることが実証されている。特に売上増加率や資産収益率などである。これは、企業が長期的に安定することを第一に考えて経営をした結果である。雇われた社長では、契約任期以上の長期での展望は描きにくく、長期安定は創業社長の大きなアドバンテージとなっている
魅力③:上場基準の緩和
政府は、規制改革会議の創業に関する作業部会で、上場基準の緩和などで成長企業が資金調達しやすくする思索を検討した。最低株主数の引き下げや、提出財務諸表を数年間分引き下げるなど、新興企業を後押しする仕組みである。これらの施策により、新興企業が上場しやすくなり、今後創業社長が上場する事例がより増えていくことが推測される。
創業社長銘柄のリスク
創業社長特有のリスクは、独断経営のため経営者自身が視野狭窄になること、経営者後退時に求心力が低下し、業績が大きく停滞する可能性があること、経営者後退そのものが株価の引き下げ要因となることなどが挙げられる。特に、経営者自身の動向に注意を払う必要がある銘柄といえる。
IT系関連銘柄
IT系の創業社長銘柄は多数の銘柄がある。比較的、企業の成長速度が速い業界であるがゆえ、上場までの時間が短い。創業から6年でIPOしたリブセンスなどの銘柄もある。しかし、経営するにあたり、多額の資本を必要としないサービスも多く、上場の意義を問われたり、上場後に株価が急落するケースも目立った。
①楽天<4755>
社長は三木谷浩史氏。ネット通販の最大手。銀行、証券から旅行など総合的に拡大。海外、電子書籍などへも先行投資。
②グリー<3632>
社長は田中 良和氏。携帯向けゲーム「GREE」運営。近年、海外への拡大路線を見直し中である。
③サイバーエージェント<4751>
ネット広告代理業で創業し、現在はの主力はスマホに特化したコミュニティ、ゲームサイト「アメーバ」。投資なども手がける。
小売飲食関連銘柄
小売、飲食関連銘柄にも創業社長銘柄が存在する。しかし、ITなどと比べると上場までに時間がかかる場合が多く、ユニクロの柳井家のように創業家として経営をしている場合もある。小売、飲食系の銘柄における創業社長の意味は、中長期を見据えた投資判断ができるという点である。比較的、借り入れや設備が必要となる業態のため、中長期での戦略が重要となる。
①ワタミ<7522>
居酒屋「和民」等を内外で展開しているが、有料老人ホーム、宅配弁当なども収益の柱となっている。昨今まで創業社長であったが、創業者・渡邉氏は取締役を辞任した
②ニトリホールディングス<9843>
社長は似鳥昭雄氏。家具・インテリア製造小売りチェーンで全国トップ。自社工場を海外に保有している。開発輸入品が8割。
③ドンキホーテ<7532>
社長は安田 隆夫氏。深夜まで営業の総合ディスカウント店を首都圏中心に全国展開。独特の店内陳列で人気。
産業関連銘柄
日本電産<6594>
社長は永守 重信氏。 M&Aに積極的であり、様々な企業を買収し、永守流に再生させている。HDD用など精密小型モーターは世界首位。