トルコリラ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「リラ相場は小康も最安値圏。今週は消費者物価」トルコリラ見通し

(通貨最下位、株価3位)

予想レンジ トルコリラ/円4.7-5.7

(ポイント)
*日足が下げ止まった。7月24日週の週足は6週ぶり陽線
*新しい経済チーム発足後の激しい動きは続く
*政策金利は17.25%でもマイナスの実質金利
*今週は消費者物価と製造業PMIの発表
*IMFは23年の成長見通しを小幅引き上げ
*中銀総裁、副総裁はみなアメリカ帰り
*エルドアン大統領、中東湾岸3カ国歴訪
*依然リラ安放置。相場は市場に任せる。介入せず
*長期金利、株価の急激な動きも放置
*今年のインフレ見通しは58%
*エルドアン大統領はEUに加盟したい
*付加価値税を2%引き上げ
*新財務大臣は合理的な政策に変わると主張、経常収支改善も目標
*ゴールドマン・サックスは、リラが1年後に1ドル=28リラまで下落と予想
*今年は建国100周年

(日足が下げ止まっている)
 日足が下げ止まっている。5日線が上向きとなっている。20日線は下向きだが、その20日線に近づきつつある。対ドルでも1ドル27リラ近辺でなんとか持ちこたえている。7月24日週の週足は6週ぶり陽線となった。

(新しい経済チーム発足後の激しい動きは続く)
新しい経済チーム発足後の市場の激しい動きは続いている。発足後のリラは対円で25.14%安、対ドルで35.08%安、株価(イスタンブール100)は7216.96で57.55%高、10年国債金利は9.04%から18.985%へ上昇している。


(政策金利は17.25%でもマイナスの実質金利)
 インフレが39%で政策金利は17.25%のマイナスの実質金利、リラ安、外貨預金には政府の制限があり、株に向かっている。インフレ抑制には程遠い、リラ安でもある。特別に競争力のある輸出商品がないだけに、貿易、経常収支を改善してリラ相場を上昇させるのは至難の業だ。それもあって、エルドアン大統領は、先ずはEU加盟を持ち出したのだが時間はかかる。なかなか苦境からは脱せない。

(今週は7月消費者物価の発表)
 今週は早速、7月消費者物価の発表がある。予想は47%で6月の38.21%から急上昇する。トルコ中銀は2023年末のインフレ率予測を前回報告書の22.3%から58.0%に上方修正した。総裁は「インフレ見通しの大幅な改善が実現するまで、必要に応じて段階的に金融引き締めを強化していく」と述べたが、既に2回政策決定会合を行ったが、2度とも市場の予想の利上げ幅を下回ったことでリラが売られている。

(IMF成長見通し)
IMFは、2023年の成長予測を2.7%から3%に引き上げた。しかし、同時に2024年の予測を3.6%から2.8%に引き下げた。

(中銀総裁、副総裁はみなアメリカ帰り)
 トルコ政府は、中銀の副総裁3人が交代したと発表した。6月のエルカン総裁就任後も続投していた3人に代わり、新たに米NY連銀で勤務経験のあるエコノミストらを据えた。金融市場の安定に向け、中銀が引き締めに転じた一環とみられる。新たな副総裁はNY連銀などで働いたエコノミストのファティヒ・カラハン氏に加え、NY市立大学で博士号を取得しているオスマン・ジェブデト・アクチャイ氏、シラキュース大学で経済学の博士号を取得したハティジェ・カラハン氏となる。