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IFRS銘柄の特徴

「国際財務報告基準(IFRS)」とは、国際会計基準審査会(IASB)が策定する会計基準である。 前身の国際会計基準委員会(IASC)時代に作られた会計基準が「国際会計基準(IAS)」で、一部は現在も有効である。グローバル化に対応し、財務報告基準を世界で統一する動きが進んでいる。

東京証券取引所によると、2013年9月時点におけるIFRS任意適用会社は16社、任意適用予定の会社は5社であり、上場会社約3400社の中では少数派である。*

金融庁企業会計審議会が6月に公表した「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」を受け、IFRS任意適用の要件緩和や「日本版IFRS(J-IFRS)」の策定に向けた動きが本格化している。*

従来はIFRSの適用が認められていなかった、非上場企業や資本金20億円以上の海外子会社を保有しない企業も、緩和によりIFRSの任意適用が可能になる。その結果、適用可能となる企業数はこれまでの621社(2013年3月時点)から一気に拡大する見込みである。*

*出典:ITpro 2013年10月23日

我が国におけるIFRSの強制適用の是非等については、未だその判断をすべき状況にないものと考えられる。
出典:金融庁「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」平成25年6月19日


国際財務報告基準(IFRS)関連銘柄

魅力①:資金調達
IFRSは100カ国以上で採用されているグローバルな会計基準である。IFRSの適用を要求又は容認する国はEU、インド、オーストラリア、カナダ、チリ、ブラジル、南アフリカなどである*。世界中の投資家にとって比較可能性と理解度が高い財務報告を、より素早く低コストで発信することができる。新たな投資家層の拡大と、世界中の資本市場において資金調達手法の多様化も期待できる**。

*出典:トーマツ「IFRS導入の意義 」
**出典:アビームコンサルティング「IFRS導入で得られる3つのメリット」

魅力②:意思決定と業績評価
同一の基準にもとづく均質化した数値を使うことで、海外のグループ会社を含む連結グループ全体に関して、経営者が意思決定や業績の評価が可能になる。管理会計上の拘束力はないが、管理会計に応用することで、経営者の意思決定や業績評価に役立てることができる。勘定科目、各種コード、ポリシー、業務プロセス、そしてKPI(主要業績指標)を基本的な要素とする経営管理基盤を、グループ内で標準化して浸透させるきっかけになる。
出典:同前

魅力③:決算と財務報告
ほとんどの在外子会社がIFRSに移行した現状において、親会社がIFRSを導入することによって、会社としての統一的な財務報告制度を確立できる。その結果、連結財務諸表作成プロセスの効率化が期待できる。 また、内部統制において、会計基準が共通となり親会社からの統制が働きやすい 。**
統合管理が可能になれば、グループ全体でリスクの軽減に寄与する効果も期待できる*。


IFRS銘柄のリスク

導入コストがかかる。また取引先がIFRSの適用企業である場合、取引のタイミングの変更(売上の着荷基準や検収基 準)や取引金額の変更(手数料(純額)取引、有償支給材の取り扱い)など新たな情報を求められる可能性がある。また、慣習で行われていた取引関係など を明確な契約関係への変更などに対応しなければならない可能性もある。
出典:スーパーストリーム


電気機器関連銘柄

①日本電波工業<6779>
水晶デバイス専業で世界第2位で、国内と中国に主要生産拠点を持っている。IFRS任意適用の国内第1号。

②アンリツ<6754>
通信系計測器の有力企業で、海外でも高シェア。携帯電話や基地局に強く、食品向け産業機械も製造している。


精密機器関連銘柄

時計、顕微鏡、カメラ、計量器、工作機械など細かい部品で構成されている機械。平成24年度の精密機械の生産額は、前年度比4.3%減の1兆2840億円であった。出典:日本機械工業連合会「24年度生産額見通し調査」国内需要の冷え込みにより、海外での販売チャネル拡充や海外マーケティング戦略策定 など、新たな市場創出や事業戦略の構築が求められている。
出典:日本総研「電気機器・精密機械 海外市場戦略」

①HOYA<7741>
眼鏡レンズと半導体用マスク基板に強く、内視鏡事業も育成している。2010年度実績からIFRSのみ公表している。


ガラス・土石製品関連銘柄

①日本板硝子<5202>
住友系で、建築・自動車用が約9割である。英ピルキントンを買収し、欧州の売上比率が約4割にのぼる。IFRS完全適用会社である。


サービス業関連銘柄

①ディー・エヌ・エー<2432>
モバイルSNS「モバゲー」が主力で、SNS上のゲーム課金が収益源である。2011年末プロ野球球団を買収した。

②楽天<4755>
ネット通販で国内双璧であり、金融や旅行など総合路線を行く。社内で英語を公用化している。海外、電子書籍は先行投資期である。


証券、商品先物取引業関連銘柄

投資信託、債券、株式などの売買を取り次ぎや、先物取引を行う業種である。
東京商品取引所において、2013年6月の外国人投資家の売買比率が40.9%になった*ように、証券市場はグローバル化していて、日本の証券・商品先物取引業者にも、グローバル戦略を展開する企業がある。
*出典:日本経済新聞2013年7月20日

①SBIホールディングス<8473>
国内外ベンチャー企業投資、ネット証券、保険、銀行、住宅、不動産など総合金融業を志向している。
ネット証券大手の一角で、香港と米国のネット証券を買収し、ソニーバンク証券と統合した。IFRSに移行した。


卸売業関連銘柄

①住友商事 双実<2768>
2003年に日商岩井とニチメンが統合した会社で、総合商社6位である。資源、自動車、肥料などが収益柱で、航空機に強い。

②丸紅<8002>
芙蓉グループの総合商社で、業界5位である。紙パルプ、穀物取扱高において首位であり、プラントや電力にも強みがある。


情報通信業関連銘柄

①ソフトバンク
携帯電話軸に展開し、米国スプリント買収で世界大手に躍進した。傘下にヤフー、ゲームのガンホーがある。

②ネクソン<3659>
韓国発祥のPC向けオンラインゲーム先駆で、2000年日本に進出した。中国、韓国経由の売り上げが過半 である。


食料品関連銘柄

①日本たばこ産業<2914>
たばこが事業の中核で、M&Aにより海外たばこ事業を拡大中。食品、飲料、医薬品も展開している。


不動産業関連銘柄

①トーセイ<8923>
マンション開発から出発し不動産流動化へ。都心に事業基盤があり、中古マンションの区分販売も 行っている。


医薬品関連銘柄

①中外製薬<4519>
ロシュ傘下の医薬品大手。がん・腎・骨領域に強く、稼ぎ頭は腎性貧血薬。タミフルの販売元である 。