太陽電池材料関連銘柄の特徴
太陽電池(Solar cell)は、光起電力効果を利用し、光エネルギーを直接電力に変換する電力機器である。光電池とも呼ばれる。一般的な一次電池や二次電池のように電力を蓄える 蓄電池ではなく、光起電力効果によって光を即時に電力に変換して出力する発電機である。タイプとしては、シリコン太陽電池の他、様々な化合物半導体などを素材にしたものが実用化されている。
地球温暖化の防止策として再生可能なエネルギーである太陽光エネルギーを利用している。日本のエネルギー政策として、原発への依存を減らすために国や地方都市で補助金を配布し普及率を高めている。
東日本大震災の影響により、福島原発の事故を受けてより安全でクリーンなエネルギー発電として、再び注目を集める。最近では、休耕田などを農地転用しソーラーパネルを設置売電する形態が増えてきている。また、ソーラーシェアリングという営農と、太陽光発電による売電を行うという新たな農業というものも誕生している。
太陽電池材料関連銘柄
魅力①:シリコンウェハの供給増
シリコンを用いる太陽電池は、材料の性質の観点からは、大きく結晶シリコンとアモルファスシリコンに分類することができる。これまでは集積回路用のシリコンが用いられてきたが、太陽電池の生産量が増加するに従い、ソーラーグレードのシリコン材料の 供給が望まれてきた。シリコンの高純度化には従来、水素とシリコンを反応させて蒸留して純度を高める化学的な手法が使用されていたが、近年は冶金的な手法 により、真空中で電子ビームを照射する事によってシリコン中の不純物の気化精製、凝固精製を行い不純物を除去する事により、純度を高めるプロセスも開発さ れている。
魅力②:樹脂型太陽電池の登場
シリコンを用いた太陽電池は、高出力化できることから古くから開発されてきた。しかし、シリコンは集積回路でも使用されているため価格的に高くなってしまうため、比較的安価なプラスチックなどの樹脂基板による開発が進められてきた。また、樹脂で作ることにより軽く、曲がり、割れない、フレキシブルな太陽電池の製作が可能となっている。
魅力③:関連商品の販売
太陽電池の基板の素材としては、主にシリコンが用いられている。そのため、基板は割れやすく雹(ひょう)や、台風で飛ばされる瓦などから基板を守る必要がある。そこで、表面を保護するフィルムが必要である、これは単に表面を保護するだけでは駄目で、太陽光を透過させるだけの高い透明度、高い紫外線吸収性等が求められる。また、太陽電池パネルを設置するには、架台が必要となりその製造メーカーも恩恵を受けることとなる。
太陽電池材料関連銘柄のリスク
家庭用太陽電池の販売は補助金制度の継続と金額、並びに売電価格に大きく影響する。初期投資して回収する目途が無くなる時期が一気に逆風となる恐れがある。
原料シリコンメーカー関連銘柄
現在、様々な太陽電池が製造、販売されているが割合としてはシリコンウェハによる基板作成が主となっている。そのため、原料シリコンメーカーによる供給量、販売価格が太陽電池の最終価格に大きく影響を及ぼす。
①信越化学工業<4063>
シリコンウェハーほか電子材料や塩ビ樹脂などの製造。シリコンウェハのシェアは世界トップ。太陽電池は、薄膜シリコンを使用しているものが主流なため普及率の増加と共に、増収が見込まれる。
樹脂基板関連銘柄
現在、太陽電池は高い発電効率からシリコンウェハによるものが主流となっている。しかし、シリコンウェハの場合、集積回路にも用いられているため価格が高い。さらに、重く、曲げたり、変形出来ない。そこで、プラスチックなどの樹脂基板を用いた比較的安価で、軽量、フレキシブルな太陽電池が登場している。
①東レ<3402>
樹脂系の太陽光電池の変換効率の向上には、特に光吸収を担うドナー材料の高性能化が課題となっていた。その部分の改善を行う事により、有機薄膜太陽電池として世界最高レベルの変換効率(光を電気に変える効率)5.5%の実現に成功している。
②ステンレス基板<5407>
太陽光発電パネルを設置するための架台は、加工性と耐食性が求められる。日新製鋼は亜鉛―アルミニウム―マグネシウム系高耐食溶融めっき鋼板「ZAM」を販売。太陽光発電向けの需要増に対応する体制を整えている。
太陽電池ガラス関連銘柄
①旭硝子<5201>
太陽電池は、発電効率を高めるために入ってきた光を閉じ込めるような技術が必要である。旭硝子は、透明導電膜により高い透明度でシリコン面への光の透過性を高め、さらに表面の凹凸で太陽光を乱反射させることで、光の閉じ込め効果を高めている。
太陽電池保護材(バックシート)関連銘柄
太陽電池パネルの背面を保護するフィルムで、心臓部であるセルを守る重要な部材である。長期間にわたり、屋外の厳しい環境で使用されるため、高い信頼性が要求される。現在、フィルム部材業界としてはこの太陽電池保護材の今後の成長分野として捉え様々なメーカーがしのぎを削っている。
①東洋インキSC<4634>
太陽電池は、可視光のエネルギー変換はほぼできており更なるエネルギー変換効率を高めるには、紫外線、遠赤外線のエネルギー変換が重要となっている。東洋インキSCは、この紫外線の可視光線化に変換する添加剤を試作。更なる、改良を加え1、2年後の商品化を目指す。