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TPP関連銘柄の特徴

農業に関してはコメの関税率が778%と突出していることをはじめ、保護政策が取られており、この部分の関税が撤廃されるとなればこれまでの個人農家による経営は成り立たなくなり企業による集積化が進むと考えられる。一般的に、TPPは関税撤廃としてこれまで保護主義を貫いてきた農業について語られることは多いが、記載されている条項としては公共事業・保険・金融・医療エネルギー等も含まれている。

日本郵政とアメリカンファミリー生命保険(アフラック)が提携を拡大しており、これまで全国1000の郵便局で扱っていたアフラックのがん保険を、今秋から順次2万ほどまでに広がっている。がん保険以外の商品販売も検討する方針とみられる。総務省は自動車を持つ人が地方自治体に毎年支払う自動車税と軽自動車税を2015年から増額する検討に入った。TPPに関する日米首脳の共同声明には、「自動車と保険が両国の懸案事項」とあり、「普通車より軽の税金が安いから、日本で米国車が売れない」という主張の裏づけとなっている。


TPP関連銘柄

魅力①:成長分野としての農業
今後TPPによる関税率の低下を商機と換え、世界に対して日本の農産物の販売の推進が進むと捉えられています。安倍首相も「農業を成長分野と位置づけて産業として伸ばしたい」と述べており、世界と戦うために競争力を強化するための補助や改革が政府主導で行われる可能性も高まっています。また、発光ダイオードを用いた人工太陽で作物の栽培を「植物工場」として行うなど企業による効率的な農業が行われ始めています。

魅力②:医療・新薬開発の促進
郵便局の簡易保険が「対等ではない」としてアメリカから批難をうけています。特にがん保険においては民間の保険に対する優位性がなくなるため、競争の激化が予想されます。また、医療に関しては混合医療の解禁によりこれまで自由診療として制限されていた新薬等が現場に次々と導入されていくことが考えられます。

魅力③:外国人労働者の活用
TPPの中で公共事業も条項の一つです。その中で「労働者のビザ無し就労を認めよ」との条項があります。つまり、公共事業の就労者が外国人労働者となる可能性が高くなります。東京オリンピック開催が決定したため、これから建設業が活気付きます。そこで、「外国人労働者」を斡旋する人材派遣会社の需要も増えることが考えられます。また、福祉の就労者の低下に伴い、外国人を福祉の就労者に促進する動きも見られます。


TPP関連銘柄のリスク

残念ながら、このリスクはTPP関連銘柄に限ったことではありません。なぜなら、TPPでは全ての条項が挙げられており「原則的には全部の関税、並びに非関税障壁は撤廃」となるため全ての日本企業に対しリスクがあると考えるべきです。ただ、その中でどれだけ利益を享受する多国籍企業と提携が深いかがリスク回避の鍵となるでしょう。


農業・農機関連銘柄

現在行われる可能性がある農業改革は、輸出拡大に向けた農業の生産性の向上であり、その為にはより農業機械や農薬を活用しての農業の効率化や、高品質な農作物を生産する為の品種改良や肥料の活用などが予想されます。

①住友化学<4005>
住友系の総合化学。会長の米倉弘昌氏は現、経団連会長。農薬のラウンドアップの製造メーカーであるモンサント社と業務提携している。

②クボタ<6310>
農業機械、鋳鉄管とも国内トップ。主力の農機に加え、水・環境システムがアジアで伸長。北米のトラクターが順調に増加。

③日本農薬<4997>
古川系、農薬専業最大級。海外が園芸用殺虫剤、殺ダニ剤の」数量増加と円安効果で急拡大。


保険・医療関連銘柄

TPPによってもたらされることの中に、医療の自由化があります。医療が自由化されることで高額な民間保険の保険料を払えるお金持ちは良い医療(自由診療)を優先的に受けることができます。新薬などは自由診療のみ認められるケースが増えるため製薬会社の新薬開発が進むことが期待されます。

①ライフネット生命<7157>
インターネット専業生命保険の草分け。商品の分かりやすさ低価格に特徴。顧客は若年層主体。

②武田薬品<4052>
国内製薬首位。生活習慣病に強み。米国社買収でがん領域強化。新興国開拓へスイス大手買収。


人材派遣関連銘柄

非正規雇用と、正規雇用との社会信用および所得の格差から度々批判はされていますが、事業主からは仕事量の変動により必要な人材を確保できるため人材派遣業は社会構造として無くてはならないものとなっています。

①パソナ<2168>
人材派遣の草分けで業界第3位。業務請負育成。上場子会社・福利厚生代行が稼ぎ頭。海外展開も行っている。

②エスエムエス<2175>
インターネットを通じ介護・医療業界に特化した人材紹介、求人、広告、資格情報事業等を展開


その他関連銘柄

①日立製作所<6501>
総合電機・重電首位で事業広範囲。原子力発電メーカーとしてGEと提携。クールジャパンとして、安倍首相による原発の輸出を推進しており海外での原発の施工を行うことが予想される。