本記事は、岡田洋介氏の著書『評価される人になる技術』(ぱる出版)から一部を抜粋・編集しています。
従順なだけでなく、たまには図々しさを発揮しろ
上司と部下の関係は恋愛と同じです。とはいえ、必ずしも結ばれる必要はありません。上司にとってあなたが「気になる存在」となることが大切だという意味です。上司が何かを相談したくなった時に「あいつはどう思っているのかな」「この人はどう感じているんだろう」と最初に顔が思い浮かぶような存在になることがポイントです。部下であるにもかかわらず、最初に顔が思い浮かぶというのは、特別な存在だということです。
では、どのように「気になる存在」になればよいでしょうか。
まずは上司との「共通点」を見つけましょう。仕事の仕方や仕事上のこだわりでもいいですし、趣味や食べ物、休日の過ごし方、楽しいと思えること、服装へのこだわりなど、プライベート面でもOKです。仲の良い人とはどこか「共通点」があるものです。だからこそ、偶然にも共通点がある状態を待つのではなく、自ら「共通点」を見つけることで、上司との距離がぐっと縮まります。
より距離が縮まりやすいのは、レアな「共通点」です。100人中、あなたと上司しか一致しないレアな「共通点」が見つかれば強力です。見つけるのが大変な場合は、オススメがあります。それは、上司のレアなこだわりや趣味を聞き、それを自分も体験してみるというものです。好きな本や音楽は比較的手軽に聞き出すことができます。これなら、偶然ではなく、必然としてレアな「共通点」がつくれます。
「共通点」を共有し、お互いの関係が良好になってきたら、今度は「相違点」を意識しましょう。「共通点」があるだけでは、単なるいい人で終わってしまう可能性があります。ビジネスでは成果や問題解決が求められます。仕事で役に立つ奴だと思われる必要があります。その時に有効なのが、「相違点」です。上司が苦手なことや思いつかない視点など、上司との違いを見つけましょう。上司と違う部分があるからこそ、上司にとって必要性が増します。
この「相違点」を意図的に見せるには、上司が持っていない強みをアピールすることが大切です。特に、それが専門的なことであればあるほどなおさらです。その際は、多少大げさに出したとしても嫌われることはありません。むしろ、それが信頼感につながります。また、意見を伝えることも必要です。上司と異なる意見でも、勇気を出して伝えましょう。ここで大切なのは、意見を言うことです。押し通す必要はありません。上司と違う視点をぶつけると、単なる「言うことをよく聞いてくれる人」「便利屋」という存在から、「自分の意見を持っている人」「しっかりと話を聞かないといけない人」になっていきます。そして、それはあなたの存在感を高めます。
そして、「共通点」と「相違点」で関係性が培われてきたら、「たまに図々しさを発揮する」こともやってみるとよいです。上司の期待や依頼に応えることも大切ですが、時には部下であるあなたからお願いごとをしてみましょう。
「急ぎの案件なので、さっき送ったメールを見てもらってもいいですか?」
「どうしても今話したいことがあるので、5分だけもらえますか?」
気になる存在であるあなたがお願いごとをすると、上司は頼りにされていると感じます。「仕方ないな」と言いながらも、期待に応えようとします。関係性を強くしていく上で大切なのは、一方通行のやりとりにならないようにすることです。仕事においては、お願いごとは上司から部下に流れることがほとんどです。部下からの提案や相談、依頼は、意識しないと生まれません。結果、双方向で頼り頼られる関係に発展しません。だからこそ、たまには、図々しさは必要です。
なお、上司があなたのお願いごとを聞いてくれたら、必ず感謝の気持ちを伝えましょう。上司は口ではいいませんが、頼られたいし、感謝されたいと思っています。極論、お願いごとを聞くのは、自分の承認されたい欲求を満たすためでもあります。
上司の言うことをただ従順にきくイエスマンでは、「気になる存在」にはなりません。
時には図々しさを発揮して「一目置かれる存在」になることで、自分のやりたいことを進めながら良い評価をされるということが可能になります。
人事評価コンサルタント、経営人事コンサルタント、組織開発コーチ(日本で約200名のORSCC有資格者)
早稲田大学商学部卒業後、日本ブレーンセンター(現:エン・ジャパン)に入社。約100名の組織が1500名規模の一部上場企業に急成長するまで、様々な軋轢やトラブルを組織内部にて経験しながら、20年に渡りその成長を支える。在籍時は、経営人事のトップコンサルタントとして、管理職教育を含む研修実績は延べ400開催以上、人事評価に関しては延べ100社以上の指導を行う。
2018年に独立。1万枚以上の評価シートを実際に指導する中で、評価されている社員がやっていることを整理。さらに現在は、日本では200名しかいない組織開発コーチングの有資格者(ORSCC)としての活動も行い、「心理的安全性」「共感的な対話」「自分と向き合う勇気」をテーマにした研修やセッションも数多く開催している。※画像をクリックするとAmazonに飛びます。